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『盗んだバイクで走り出す』
そんなフレーズが有名な歌。ミュージシャン
1992年4月25日。短い人生が幕を閉じた。
その翌月オレは生まれた。少し早く梅雨が
始まった。その日はずっと雨が降っていた。
オレが生まれた日。父さん、渉 26歳
盗んだバイクでの事故が起き死亡した。
オレは生まれた瞬間から音楽の神様に呪われている。
ギターを弾き、歌う「15の夜」を流しながら
ふっとカレンダーを見た。明日、オレの誕生日
28歳になるのだ。ﾎﾟﾀﾎﾟﾀと目から水が溢れ出す
水を拭き取り、またYouTubeで歌を長して
ギターを弾き、狂ったように歌った。
オレはいつの間にか死体のように眠っていた。
めんどうで髪を切っていない、無防備に伸びた
髪を縛り、お湯を沸かしカップ麺を猛獣の様に
食べ荒らした。 口の中がネバネバしていて
気持ち悪かったが歯を磨かなかった。
ヨレヨレのシャツ、臭いがきつく、すぐ
脱ぎ捨て洗濯かごに投げ入れた。
ﾋﾟｺﾝと携帯が鳴る。誰か分かりきっていた。
ｷﾞｷﾞｷﾞ…. ｷﾞｨー… 縄が部屋の隅から隅まで
響き渡った。
「父さんでも死ねたのに」
か細い声震えた声で発した。
