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山本は書類の山に囲まれたまま、疲れた表情を浮かべている。
「七海さん、もう無理だって…こんなに大量の紙を見るなんて、普通じゃない!」
七海は淡々と書類を確認しながら答える。「普通じゃないのは分かってる。ただ、これが私たちの仕事だ。」
「でも、どうして呪術師がこんな紙仕事をする必要があるんだ?俺はもっとこう…『ド派手なバトル』を想像してたのに。」
山本が愚痴をこぼす。
七海は無表情で山本を見つめる。「お前が最初に『俺、呪術界で成り上がります!』って叫んでたの、覚えてるか?」
山本は一瞬黙り込む。「そ、それは…ちょっと調子に乗っただけで…」
「いいから、黙ってこれを読め。」七海は新たな書類の束を山本に渡した。
二人が再確認している中、山本がある紙束に目を留める。
「待って!この書類、何か違う気がするぞ。」
七海はすぐにその紙束を手に取り、目を通す。そこには、手書きのメモが挟まれていた。
メモの内容
「宿儺の指の封印解除は、決して成功させてはならない。だが、もしその計画が進行しているなら…」
「『封印解除の儀式』が行われる場所は、***寺跡地になるだろう。」
七海はメモを読み終わると低くつぶやいた。「これは、上層部の中に少なくとも一人、俺たちに真実を伝えようとしている人物がいるという証拠だ。」
山本が首をかしげる。「でも、***寺跡地ってどこなんだ?」
「それが問題だ。」七海は冷静に答える。「この手書きの文字も誰のものか分からない。おそらく、反逆を企てている人物だろう。」
「よし、俺が他にもこういうメモがあるか探してみる!」と意気込んだ山本。だが、またしても的外れな書類を手にしてしまう。
「七海さん!これも怪しいぞ!」山本が差し出した書類には、「呪術高専卒業生名簿(過去50年分)」と書かれていた。
七海はその書類を一瞥し、肩を落とす。「山本、それはただの名簿だ。どうしてこれが重要だと思った?」
「いや、呪術高専の卒業生の中に、実は宿儺の関係者がいるかもって…思ったんだ。」
「可能性はゼロではないが、それを全部確認していたら一生かかる。もっと効率的に進めろ。」七海は呆れながら答えた。
山本は頬をかきながら、「す、すまん…」とつぶやき、再び机の上の紙束に向かう。
その後、七海がさらに別の書類を発見する。それは、「特別調査員派遣命令書」だった。
派遣先:***寺跡地
派遣目的:呪力の異常発生調査
派遣対象者:特級呪術師 五条悟
七海がその内容を読み上げる。「どうやら五条先生もこの件に絡んでいるようだな。」
山本が驚いた表情で口を開く。「えっ?でも五条先生、今どこにいるか分からないんじゃ…?」
「それが問題だ。」七海は眉間に皺を寄せながら答える。「とにかく、この命令書は重要だ。跡地が計画の中心である可能性が高い。」
「待ってくれ、七海さん!」山本が勢いよく立ち上がる。「俺、調べたいことがある!」
「ほう?」七海が少し興味を示す。「珍しくお前が自発的に動くとはな。」
「俺が今までミスばっかりしてたのは認める。でも、この手書きのメモ…この字、どっかで見た気がするんだ。」
七海が目を細める。「どこで見たんだ?」
「…まだ分からない。でも、探せば絶対に思い出す!」山本は机に手を叩き、真剣な表情を見せた。
七海は少し驚いたように目を細めた後、微かに笑みを浮かべる。「なら、お前に任せてみるか。」