花屋に着き、店の奥である部屋に通される。
「ちょっと、待っていて下さいね」
椅子に座り、暫く待っていると先程の花屋さんが台所から茶菓子を乗せてお盆を持って此方に来た。
「お口に合えばですが、どうぞ」
ことん、と目の前に置かれた茶菓子を見つめる。まるで星空の様にきらきらとした美味しそうなケーキにラベンダーの香りがするハーブティー。明らかに高級な物だと分かる。
「、あの、良いんですか?こんなおもてなしをして頂いて、、」
俺が申し訳なく思い、茶菓子に手を付けないでいると男の人は言った。
「いいえ、むしろ僕の方が助かりました」
「え、?」
「実はこの花屋開店したばかりでお客様がまったく来なかったので、、」
そう言って照れ臭そうに笑う花屋さん。
「そうなんですね、」
店内を見渡すと、綺麗に整えられた花。色々花が束になって置かれている。確かに開店したばかりというのもよく分かる。
「ですから、遠慮しないで召し上がって頂けたら嬉しいです笑」
「、そうですか、では遠慮なく」
俺はフォークを手に持ち、ケーキを切り分け口に運ぶ。
「ん!?わっ、凄く美味しいです、//」
ふわふわとしたスポンジに滑らかなクリーム星空の様な藍色のゼリーがよく合っている。ハーブティーも口に運ぶと、ラベンダーの良い香りが鼻を駆け抜け、体が解されていく。
「ふふっ、お口に合ったようで良かったです。実はそのケーキ僕の手作りなんですよ」
「えぇ?!そうなんですか??」
「はい笑」
目の前のケーキを見つめて、もう一度口に運ぶ。うん、やっぱり美味しい。嘘だろ、こんな美味しいケーキ作れるとかもうプロだろ、、。
「こんなので良ければまたこの花屋に来て頂ければいつでも作りますよ笑」
「マジですか!?行きます!行きます!」
俺は口の中でケーキの味を味わいながらこの花屋に通うと心に決めた。
「それにしても、良いですよね。手作りケーキって」
「??コスパが良いからですか?」
ハーブティーを啜りながら、花屋さんに質問をする。
「いえ、そういうのじゃ無くて。例えば、、」
例えば?と続きを聞こうとすると、突如、体の痺れと共に強い睡魔が俺を襲った。視界が霞み、体のバランスが崩れる。椅子が倒れ、俺は地面に叩きつけられた。あ、れ、、?俺、どうしちゃったんだろ、?視界が霞んで、、意識もなんだか、、。
「ほら、こういう風に睡眠薬とか痺れ薬とか入れれるじゃ無いですか?♡」
「え、?」
花屋さんが言った事が信じられず、目を見開く。
「あーでも、ケーキに入れたのは痺れ薬だけ。睡眠薬はハーブティーに入れさせてもらったで?♡さっき、君が呑んでたね、」
「、ぅ、?んぇ?」
、此方を見て微笑む花屋さん。先程の畏まった敬語と違い、関西弁で俺の耳に甘く囁いてくる。逃げなきゃ、逃げなきゃ行けないのにッ、、薬のせいで、体が、ッ、動か、せ、、な、、、。
「ははっ!!君、ダメやんか。知らん人が出したもん簡単に呑んだり食べたりしたら、、、ってもう聞こえてないか笑?」
花屋は目の前で眠ってしまったヤクザを抱き上げた。
「やっぱ、可愛いなぁ♡ないこは」
そう言って抱き上げたヤクザを愛おしそうに見つめながら花屋は何処かに歩いて行った。
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コメント
1件
もうほまにすき💖😭 ヤクザと花屋という絡みが尊いんだよな…