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「…個性、世界安全。…どれもくだらない。特に緑谷君は…敵に寝返る人じゃないのに…!公安が何を知ってるって言うの…」
麗麗は少しイラついた口調でそういい、ずっと携帯で何かを見ていた。
「!?…卒業後、もう緑谷君以外とは関わるな…?……は、?」
麗麗は信じられないと言わないばかりの衝撃を受けた。
そして嫌な予感がし、緑谷に連絡を取っていた。
─緑谷君、公安からの連絡見た?─
麗麗の連絡にすぐ既読が着く。
─うん、見たよ。…でも僕の個性は簡単に世界を陥れられちゃうから、これでいいと思うんだ。かっちゃん達と喋れないのは少し辛いけどね─
─少し所じゃないでしょ?!さっきまで悲しいって、寂しいって言ってたじゃん!─
麗麗は緑谷にそう返した後、気持ちを落ち着かせる為に一旦携帯のアプリを閉じた。
数分後、ピコンと連絡が来た事を知らせる通知音が鳴った。そして麗麗は即座に携帯のパスワードを解き、メッセージを見た。
その緑谷からの返信は、自己犠牲を改めて実感させられる程だった。
─だって、皆を危険に巻き込みたくないからさ。ただ3年生になったら前の様に自由な行動は出来ない。でも麗麗さんとだったら出来るし、皆と最低限の会話は出来る。
…僕は、皆が酷い目に合うなら自分が酷い目に合う方が良いと思うんだ─
「…そんな訳、無いでしょ…。
どうして……」
─…ねぇ緑谷君。─
─何?─
─どうして君は、自分を勘定に入れないの?─
─麗麗さんこそ、どうしていつも寂しそうに外を眺めているの?─
─分かんない。でも、外を眺めてる時にはいつも同じ事思ってる。…早く、夜にならないかなって。─
─そっか。…僕は、オールマイトを目指して、その成れ果てがきっとこれだよ。でも後悔はしてない。だって、麗麗さんやかっちゃんと仲良くなれたからね。─
─…あまり1人で抱え込まないでね。もし本当に無理になったら、君の事が1番大切で、君も1番大切な人が頼りになるよ。─
僕はそう返事を返し、携帯の電源を切った。
その前に通知音が鳴っていたような気がするが、もう覚えていない。
次の日、僕達はいつものように笑い合い、爆豪君に怒られたり、そんな毎日を過ごして行った。
そして3年生になり、卒業シーズンが近付いてくる頃辺りだった。
麗麗と緑谷以外の全員が、その2人に違和感を感じる様になったのは。
「なぁなぁ、やっぱり麗麗と緑谷、可笑しいよな?買い物行くかって誘ったけど、断られたし。前だったら全然いいよって言う筈なのに…」
「まさか、何かしらの事件に巻き込まれてるとか?」
「そしたら爆豪のかっちゃんが黙ってねぇって〜」
「俺が、何を黙ってねぇって??」
上鳴が瀬呂の言葉に当たり前かのように爆豪の事を言っていたら、突然背後からその張本人が出てきた。
「もはやホラーじゃん!」
上鳴がそういい、少し間が空いてから爆豪が返事をした。
「……黙っとけ。」
ドンッ
「チッ、おい……って、出久?」
「…ッ…」
「あ、待てや出久!」
爆豪に何の反応も見せずに、逃げようとする様に去っていく緑谷を爆豪が追いかけに行ってしまった。
置いていかれた3人は、少しの沈黙してから最初に口を開いたのは上鳴だった。
「…やっぱり緑谷、可笑しいよな」
「な。麗麗はいつもいつの間にか居なくなってっから不自然じゃねぇけど、前よりも居なくなってる頻度が高ぇから…」
「緑谷は長話になりそうだといつも逃げる様に去って行くし。…その度に爆豪に追いかけられてるけど」
上鳴の言葉に続いて切島、瀬呂も言った。
「…ごめんね、皆。」
しかし、爆豪以外は気付いてなかっただろう。
麗麗が爆豪や緑谷、瀬呂と上鳴と切島達の会話をずっと見ていたなんて。
「…どうして…」
緑谷は雄英を出て行った様な声で爆豪に問う。 そして爆豪はポツリと零した
「…お前が、何かに急かされてる様に感じたから。」
「だからって…」
「お前が!!…こンままだと、また俺の傍から離れて、壊れちまいそうで、嫌なんだよ…」
「…かっちゃん…」
「なァ出久…。抱えてるモン、全部俺に吐けよ。」
「…ごめんね、今は言えない。でも、僕の中にある残り火が無くなった時、全部言うよ。」
「…約束だかんな。その前に死んだら殺す。」
「…うん…」
返事を返した時の緑谷の顔は、少し困った様な、救けを求めている様な物だった。
「GPSと盗聴器…はまだ僕にはついてないな。でも盗聴器は卒業してからのはずだから緑谷君はGPSだけ…」
麗麗は部屋で今後の事について独り言を呟いていた。
そして悔しさと希望を混ぜ合わせた声で言った
「まだ、まだハンドサインを出せるなら……緑谷君は助かるはず… 」
そして卒業式当日、麗麗と緑谷は無事に卒業した。
上鳴達は少しヒヤヒヤしていたが安心した顔になっていた。
__のも束の間で、麗麗と緑谷が姿を消し、跡形もなくなっていた。
A組の皆はずっと探し回っていたが、学校内には居なく、何も成果を得られなかった。
「…クソッ、卒業して急に居なくなんのはダメだろ…!」
「どうしてデク君と麗麗君が…」
「…」
全員が落ち込む中、爆豪は頭の中でずっと考えていた。
それも、他の人とは差があり過ぎるぐらいに。
そして暫くし、考え事の要点が纏まったのか、バッと顔を上げた
「…権力は違ぇ方か。」
―僕と麗麗さんが逃げたら、オールマイト、お母さん、かっちゃん達が血に塗れちゃう…。…もう二度と…―
「皆と一緒には、居られないのかな…。」