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花垣武道という男
花垣武道という男は自尊心が無かった。というのも、タイムリープという能力を譲渡され、最愛の人と大切な友人を救う為に何百にも及ぶタイムリープを繰り返す前からの話である。
花垣武道という男は昔から自尊心が無かった。
大切な人が居なく、誰かの生きる希望にもなれず、大切な人に大切にされるという経験がなかったからである。
それから少しして、やっとの思いで救いたい人を救えた武道はまた少しして思った。
答えを言ってしまえば勿論そんな事ない。ただの武道の自尊心の無さから生まれた妄想である。
といっても悪い(悪いとかないが)のは武道だけではない。大切な人、そう、友人も友人なのだ。花垣武道は佐野真一郎に似てる。そう言い始めたのは佐野真一郎の弟、佐野万次郎なのだ。
それから皆が花垣武道を佐野真一郎に例える様になった。
ラベリング効果…先入観や思い込み、決めつけによってその人の行動が変化するという効果。
それをふまえると花垣武道は佐野真一郎の言動を無意識にとっていた。でもこのセカイに佐野真一郎はもう居る。佐野真一郎の代用品として使われ、救済目的で良くしてくれたオレは要らないのか。
人間思えば思うほど溝が深くなる。
花垣武道は失踪した。
誰も居ない場所に、最愛の人、橘日向との連絡だけは続けて、逃げたのだ。どうせ誰にも気付かれない。そう思って────