ナムサノ
R18です。
今回は後編になります。
♡喘ぎ 有
無理矢理 有
ついに……ついに来た。次に注文があったらサノスを誘おうと決意を決めてから2ヶ月間一度も注文がなく、途中押しかけてやろうかとも思った。
しかし、いつ彼が来ているのか分からないし、そもそも俺は配達員という立場があったから中に入れただけでただのナムギュとして行ってしまえば門前払いだろう。
「確認しました」
いつものように身分確認を済ませ、5回目にして、慣れた動きで人ごみをかき分けVIPルーム前まで行く。
相変わらず人が多いな……。テレビで数回見た事ある女性タレントもチラホラいる。_あれは政界の人間か?もっといいところに行けるだろうに、楽しみたいが金は払いたくないと言ったところか。バカが。いずれ問題になるだろうな。
「確認しました」
こいつらは揃いも揃って”確認しました”しか言わない。ロボットの方がまだ話すぞ。
扉を開けるといつもの廊下。
前回までどうしてたっけ。
無駄な緊張が走る。
普通にノックしてたよな?
中指の第2関節を扉に当て、音を3回鳴らす。
124「荷物お届けに参りました」
5秒もしない間に扉が開き、中から待ち望んだ人物が顔を出す。
230「久しぶりだな〜、髪切ったか?」
124「いえ……別に」
何を言おうかここに来るまで散々考えた筈だが、いざ本人を目の前にすると言葉につまる。
サノスは口数の少ない俺を疑問に思うことなく荷物を受け取ろうと手を伸ばす。
これを渡してしまうとまたすぐ扉を閉められると焦った俺は不自然に荷物を引き、彼の手を空振りさせる。
さすがの彼も疑問に思ったのか荷物に向けていた目線を俺に向けてじっと俺の顔を見つめている。
この人はよく人の目を見て話すが、俺はあまり得意じゃない。目を見て話すと、全て見透かされているようで居心地が悪い。
230「ナムス?」
124「あの、」
少しの沈黙が流れる。俺が次に口を開くまで待っていてくれているのだろうか、彼はじっと俺の目を見て様子を伺っている。
この人はずっと、こういう、人に対しての優しさが垣間見える人だった。
まぁ普段は優しくないが。
女がよくクズ男を好きになるのも、垣間見える優しさのせいなのだろうか。
124「……アニキ、空いてる時ありますか」
230「what?ヤクなら今から…」
124「酒、飲みませんか」
別に、あんたを誘う理由はヤク目当てだけじゃない。俺の以前の行いを棚に上げ、彼に理不尽にイラつきながらも、何とか飲みに誘った
230「酒ぇ??いーけど……」
124「じゃあ決まりで。連絡先交換しましょ」
サノスは少し考える素振りを見せたあと部屋に戻りスマホを持ってきた。
230「QR出せ」
124「はい」
流れるように連絡先を交換すると彼はそのまま荷物を受け取り何も言わずに部屋に戻ってしまった。
彼が扉を開けて部屋に入りきるまでの間に、部屋の中から「ナンパか?」「女か?」といったような冷やかしが聞こえてきた気がするが、聞こえなかったことにしておいた。
俺もその後は何も考えず、無心で家に帰った。
家に帰ってからスマホを開くと、マナーモードにしてたため気づかなかったが、数分前にサノスから連絡が来ていた。
230『いつにする?』
連絡先を交換したあと無言で引っ込んでしまったのであまり乗り気じゃないのかと思っていたが、自分から話を進めてくれるあたりそんなことは無いのだろうか。
自分の心が跳ねたのがわかった。
……チョロいのは俺の方かもしれない。
124『兄貴は直近でいつ空いてますか?』
124『合わせます』
返信が来たのは2日後だった。
そのままポツポツと話は進み、交換して3週間経ったくらいにようやく会う約束が決まった。
そんなにも時間がかかった原因は彼の返信速度であって、俺に否は無い。
124『じゃあ来週の火曜にソウル駅で』
彼から帰ってきたのは意味のわからない見たこともないキャラのOKスタンプだった。
どういうセンスだ?
124「兄貴!」
230「Hey!ナムス!」
彼は長身なだけでなく自身の髪を紫色に染めているので人の多いソウル駅でもすぐに分かった。
俺のおすすめの飲み屋でテーブル越しに向かい合って酒を飲みながら、帰ってきてからあった出来事を語り合う。
連絡先を交換してからすぐ会えるものだと思っていた俺は、可哀想なことに1ヶ月も焦らされていたので想いも強まっていた。
男は会えない時間に好きを加速させる生き物なのだ。(※諸説あり)
124「あ、兄貴もう帰りますか」
230「あーそうだな」
お互いほろ酔い気分で気持ちよく語り合っていたところでふと壁掛け時計が目に留まる。
そろそろ終電がやばそうだった。
名残惜しい気持ちもありながらも帰る準備を進める。彼も同じように進めていると勝手に思っていたが、ちらと横を見ると全く動かず、まだちまちまと酒を飲んでいた。
124「兄貴?乗り遅れますよ」
230「そーだなぁ。」
彼は俺の言葉に少し考えたあと何か閃いたようで、目を大きくした。
230「お前の家に行こう!」
124「……は?」
230「お前の家だよyour home!」
124「いや、あの」
何を言っているのか全く分からない。いや、俺は分かっているが、こいつは分かっていないだろう。自分が何を言っているのか。
彼はどうせ、
もっと飲みたいし話したいけど、このソウルで今からホテルを探すのも面倒だからナムスの家で飲み明かそう!!!
とでも思っているのかもしれないが、俺にとってはそんな単純な話じゃない。今から俺の家に行くということは俺の家で寝るということだ。酔ってふにゃふにゃのサノスが俺の家で寝るわけだ。
風呂に入ったりするのだろうか?
寝るのか?俺の家で?
そもそもいきなり相手の家に泊まるなんてこっちの都合を1ミリも考えていない。俺に同棲してる彼女でもいたらどうするつもりなんだ。
230「LET’S GO!!」
124「え、うそ。ちょっと待って兄貴!!」
いつの間に帰る用意を終わらせたのか、彼はさっさと店の外へ出ていってしまった。
俺は慌ててPayPayで会計を済ませて、ふらふらとご機嫌に歩くサノスを駆け足で追いかけた。
俺の奢りかよ……
先程、お互いほろ酔い気分、と説明したがあれは撤回させて欲しい。サノスはかなり酔っていたみたいだ。
最寄りから家へ帰る途中コンビニに寄って酒や、つまみを買った。俺の奢りで。
家に着くまでの間ずっと彼は俺の左肩に右腕を乗せていたので少し肩が痛い。酒の重さもあるかもしれないが。
1LDKの家で彼は真っ先に寝室に向かった。
230「Fooo!!」
124「え、ちょっと」
冬の夜の寒さで俺の酔いは少し覚めていたが、彼はそうでもなかったようだ。
慌てて追いかけると彼は寝室の床でごろごろと転がっていた。
124「……なにしてるんですか」
230「ふふ」
なにやらご機嫌な様子だった。
店を出てからずっと振り回されている俺は溜息をついた。
124「はぁ……そこで寝ないでくださいね。寝るならベッドで」
230「ナムスさけ!」
124「はいはい、、」
彼に缶を空けて渡してやると少し飲んで床に置いた。
なんだか可哀想な缶を横目に、ベッドと平行に寝っ転がるサノスを背にして俺も床に座った。
そんなにベッドの近くでゴロゴロするならベッドで寝ればいいのに…
俺は買ったつまみをちまちまと食べながら酒を進める。サノスも会話はするもののつまみを食べる様子は無い。
そこからまた1時間ほどたち、ほろほろといい気分になってきた俺はサノスに背を向けたまま首だけを横に向ける。
目に映った彼に渡した缶を持つと、重さが大して変わっていなかったので、あまり酒は進んでいないようだった。
230「ん〜」
124「兄貴?」
何を思ったのか、後ろで寝っ転がってもぞもぞしていたサノスは自身の身体をゆっくりと起こすと流れるように俺に抱きついて、左肩に顎を乗せてきた
124「……兄貴、」
俺の首に顔を埋めて匂いを嗅ぐ素振りを見せたあと、彼は次々と俺の体に浅く唇を付ける。
どうやら酔うとキス魔らしい。
額、頬、
俺の体に力が入るのを感じた。欲が漏れ出る。
耳、首筋__、
サノスは一通り済まして独りでに満足したのか、また俺の首に顔を埋めて唸る
230「ん”〜、」
俺は彼の頬を掴もうと自分の肩に右手を伸ばす。
230「なむす、女の子呼ぼーよ」
124「……は?」
伸ばしかけた右手が止まった。
彼は埋めていた顔を上げ、顎は俺のひだり肩に乗せたまま、俺の目を見る。
酒を飲んで気分がいいからか、単に眠たいのか、表情は柔らかく頬はほんのり赤い。目も潤んでいて体勢的に上目遣いになっている。
230「だれかいねーの?」
不思議そうに俺を見ている。いい子を紹介しろって意味だろうが、生憎俺はこの時間に呼んで来るような女に連絡先は教えない。
230「ナムス〜女は?おんなのこ」
あーー、かわいい。
124「…女の子がいいの?」
伸ばしかけて止まっていた右手をまた進め、サノスの頬をさする
230「ん?、ぅん」
俺の肩に顎を乗せたままこくりと頷く。
124「あざといなぁ」
230「?」
そこまで意味を理解して無さそうだが、本能的に危機を感じたのか、サノスが俺の肩から離れる。
124「だめでーす。呼ばないよ」
230「ッんぅ、!?……んん」
いよいよ両手でサノスの頬を包み、唇にキスをした。
そのまま逃げないように、頬を包んでいた手を彼の後頭部に回し、唇を離すことなく何度も向きを変えながら味わう
230「ん、ぅん……ん”ン……」
彼が状況を理解する前に口内に舌を入れ込む。
くちゅ、
くちゅくちゅ
230「んぁ、ん……ふ、ぁ……ん”ッ」
舌で上顎をなぞると彼の腰が僅かに跳ねる
230「んん、ッ…………ッぷぁ」
呼吸もいたたまらなくなってきた様なので1度唇を離してやると、顔はもう随分とろけていた
230「ッぁ……」
びく、
右手の親指で彼の左耳をさすってやると、身体が震える
124「……弱いんですか?」
230「、ぁ……?」
彼の身体を引き寄せ、耳元で囁いてやる
124「はは、とろけちゃった?」
230「んッ、」
れろ
230「ぁッ、!?」
びくっ
そのまま耳を舐めると明らかに声色が変わった。
124「きもちい?」
もうすっかり力の抜けてしまっている彼の身体を後ろへ押し倒す。
230「……ぁ?、ま、って…なむす、」
少し意識がはっきりしてきたのか、抵抗の色をみせてきたので彼の股間を膝でぐりぐりと刺激する
230「ッぁ……あ、なむ……す、まって、、やめッ、ん、、、ぅ”」
手を伸ばして俺の膝を退けようとしているのだろうが力が入っておらず、むしろ膝を撫でられているようで興奮する。
124「ナムギュだって」
ぐりっ
230「っぁ”、ぁ、む……ぎゅ、?」
124「半勃ちじゃん」
ぐりぐり
230「ァぁ、やめ、んぅッ」
くちゅ、くちゅ
膝で刺激されたまま口内まで犯されると、彼はびくびくと反応しだす。
明らかに感じ出したサノスに気分を良くした俺は唇を離し、膝で責めるのをやめて、代わりに自分のモノを彼の股間に押し当てた。
124「ッぷは……ねぇ、みて」
ぐりっ♡
230「ぁ”、!?なん、」
124「完勃ち」
ぐりぐり♡
230「ぁ……ッ」
いい反応……ムラつく
もっと乱れた姿が見たくなった俺は、彼が逃げないよう馬乗りになり、ガチャガチャとベルトを外して下着ごとズボンを脱いだ。
230「へ、」
困惑しているうちに外したベルトでサノスの腕を縛り上にあげる。
230「あ、ぇ……、」
片手で彼の両腕をベルトごと彼の頭上で抑え、もう片方の手で彼のズボンを脱がす、
230「うそ、まって、なむす」
124「…ナムギュ」
サノスはどうにか妨害しようと足を動かしているが、あまり効果は無い。
230「なむぎゅ……ま、ッあ”っ」
下着も脱がしてあらわになった彼のものを優しく擦る。がまん汁で少し濡れていた。
230「まって、ッふ、……は、」
濡れた手で亀頭を触ると腰が跳ねるのが面白い。
230「ぁ”、やめ、ッは、……ね、ッしゃべって」
手は止めないまま無言で彼の感じている顔を眺めているといたたまれなくなったのか顔を逸らした。
230「……ッん、ふ……ぁあ、っ」
その後も彼の願いを聞くことなくひたすら彼の感度をあげていく。
どのくらいそうしてただろう。夢中だったので3分ほどに感じるが実際は何倍も時間はたっているだろう。
……そろそろイキそうだ
俺は彼の耳に息を吹きかけて囁いた
124「1回イッとこうか」
230「ぅぁ、」
だんだん上下に激しく動かす
230「ぁ、あッんん……やめ」
ぐりっ♡ぐりぐり
230「ぁ、ぅあ”!?…あ、やッ、、ほんッとにィ」
彼が好きなようなので、亀頭を責めてあげると身体は喜んで跳ねた
230「あ、ッぁあ!?……は、むりッ…いくッ、!?ぅ」
ぐりぐりぐり…♡
230「あ”ぁッ……ふ、ぅ……ッぁう”、いッッッ♡」
びゅっ
腰を仰け反らせてはき出した精子は彼の腹にかかった。
124「ッふ、えろ」
俺は自身のものがドクドクと脈打つのがわかるほどに興奮していた。
興奮のやまない俺に反して、彼はぐったりとして精子のかかった腹を上下させている。
疲れているようだが、俺にとってはここからが本番だ。
彼のお腹にかかった精子を自身の中指に絡めると膣に手を伸ばす
ップ……♡
そっと第1関節を入れるとぼやけていた彼の目がはっきりと俺を見た。
230「ぁ、やだ……やめろ、」
ついにずっと潤んでいた彼の目から涙がこぼれる。
230「やだ、なむぎゅ、ごめ……」
……俺の名前、今呼ぶか?
彼は泣きながらいやいやと首を横に振り抵抗するがなんの意味もない。
124「あ”ー、まじ興奮する。なに誘ってんの?」
俺は落ちてきた髪をかきあげ、我慢できずに両手で彼の腰を掴んで膣に自分のモノを勢いよく挿れた。
ドチュン!!!
230「ッガぁあ”!¿!?、い”ッだ、い…!!…や”ぁ」
膣から血が流れる。
彼の目から涙が止まらない。ぎゅっと目を瞑り眉間に皺を寄せ首を横に振る。ベルトで縛られたままの手で俺の腹を触る。本人は止めようとしているのだろう。
叫ぶような彼の声は本当に痛そうだが気にもとめず腰を振り続ける。
230「い”たぃ”ッやだァ!?!!、ぁ”¿、ッあ”」
124「大丈夫、ッ血で、滑りやすくなって、きましたよッ」
ドチュッ
230「ッがぁ!?ぁあ!、い”っふ、ぅ”ひぐッ」
124「あーぁ、ッふ、泣いちゃった?」
彼のキツい腟内をかき分けてぐりぐりと荒らしながら、あまりにも可愛い彼の頭を笑顔で撫でる。
だんだん彼の膣が俺のものに慣れていくにつれ腰の動きも早くなる。ぱんぱんと鳴る接触音とベッドの軋む音も激化する。
230「ひぐッっふ、あ”ッ、あ、ぁんッ……ふ、」
124「ッふ、感じて、来たでしょ?ッ」
230「ん、ぅ」
彼は首を振る。まだ俺の言う事を理解する余裕はあるみたいだ。
ぱんぱんとなる音がさらに大きく早くなる。
230「あっ、あ、ぁ、ァ」
激しく揺らされる身体に、サノスはもう話すこともままならない。
ゴリュっ♡
230「_っあ”!¿?♡」
124「お、?みっけ」
無我夢中で腰を振っていたら彼の腰がのけぞった。腟内が嬉しそうにうねる。
前立腺というのはマジだったのか。
俺は調子に乗って前立腺ばかり責める
どちゅ♡どちゅっ♡
230「あっ♡¿っふぁッお、!?♡なにッ♡ぃ¿?」
124「かわい、ッふ、あー、もっとッ」
もっと、乱れて欲しい。
もっと俺でぐちゃぐちゃになって欲しい。
物事の判別もつかないくらいに。
ドチュン!!♡♡
230「ぁァアあ!?!¿♡ぁあッあーぁ♡っお”」
前立腺を容赦なく押し、何度も何度も深く刺す。
230「ぉあ”ぁ♡♡ぅ”ううッふ、お”ぉォ♡」
彼の目はチカチカと焦点が合わない。
腰は浮き、顔を上に向けて身体を仰け反らせている。
230「ぁお”♡ッあ〜〜♡”まッ、て_っぁ♡」
ずちゅずちゅ♡♡♡”
124「あ〜、きもちいッふ、」
230「ぁはッぁアだめッ♡ぐ、いくッぁ♡あぁ、」
彼の腰が吊りそうな程に反る。
ナカは気持ちよさそうにうねり、俺を誘っている。全く興奮が止む気配が無い。
ずちゅずちゅッ♡♡♡”
230「いッぐ、いくっ♡ッぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!¿!?¿♡♡」
びくっびくんッ♡♡
ずっと浮いていた彼の腰がすとんとベッドに落ち、びくびくと余韻に浸っている。
124「きもちよかった?」
230「ッぁ¿_____」
彼が意識ここに在らずなのは見たら分かったがあまりにもかわいいので声を掛けずにはいられなかった。
124「_兄貴、」
124「俺、まだイってないです」
俺はぐったりとした彼の腰を両手で掴んだ
124「あ、起きました?」
230「………ん”、」
124「わ、声ヤバそうですね。水持ってきます」
サノスが窓の方を見るとカーテンが開いていて、空を見るにもう夕方頃だった。
昨夜の後半の方はほとんど覚えていないが、かなり長い時間であったことはなんとなく覚えていた。
124「どうぞ」
ナムギュは水を渡すとサノスの枕元に近い床に座った。
サノスはそっと起き上がり、貰った水を飲んで少しぼーっとしたあと、もう一度仰向けで寝転んだ。布団を口が隠れるくらいまで上げ天井を見る。
沈黙を破ったのはサノスだった。
230「あ”ー、さい”あくだ。」
天井を見たままそう呟く。眉間にシワが寄っている訳でもなく、言葉通り最悪の気分なのかもしれないがイマイチ何を考えているのか掴めない。
その後はまた何も言わなくなってしまったので、耐えきれなくなったのか、今度はナムギュが自分の手を見ながらポツポツと話し出した。
124「……そういえば兄貴、あそこの場所もう使わない方がいいっすよ」
あそこの場所、というのはナムギュがいつもサノスに薬を届けていた場所のことだ。
サノスは不思議そうに見つめる。目は合わない。
サノスは目が覚めてから初めてはっきりと隣の男の顔を見た。
230「あ”?な”んでだ」
124「政界の人いたんで。そろそろ問題になりそうっす」
230「あ”ー」
サノスはまた視線を天井に戻したあと、いかにも面倒くさそうに頭をかく。やっと見つけた都合のいい場所を失うのは色々と面倒なのだろう。
今度はナムギュが面倒くさそうにするサノスを見ながら話す。やはり目は合わない。
124「警察入ってきた時に兄貴も中にいたら危険でしょ。薬物乱用バレるっすよ」
230「……そーだな”。や”め”るわ」
……また沈黙が流れた。ナムギュはじっとサノスを見つめている。かと思えば、言葉の足らない疑問をこぼした。
124「……ないんすか?」
230「は?」
124「感謝の言葉。俺のおかげで捕まらずに済みますよ」
ナムギュは考えた末、いつものように、否、イカゲームにいた頃のように接した方がお互いにとっていいだろうと判断し、あの頃のようにだる絡みをすることにした。
230「……これでおあいこだろ」
124「え?もしかしてこの1個の情報提供と昨夜のセックスを等価交換しようとしてます?」
サノスは恥ずかしげもなくペラペラと話す男を恨めしげに睨んだ。初めて2人の目が合う
230「……なんだよ」
124「あんまり身体安売りしない方がいいっすよ…。兄貴はもっと価値ありますって」
230「……お前”ほんとめ”んどくせぇな」
どの口が言うんだ、と思うサノスの眉間にシワが寄る
230「そもそも”俺売ってねぇんだが?お前”が勝手に非売品盗んだんだろ」
124「盗んだものって元の場所に返しても捕まりますよね?じゃあ一生返したくないなあ。ずっと肌身離さず持っておかないと。」
なんだかスラスラと会話ができている状況にナムギュは少し安心する。
230「……特別に許”してや”るから返せ」
124「嫌ですよ。ずっと欲しかったもん」
サノスは口を尖らせてふざけたことを言うその男をじっと見つめたあとまた天井に視線を戻した。
230「…………。わかった、売ってや”るよ。盗んだことは水に流すから”買え」
124「、、え?、え!?いいんすか??」
ナムギュは驚いた勢いのまま立ち上がった。その目は天井を眺めているサノスから視線を外さない。
230「…高ぇぞー」
124「いくらです?」
230「んー、家賃と……家事全部」
124「っはは、お易い御用です」
心なしか緊張しているように見えたナムギュの目は安堵と喜びに変わった。
顔は綻び、出会ってから始めて見せる気の抜けた笑顔になっていた。
ちらとナムギュを見たサノスは重い身体を起こして、ベットの横に置いてあった自分のカバンから何かを取りだし、片手で覆ったままナムギュの方へ伸ばす。
230「ほら”」
124「え?」
サノスがそっと自身の掌を開くと銀色の複雑な形をしたものが姿を現した。
230「俺”の家の鍵。これ”で合鍵作ってこい」
124「!今すぐ!いってきます!!!」
ナムギュの喜びに浸っていた顔は、目を見開いてさらに口角を上げる。サノスから鍵を受け取り、そのまま浮き足立つように駆け足で玄関に向かっていく
ダダダ……
ガンッ
124「いってぇ!!!?」
玄関の靴箱に足をぶつけたようだが、当たり前に、寝室にいるサノスからは声と鈍い音しか聞こえない。
124「いってきます!!!のど飴も買ってきます!!!!」
ぶつけたことなど気にもとめず、幸せですと自己紹介しているような声色で大きく挨拶をしたあと、マンションの廊下を走る音を切るように扉が閉まった。
一通りの流れを黙って聞いていたサノスは、仰向けのまま自身の腕で目元を隠す。
230「…………うるせぇやつ」
口角は上がっていた。
コメント
26件
とても萌えました。 ありがとうございます🙇♀️
あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…(死) もうほんっっっとに最高ですありがとうございます
pixivでも拝見いたしました。 サノスとナムギュの人物像が本当に見事に掴めていて、決して二次創作とは思えないほどの満足感でした。これからも応援してます。