その日、フィンはドットの異変に気がつき、レモン、マッシュ、ランスを呼んだ。
「な、なんかドットくんいつもと変じゃない?」
「そうですよね、なんか大人しいっていうか……」
ランスはドットが座っている席までズカズカ歩いて行き、机にバンっと手を付き、まるでその態度は不良のようだった。
「おい、お前ちょっとこっち来い」
その態度、その声からして気に食わないとでも言いたい様子がビリビリと伝わった。何かしただろうか、そう心配になりながらランスについて行くことにした。
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着いたのは人気の無い廊下の隅。やべー、俺殺される……?!と、思いつつおずおずと口を開きランスに尋ねた。
「え、えっとランスさん?……その用件は?」
もう愛想笑いして恐怖を誤魔化すしかなかった。美人の真顔は怖いとどこかで聞いたことがあるが、本当だったようだ。
「ドットお前、何か隠してることがあるだろう。」
ギクッとして体がびくついた。もしかして俺のこと全部知ってるのだろうか。もう、言ってしまったら楽なのではないか、当たって砕けてしまおうか、そんな考えが頭をよぎった。でも、そのあとは?友達ですらいられなくなるかもしれない。マッシュたちともきっと気まづくなるだろう。
「……お前のこと、教えてくれないか」
その言葉は、優しく穏やかでみんなの前でのランスと違う、あの女の子といるときに話してた声のトーンと一緒だった。その声につられて、その優しい言葉につられて俺はついに、口を滑らせた。
「……お、俺ランスのこと好き、みたいなんだ……」
あぁ、言ってしまった、ついにランスに告白なんてしてしまった。ランスの顔が見られない。ランスの言葉を聞くのが怖い。
勇気を出して、俯いてる目を上に上げてランスの顔を見た。まさか、ランスが顔を真っ赤にして、こちらを見ているなんて思いもしなかった。
「……それは本当か、冗談ではないよな」
「冗談でこんなこと言うやつがあるかよ」
「いつか、俺から言おうと思ってたんだが。先を越されてしまった。……俺もドットのことが前から好きだった。」
その言葉を聞いて、嬉しくて涙がこぼれたことにも気づかなかった。ランスはハンカチで俺の頬を拭いてくれた。
でも、ちょっと待てよ。じゃああの女の子とはどういう関係なんだ……?あの子はランスのなに?!
「ランス、噂になってたあの女の子!誰なんだ?随分、仲良かったから俺てっきり……」
「あぁ、俺の相談相手。俺のことが好きだったみたいだけど、そのときにはお前のこと好きだったし、それで断ったら相談相手でもいい、と。」
それで普通真面目に相談相手になってもらうか……?と疑問に思ったが、まぁ本人が言うんだ。そうなのだろう。
「……俺、こんな性格だから、ランスに振り向いて欲しくてしばらく大人しかったわけだけど、そんな必要なかったみたいだな〜」
「あぁ、杞憂だったみたいだな。俺はドットの可愛い表情も態度も、性格も全て愛してるからな。全部好きだから変えるなんてことするなよ。」
その言葉は俺を安心させようとしてるのか分からないが、ランスらしいおもーい発言だと思った。でも、今となってはその言葉も声もランスの全てが好きだから俺も大概だな、と思った。
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読んでくれてありがとうございましたー!!!上手くハピエンにまとまって良かった……!!!
書くの忘れてたって言うか、書くとセリフ長くなっちゃうから書かなかったんですけど、ランスくんが女の子に対して甘い感じに話してたのは、話す内容がドットくんのことだったからです(´>ω∂`)
重い男=ランスっていうのはもう共通認識だよね。