彼の言葉を借りるとすれば、
「このまま時間さえ止まってしまえと願う程奇麗なものだった。」
そう呟いた一面の蒼と白の中に、ぽつりと灰色のしるべが立っていた。
それは、自分に知らすためだけの物なのだ。
尚のことだが、このまま褪せてしまうのが、どうしても恐かった。
段々と、眼に映された美しい景色にモザイクがかかっていく。
大丈夫、ちゃんと熱いほど焼き付けたから、しばらくは褪せることは無いよ。
そう言うと、ゆっくりと目を閉じて、未だ鮮明に浮かび上がる彼の笑顔を眺むとしよう。
風に吹かれた服の感触が気持ち悪くなる頃には、君の家についているからね。
だから、あと少し待っていてほしいんだ。
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