血まみれの手で、「宿儺の指」 を掴む禪院蒼汰。
それは呪力が凝縮された”呪物”であり、宿儺の復活に必要な最後の一本だった。
宿儺が目を細める。
宿儺:「ほう……随分と”面白いもの”を持っているな。」
甚禰は苦しげに息を吐きながら、口元に笑みを浮かべる。
禪院蒼汰:「お前の大事な指……もう一本増やしてやるよ。」
そう言うと「宿儺の指」を自らの口に放り込んだ。
呪物を飲み込んだ瞬間、甚禰の全身に異変が走る。
「グアァァァッ!!!」
呪力が爆発し、皮膚が裂け、黒い紋様が体中を駆け巡る。
目は血走り、髪は逆立ち、体が悲鳴を上げる。
だが―― それでも耐えた。
禪院蒼汰:「……クソッ……これが……”宿儺の呪力”かよ……!」
宿儺が静かに笑う。
宿儺:「愚か者め……”俺の一部”を喰らって、無事で済むとでも?」
禪院甚禰:「無事じゃなくていい……”お前を殺せりゃ”な!!!」
瞬間―― 呪力が膨れ上がる。
蒼汰の剣が、これまでとは比べ物にならないほどの禍々しい呪力をまとい始める。
「――冥刃・終滅」
それは “斬られたものの概念そのものを抹消する” という奥義。
宿儺の指を喰らい、その呪力を取り込んだからこそ可能になった最終手段だった。
宿儺が、初めて僅かに目を見開く。
宿儺:「ほう……”俺の呪力”を利用するとはな。」
蒼汰は刀を振り上げ、全ての呪力を込める。
禪院蒼汰:「――これで終わりだ、宿儺ァァァ!!!!」
斬撃が放たれた。
“宿儺の腕”が、”胸”が、”体の一部”が――
“斬られたという概念ごと消失”した。
宿儺は、自らの傷を見下ろした。
……再生しない。
無下限呪術による時間の巻き戻しも、反転術式による呪力の修復も、何もかもが無意味だった。
消えた部分は、”そもそも存在していなかった”ことになっている。
宿儺:「……クハッ、なるほど。”面白い”技だ。」
蒼汰が膝をつく。
すでに体はボロボロだ。
だが、戦いは終わっていない。
宿儺が笑う。
宿儺:「だが――”俺を殺せるほどじゃない”。」
蒼汰:「そりゃあお互い様だな」
その言葉と同時に、宿儺の背後に”黒き禪院の異端児”が現れる。
「――伏黒恵、参戦。」
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