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特定の国家を揶揄する意図はありません。
俺は今
一面に広がる銀世界を颯爽と滑っている。
足に接続された板を操り、ストックは振り子時計の様に一定のリズムに合わせて動く。
目線を低くし降る姿はまさに、素早く獲物を追いかける狼。
舞い散る雪が言うまでも無く美しい。
どの部分を切り取っても、一つの絵として成り立つ。
腕の良さに気分は高揚、膨れ上がる自信。
スキーはいつでも、俺の心を満たしてくれる。
磁石のような
互いに依存した関係だ。
🇫🇮「…綺麗」
スキーゴーグルを額に上げ、周りを見渡す。
オレンジ色の視界が白に染まる。
雪と空の境界線がやけに眩しく感じた。
綺麗な白い服を纏った木々
クリスマスとは また、違う良さがある。
何度も目にした景色だが
やはり、いつ見ても美しい。
だだっ広い白絨毯に一人浸かっていたい。
気分が舞い上がり、今にも遠吠えをしてしまいそうだった。
頂上のコテージ脇のプラスチック椅子に腰掛けて
リュックサックの中を乱雑に漁り
闇雲に瓶の蓋を開ける。
シュワ…と炭酸らしき音が響き渡り
同時にアルコール独特の香りが
俺の脳を可笑しくさせた 。
大きく瓶を傾けて、喉に液体を流し込む。
その勢いは凄まじく
ゴクゴク…と耳心地の良い音を立てている。
俺のガソリンは、あっという間に注入が完了。
🇫🇮「………美味い」
“一時的な快楽”は
これにて満たされた。
だが
🇫🇮「…こんなとこまで来て酒か……」
幸せを噛み締める時間は
呆気なく終わる。
酒を身体に蓄積していけばいくほど
強い罪悪感に苛まれてしまう。
酒飲んで
気持ち良くなって
後悔して、また飲んで
身体は悲鳴を上げ続けているのに
脳が酒の味を覚えてしまったせいだ。
『なぁ、お前酒止めな?』
『そんな飲んでると、いつか病気になるよ…』
『僕の為にも…お酒は止めて……よ……』
🇫🇮「あ”ぁ…煩い」
又これか
酒を止めろだの病気になるだの
耳が腐るほど聞いてきた声どもが
脳内に響き渡った。
“お前”が快楽を求めた癖に
こんな時に限って図々しい。
疎ましく思ったが
其れを忘れるかのように、再び酒を口にする
ずるずると此奴に依存する自分が
心底哀れに見えた。
あぁ…どうだって良いや
人生なんて
堕ちるまで堕ちてしまえよ。
終