莉絵
…私、また何か忘れた感じだ。

莉絵
怖い…私、悠貴と智美の事、全部忘れちゃうの…?

莉絵
そんなの、イヤだよ…!!

莉絵
早く、早く悠貴に伝えないと、私には、時間がないよ…!!

悠貴
…莉絵?

莉絵
悠貴

莉絵
この前はありがとう。私、智美に伝える事が出来た。

悠貴
良かった。莉絵が安心したならそれでいい。

悠貴
…聞きたいんだけど

莉絵
何?

悠貴
今、莉絵ここにいるんじゃないのか?僕は、前にも言ったはず。霊感があるって。

悠貴
気配がする。でもこの気配はどう考えても莉絵だろ。

悠貴が顔を上げると、恥ずかしそうに俯く莉絵が見えた。
悠貴
やっぱりいたんだ。

莉絵
うん。

莉絵
私、智美には見てもらえなかったけど、悠貴なら見えるかもと思ったから降りてみた。

悠貴
見えてるよ。まあこっち来いよ。

莉絵
う、うん。

悠貴
…この海でさ、莉絵がクラゲに刺されて、一生懸命皆と一緒に僕、莉絵を助けようとした事あるんだよ。覚えてる?

莉絵
…?

莉絵
う、うん…。

悠貴
だから、家から時間かけてここに来るわけ。莉絵の事を、忘れないようにな。

莉絵
…悠貴。私の事、忘れていいよ。

悠貴
え?

莉絵
私…成仏、しちゃうでしょ?だから、幸せになって欲しい。そう思ってる。私のせいで、悠貴を縛りたくないの。

悠貴
そう言うと思った。でもさ、莉絵。僕は多分後にも先にも莉絵だけだと思う。

悠貴
まず、僕から付き合って下さいって言ったろ?ずっと本気だったんだからな!

莉絵
…うん。

悠貴
何言わせんだよ、全く…。

悠貴
で?莉絵、僕に言わなきゃいけない事ってのは…?まだ、言えない事あるんだろ?

悠貴
…莉絵、どこか行ったな。

彼氏舐めんな。
どれだけ重い病気持っててつらかったかなんて、どんな時も近くにいた僕が一番知ってるんだ。
莉絵。お前が逃げようとしている事に、僕は立ち向かってみせる。莉絵を、安心させてやる。
莉絵
悠貴

莉絵
ごめんね、急に逃げてしまって。

悠貴
ビックリするわあれは

悠貴
お前が突然消えたんだから!

莉絵
だよね(笑)

悠貴
…ちょっと、今こっち来れる?

莉絵
え?…うん、一応…。

悠貴
来れるじゃないな。むしろ来い。彼氏命令!

莉絵

莉絵
分かった。

悠貴
…!!

悠貴は、隣にいる莉絵の体が少し透けているのに気づいた。
莉絵
…気づいた?私、もうすぐ成仏しちゃうの。

莉絵
もう、悠貴に会えなくなるんだ。

悠貴
…そうか。
