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茉莉
担任の合図で教室に入り、皆の前ではっきり名前を告げる。
もっと騒がしいのかと思っていたが、意外と人の話を聞いてくれる人達の様だ。
いやそもそもの話まだ全員が出席している訳ではないからか。
空いている1番後ろが私の席になった。
クラスメイトの間を通り過ぎながらその席に向かう途中も、痛い視線が刺さる。
それを見ない様にしながら席に着くと、前の席の子が振り返った。
優梨
優梨と名乗った子は、大人っぽい顔立ちと高い声にギャップのある子だった。
人懐っこいその笑顔に少しだけ警戒心が薄れた。
そんな弱い心を振り切って、私は無垢な笑顔を浮かべて見せる。
茉莉
優梨
優梨
そう、この辺りは東京卍會と言う暴走族が牛耳っていて、この高校の生徒の大半はそのメンバーだと聞いている。
だから彼女が疑問に思うのも当然の事なのだ。
普通に過ごしている女子高生なら、この荒れた学校に好んで転校する子はいない。
茉莉
茉莉
東京卍會の事なんて知らなかった風を装って、ごく自然に応える。
優梨
優梨
優梨
……悪い奴らじゃないって何だよ。
だとしたら何処からが悪い奴の基準?
喧嘩はするけど根が良ければそれで良いって言うの?
仲間の為なら他は関係ない、それが良いやつ?
はあ?
私には全然分からない。
茉莉
優梨
優梨
私は彼女の顔をもう一度まじまじとよく見る。
松野千冬の、彼女……。
内心震え上がる喜びを、隠すのが大変だった。
まさかこんなにも早く東卍のトップに近づけるだなんて。
幹部の彼女から仲良くなるのが、1番良い攻め方な気がした。