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───── 次に目が覚めたのは海の中。
「 …ん、あれ、ここは…? 」
見た事の無い場所へ来ていた。
暗い、暗い、とにかく深い海の底。
海底には白い服の人の姿 ── …
「 !! 」
口からは少しの気泡を吹いて。恐らく意識は無いのだろう。
急いでその人を連れて上に上がろうとする。
その時 ───────── ッ、
鰭に激痛が走る。
「 ぃ”ッ 」
鰭元を見ると、鰭ではなく足があった。
「 ( ぶく、ッ… 」
思う様に泳げない。思う様に息が出来ない。
只々、海底へ沈んでいくだけ。
人の体はこんなにも重いのか、と心底驚く。
「 ッ、 」
── それからの事は覚えていない。
気が付けば波打ち際に、白い服を来た王子様と、エメラルドのドレスを来た私と、
…黄色に青いメッシュの髪の男の人が寝転んでいた。
「 …、? 」
「 ん”…アリエル…、ッ 」
何故か見覚えのある様な、そんな感じのする男の人。
「 アリエル、ッ!! 」
飛び起きる様に起きたその人は、周囲を見回して居る。
何故私の名前を知っているんだろう。
声を出したいのにまるで突っかかる様な感覚で全く出て来ない。
「 ッ、…!!ッ 」
「 …アリエル、?そこに居るの、? 」
「 !( こくこくッ 」
私の膝元に手が伸びる。
「 良かった、ぁ…ッ 」
泣いていた。綺麗な顔立ちの名前も知らない彼は、只泣いていた。
「 ん… 」
王子様の暖かい声が響く。
「 …君達は、? 」
「 !王子様、っ 」
「 嵐で船は沈没して… 」
「 …君たちが、助けてくれたのか、? 」
王子様は “ そうか ” 、とでも言う様に私達の手を握る。
「 ありがとう。良ければ城へ招待するよ。 」
連れられるがまま憧れていた大きなお城へ足を踏み入れる。
中には大きな絵画と、階段と、シャンデリア。
海の中で夢見ていた場所その物だった。
大きく長い階段をのぼり、とある部屋に入る。
「 …っと、自己紹介が遅れたね。 」
「 私はエリック。この国の王子さ。 」
「 …僕はリメンバー、目が見えません。 」
「 …、( アリエル、話せません。 ) 」
と、紙に書き込む。
リメンバーって人…なんとなくフランダーに似てるな、なんて考える。
「 そうか、まずは助けてくれて本当にありがとう。 」
深々と頭を下げるエリック王子を横目に、リメンバーは冷たい、感情の無い様な顔でエリック王子を見ていた。
「 君達には部屋を用意しよう。暫くはここで暮らすといい。 」
「 …ありがとう御座います 」
模範解答そのものを口にするリメンバーと、会釈をする私。
その日の夕食は豪華だった。
魚が綺麗に盛られていて、なんて酷いんだ、とも思った。
だけどここは陸の世界。
海の常識は通用しなかった。
「 …ねぇアリエル、 」
「 、( どうしたの? ) 」
リメンバーの手に指で文字を書いていく。
「 ………やっぱり、何でもないや 」
眉を下げて困った様に笑うリメンバーに、何処か不穏さを感じる。
「 ( そう?ならいいけど… ) 」
「 …2人共、少し話さないかい? 」
お風呂上がりだろうか、いつもとは違う服を着たエリック王子が、自分の部屋の扉を開いて居た。
「 ── 人魚について、何だが… 」
「 !! 」
「 …はい、 」
「 私達は人魚を滅ぼさないといけない。 」
「 稀に、赤髪の人魚が顔を出す。 」
「 出していたら教えて欲しい。 」
真剣な顔付きでそう話すエリック王子が、信じられなかった。
あんなにも優しそうな、暖かそうな王子様は本当は人魚を滅ぼそうとしていたんだ。
「 …協力してくれるかい? 」
「 ……( こく 、 」
「 …分かりました。 」
その日は眠れなかった。
あと2日、王子様は落とせるのだろうか。
「 …アリエル、今回は死なないで、 」
と、切ない声で呟くリメンバーの声だけが、
このお城に響いた ──────── 。
コメント
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fしbすs まってまって やばい 「 今回は死なないで 」 って これって …
「今回は死なないで」←!!??