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パンケーキが食べたい😋
何分経っただろうか。
心優しい人も
最初は話しかけてくれて
いたが、
今は沈黙。
少し気まずいと
感じていた時だった。
一人の声が僕を呼ぶ。
店主だ。
そう言われて
三つのナイフが
俺の前に広げられた。
予想外の出来だった。
まさかあの三つのぼろぼろ
のナイフがこんなにも
新品
いや新品以上になるとは
思わなかった。
少し二人が目を見合わせた。
眉間にシワをよせ
チラシを少し乱暴に渡してきた。
行方不明 名前 zm 2019.12.27 行方不明
指名手配&行方不明 名前 syp 2019.12.27 行方不明
頭が痛い。
気分が悪い。
行方不明のチラシ。
何を今更こんなことを。
何故sypも。
頭が混乱している。
だめだ。
冷静を保とう。
このことを忘れよう。
何か話をしよう。
何か、
何か。
先程通りだろうか。
バレてはいないだろうか。
なんとも言えない
不安が僕を襲っている。
その紅い瞳で見つめないで。
嗚呼
やはりこの人は
僕はあの人と重ねてしまう。
総統様。
僕はこの人が苦手なんだ。
僕は初めてこのことを
認識した。
紅いその目は
何も映らない。
僕を、
僕たち人間を
見ていない。
人間の心を見ている。
なんてまっすぐで
紅い瞳なんだろう。
僕はその言葉で
少し安心した。
その目は僕を見ていない。
僕のことが見えていない。
何故だろう。
少し戸惑った。
なぜ僕に向かいの店を
おすすめしたのだろうか。
疑問が浮かんだ。
心優しい人を見た。
顔が真っ赤だ。
瞳と同じ赤い。
おそらく、
僕の気を悪くしてしまったから
向かいの店で
休んでくれ。
ということだろうか。
不器用だ、な。
総統様にそっくりだ。
嫌気がさす。
僕は武器屋をそっとあとにした。
チャリンチャリン
お洒落な店とでも言うべきだろうか。
店に入った瞬間
はちみつのような甘い匂い
が鼻についた。
店員さんが話しかける。
懐かしいと思う。
そんな自分が馬鹿だと思う。
総統様と仲間の外交官。
確か二人は甘いものが好きだった。
だから僕は
よく二人に甘いものを
あげて、
二人が仕事しなくなって
書記長に怒られて
その繰り返しの日々だった。
「遠い昔の記憶は美化される」
よく言ったものだ。
僕は
二人が好きだった
苺のパンケーキを頼んだ。
一口、口に運ぶ
甘いはちみつが口に
どろっと広がり
いちごの甘酸っぱさで
緩和する。
パンケーキの食感も
わたあめのように
ふわっとしていて
比較的食べやすいパンケーキだった。
パンケーキはとても甘い。
美味しい。
でもそんな甘さと共に
懐かしい記憶が
美化された思い出が
はちみつのように
流れ込む。
はちみつが
古傷のかさぶさ溶かし
苺がフォークのように古傷を刺し
生地が
僕を逃さないように拘束した。
いっきに水を飲み込んだ。
さっきの人たち
名前はなんというのだろうか。
聞かなかったことを
後悔した。
ここの店員さんと
あの心優しい人
武器屋の店主。
懐かしい感じがする。
パンケーキを完食し
眠る前のあのふわふわした
感覚に襲われて
意識を手放してしまった。