「ん……ふぁぁ」
目を覚ます。時計を見るともう8時。どうやら部活から帰ってきてそのまま寝てしまっていたようだ。周りを見ても誰もいないことに気づく。
「そうか 、母さんと父さんは仕事で遅くなるって言ってたな 、姉ちゃんは彼氏とデートか」
ということは今日は家に俺ひとりだ。俺は昔からひとりが嫌いだった。両親が仕事で遅くなる事が多々あったが 、いつも姉ちゃんがいたので安心できた。だが 、今日は姉ちゃんもいない。正直怖い。
「とりあえず 、テレビつけるか」
気を紛らわすためにテレビをつける。面白いバラエティ番組に救われる。テレビを見ているとぐぅ〜と腹がなった。
「なんか食うか〜」
冷凍食品のパスタとサラダを取り出す。パスタをレンジでチンし 、サラダにドレッシングをかけて食べる。
「あ〜 、美味かった」
飯を食べ終わり 、キッチンのながしに皿を置く。ソファに座り 、テレビを見ようとすると……
ドタっ……ドタドタドタ!
と音が聞こえる。驚いて肩が震える。音は2階から聞こえてくる。
ダダダダダッ!
凄い速度で廊下を何かが通り過ぎた。俺は半泣きの状態で 、恐る恐る廊下を見た。すると……
「まだっ……ぢごぐ……ゆるじで……ゆるじでよぉぉおおぉぉぉおおおぉおお……」
恐怖で足が震える。そこにいたのは 、髪はボサボサで恐ろしい形相の女だった。手には何故かスマホを持っている
「ごめんっ……ごめんっでぇぇぇぇぇえええぇぇぇぇえええ………」
女は何かにずっと謝り続けている。指先からは赤い何かが垂れている。
「いやぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ……」
女は俺に向かって歩いてくる。
「もう……おしまいよおおおおぉぉぉぉぉお……」
俺は死を覚悟した。その時……
『だから 、大丈夫だって』
女が持っていたスマホから男性らしき者の声が聞こえてくる。
『ちゃんと待ってるからさ』
「…ホント……?」
女がスマホの相手に返事をする。俺は状況をうまく飲み込めずにいた。
『家に居る弟さんがびっくりしちゃうよ』
弟……?弟って 、俺のこと?
「ごめん……ありがと……」
「すぐ準備するね」
『うん』
ピッと電話がきられる。
「え……?あ 、あのー……」
恐る恐る声をかけてみると……
「ごめんゆず 、びっくりした?」
女が口を開く。聞き覚えのある声……。よく見ると指先から垂れている何かはマニキュアのように見える。まだ乾いてないのか?
「え…?まさか…姉ちゃん?」
俺が聞くと……
「うん 、姉ちゃんだよ」
女が姉ちゃんだとわかったとき 、俺はその場に座り込んだ
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