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LINE1008

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LINE1008

1 - あ

♥

40

2023年08月14日

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リョウコ

お部屋に関するご要望は、他に何かありますか?奥様。

セイコ

そうね、窓はもう少し小さいほうが良いわ。

セイコ

バス通りから近い家だし、部屋の中を見られるのは心配だから。

リョウコ

窓が小さいと日当たりが悪くなりますよ。

セイコ

そうだけど、そこは娘の部屋にするつもりなのよ。

セイコ

年頃になったら、外からの視線にも気を付けないといけないでしょ。

リョウコ

あら、心配性なんですね。

リョウコ

そんなに気になさらなくても、人目を気にする必要は無いと思いますよ?

セイコ

ん?どういう意味ですか。

リョウコ

だって娘さん、奥様にそっくりじゃないですか?

リョウコ

男性に狙われるような外見じゃないから、ご心配なさらなくても平気ですよww

セイコ

それって、つまり私と娘が〇スって事を言いたいの?

セイコ

随分失礼な事を言ってくれますね。

リョウコ

とんでもない!そんな意味で言ったわけじゃありませんよ。

リョウコ

ただ、お二人とも控えめな外見をしていらっしゃるから、

リョウコ

〇質者に狙われる事はないんじゃないかな~って思っただけですわ。

セイコ

そうかしら。

リョウコ

はい。誤解させてしまってごめんなさいね。

セイコ

ごめんなさい、ねぇ。私は客だから、この場合は

セイコ

申し訳ありません。って言わないとね。

リョウコ

はあ。そうですかね。

セイコ

リョウコさん、あなたが私達の営業担当だからはっきり言うけど

セイコ

あまり接客態度は良いとは言えないわね。

リョウコ

え?そうですか?これでも丁寧にやっているつもりですけど。

セイコ

全然良くないわ。今度失礼な事を言ったら上司の方に報告させて頂きます。

セイコ

ウチの担当から、リョウコさんを外してくださいってね。

リョウコ

え!それは困りますぅ。

リョウコ

そんな事をされたら私のノルマが達成出来なくなっちゃう。

セイコ

言葉使いも、あんまり良くないわね。

セイコ

キチンと直さないと、この先痛い目に遭うわよ。

セイコ

世の中、もっと怖い人がいるんだからね。

リョウコ

はーい。承知しました。

セイコ

本当に分かっているのかどうか怪しい所ね…。

セイコ

それで、最初の話に戻るけど、窓は小さい方のタイプでお願いね。

リョウコ

はい、それも承知いたしました。

セイコ

それじゃ、またよろしくお願いします。

リョウコ

よろしくお願いいたします。

~その日の夜~

リョウコ

ちょっと、トシちゃん!あなたの奥さんめっちゃムカつくんですけど!

トシヒコ

どうしたの、リョウコちゃん。

リョウコ

あなた達の家の設計の事で、今日LINEで奥さんとやり取りしたの。

トシヒコ

うん、それで?

リョウコ

そしたらさ、娘ちゃんの部屋の窓を小さくしてくれって言うから

リョウコ

日当たりが悪くなるし、

リョウコ

人に部屋を〇かれる心配なんてありませんよって言ってあげたの。

トシヒコ

へえ。

リョウコ

でも奥さんがさ、なんか訳の分からない事でキレ出して、

リョウコ

私に謝れって強要するんだもん。

トシヒコ

なんだって。リョウコちゃんにキレただって?

リョウコ

そうよ。私、すごく嫌な思いしたんだから。だって凄く偉そうな言い方するんだもん。

リョウコ

私は客なんだから、ゴメンなさいじゃなくて、申し訳ありませんって言いなさい

リョウコ

…なんて言っちゃってさ。

トシヒコ

そりゃぁ、ウチの嫁が悪かったね。ごめんよ。

リョウコ

私の態度が気に入らないから、今度失礼な事をしたら

リョウコ

私をトシヒコさん達の営業担当から外すって言われたよ。

トシヒコ

ええ?それは困るよ。

トシヒコ

せっかく、家を建てるお蔭でリョウコちゃんと知り合えたのに。

リョウコ

でしょう?私も困るのよ。だってノルマがあるんだもの。

トシヒコ

そうだったね。ノルマは大事だよ。

トシヒコ

セイコには、余計な口出しをしないようにクギをさしておく。

リョウコ

え、どうやって注意するの?

リョウコ

余計な事を言ったら、私達が付き合っている事がバレちゃうよ。

トシヒコ

簡単だよ。次回から、家の設計の事は俺に連絡をすればいいよ。

リョウコ

あ、そっか。

トシヒコ

家の事で連絡を取る分には、アイツも怪しまないだろうし。

トシヒコ

俺達も、それを口実に堂々と連絡が取れるから、いいだろう?

リョウコ

そうね、今度からそうしましょう。

リョウコ

トシちゃんと話せるなら、たとえ仕事の話でも楽しいわ。

トシヒコ

俺もだよ。出来れば家が出来たら、リョウコちゃんと住みたいな。

リョウコ

やだ、冗談言っちゃって。

トシヒコ

半分は本気だけどね。

トシヒコ

嫁と暮らしていても、なにも会話が無いし、たまに喋ったと思うと、

トシヒコ

大体俺への文句だぜ?楽しくも何ともないんだよ。

リョウコ

トシちゃん、可哀そう。私が何とかしてあげたいわ。

トシヒコ

リョウコちゃんには、いつも癒されてるよ。

トシヒコ

今度の日曜日の打ち合わせは、俺一人で行くから。

リョウコ

奥さんと娘さんは?

トシヒコ

なんかピアノの発表会があるから行けないってさ。

リョウコ

トシちゃんは行かなくていいの?

トシヒコ

娘はまだ4歳だよ?たいした曲も弾けないのに、見に行っても意味無いし。

リョウコ

え~、ひどいパパだなぁww娘さんカワイソ~。

トシヒコ

家を建ててやるんだから、そのくらい別にいいだろう。

トシヒコ

そんな事よりも、リョウコちゃんと会う事のほうが大事だよ。

リョウコ

嬉しい。そんな風に言ってくれるなんて。

トシヒコ

なあ、日曜日は嫁も娘も、帰ってくるのが遅いからさ。

トシヒコ

仕事が終ったら、そのまま一緒に出掛けよう。

リョウコ

いいの?せっかくの日曜日なのに。

トシヒコ

いいんだよ。日曜日も仕事のリョウコちゃんに会うには

トシヒコ

絶好の機会だからさ!

リョウコ

分かったわ。じゃあ仕事、早く終わらせるように頑張るわ。

トシヒコ

俺も、夕方に君の会社に行くよ。

トシヒコ

打ち合わせが終った後は、いつものホテルで待ってるから。

リョウコ

わかったわ…それじゃあね。

トシヒコ

うん。愛してるよ~。おやすみ。

リョウコ

私も愛してるわ。おやすみなさい。

~一週間後~

トシヒコ

なあ、セイコ。営業担当のリョウコさんに昨日会ってきたぞ。

セイコ

昨日の打ち合わせって、家の設計の事?

セイコ

何か問題があったの?昨日は私、行かれなかったけど。

トシヒコ

お前が打ち合わせに来なかった事なんて、どうでもいいんだよ。

トシヒコ

それよりもさ、リョウコさんに随分ヒドイ事を言ったらしいな?

セイコ

ヒドイ事?何のことかな。

トシヒコ

とぼけるなよ!お前、彼女の言葉使いにネチネチとイヤミをいったそうじゃないか。

セイコ

ネチネチ?少し注意しただけよ。だって彼女すごく失礼なんだもの。

セイコ

娘のアキナの事も、私の事も、まるで〇スみたいな言い方するし

セイコ

言葉使いも、まるで友達同士みたいに雑で、気になってたから。

トシヒコ

お前らが〇スなのは本当の事だろ!

セイコ

はあ?私の事はともかく、アキナの事までそんな風に言うなんて!

セイコ

一緒に怒ってくれてもいい所なのに、あなたがそんな風に言っちゃダメでしょ?

トシヒコ

本当の事だからしょうがないだろ?

トシヒコ

お前、自分が可愛くないからって、美人のリョウコさんに嫉妬してるんだろ。

セイコ

ちょっと、何を言ってるのよ。全然違うわよ。

セイコ

ただ、彼女の接客態度が良くないから指摘してあげただけなのに

トシヒコ

そんなの言い訳だ。絶対、嫉妬だろう。

セイコ

あの人に嫉妬する理由なんて無いわよ。

セイコ

っていうか、なんでそこまで不動産会社の営業担当を庇うの?

トシヒコ

え?それは別に…ただ彼女が気にしていたから、可哀そうになっただけだよ。

セイコ

可哀そう?そんなの別に放っておけば良いじゃない。

セイコ

パパが発表会に来てくれなくて、寂しがってたアキナのほうが

セイコ

よほど可哀そうだったわよ。

トシヒコ

発表会なんて来年もあるだろう。

トシヒコ

アキナには今度、オモチャでも買ってやるしさ。

セイコ

モノでごまかすのはやめて欲しいわ。

セイコ

それにあなたの、リョウコさんへの肩入れの仕方も普通じゃないわね。

トシヒコ

そんなことないよ。俺は常識の範囲で言ってるだけだ。

セイコ

そう…?それならもう少し、アキナの事も構ってあげてちょうだい。

トシヒコ

分かったよ。もう少し世話するから。

セイコ

ええ、お願いね。

~3か月後~

トシヒコ

あのさ、家が完成したばかりで、引っ越し中の所を悪いんだけど。

セイコ

うん。何?

トシヒコ

一緒には住めない。彼女と住むから、お前は出て行け!

セイコ

はあ?何を言ってるの。あなた本気?

トシヒコ

いや、本気だよ。

セイコ

冗談じゃないわ。もう荷物は新居に運んだわよ。

セイコ

引っ越し業者も、帰ったし。

セイコ

大体、引っ越し当日に家に居ないなんて、一体何を考えてるのよ。

トシヒコ

俺、本気で好きな人が出来たんだよ。

トシヒコ

もう付き合って半年になるんだけど、彼女が妊娠しちゃってさ。

セイコ

あのさ…自分の立場、分かってる?

セイコ

親に結婚報告するみたいな感覚で、報告するのやめてくれない?

トシヒコ

いやぁ、そういうつもりじゃないんだけどさ。

セイコ

じゃあ、どういうつもりよ。

トシヒコ

彼女の出産予定が、3月だからそれまでにちゃんとしなきゃと思ってさ。

セイコ

ちゃんとする?つまりそれは…。

トシヒコ

お前とは離婚する。

セイコ

やっぱり。

トシヒコ

え?やっぱりって?

セイコ

私が何にも気づいてないと思ってたんだね…。

トシヒコ

へ?

セイコ

この数か月間、あなたの行動がずっと怪しいと思ってたのよ。

トシヒコ

怪しいって、お前まさか。

セイコ

あ、尾行なんて面倒な事はしていないわよ。

トシヒコ

じゃあ、気付いていたなんてのは、タダのハッタリだよな。

セイコ

ハッタリなんかじゃないわ。

セイコ

地道に証拠を集めていたから、いつそれを切り出そうかと考えてたところよ。

トシヒコ

証拠…?

セイコ

でもまあ、自分から告白してくれたから

セイコ

面倒な手間が省けて良かったわよ。

トシヒコ

じゃあ、お前達が新居から出て行ってくれるんだよな?

トシヒコ

荷物を実家に送る金くらいは出してやるから。

セイコ

いくら?

トシヒコ

そうだなあ、10万円くらいかな。

セイコ

10万?全然足りないわよ。

トシヒコ

じゃあ、20万円でどう?

セイコ

引っ越し代の事じゃなくて、慰謝料よ!それに養育費があるでしょ!

トシヒコ

残念ながら金は無いよ。家を建てる時に使っちゃったじゃん。

セイコ

ウソを言ってもムダよ。会社の定期預金がある事はちゃんと知ってます。

セイコ

私にはお金が無いって嘘をついて、頭金も出さなかったわよね。

トシヒコ

え、知ってたのか。

セイコ

それに、すっごい大事な事を忘れているようだけど?

トシヒコ

へ?何のこと?

セイコ

この家、私のものだけど。

トシヒコ

え、なんで?

セイコ

あなたの収入が足りないからローンが組めなくて、私の名義にしたでしょ。

トシヒコ

名義を俺に変えてくれればいいよ。だって頭金1千万円も払ってくれただろう?

トシヒコ

建物のローンだけなら、リョウコと二人で働けば何とかなりそうだし…。

セイコ

それだけじゃないわよ。土地の名義は誰だっけね?

トシヒコ

へ?俺じゃないの?家を建てる時、お義父さんが

トシヒコ

好きに使って良いよって言ってくれたから、てっきり俺にくれたんだと思ってたけど。

セイコ

本当に〇カね、あなたって。

セイコ

土地の名義変更の手続きなんて、一切していないじゃないの。

セイコ

彼女に夢中になり過ぎて、脳が溶けちゃったのかな?

トシヒコ

え、名義変更していないの?お前が手続きしてたものだと思ってた…。

セイコ

本当に呆れたわ。ここまで抜け作だと思わなかった。

セイコ

土地の名義は、昔も今も私の父のまんまよ。

セイコ

だから、あなたには家や土地をどうこうする権利なんて、一切ありません!

トシヒコ

そ、そんな。じゃあ、俺達はどこに住めばいいんだ?

セイコ

そんなの知りません!住むところが無いなら実家にでも帰れば?

トシヒコ

そ、そんなぁ。まだ母さん達には何も言っていないのに。

セイコ

あの厳しいお義母さまが、〇倫の事を知ったらどうなるかしら。

セイコ

許してくれると良いわね~。

トシヒコ

な、なあ。せめて慰謝料と養育費は待ってくれないか。

トシヒコ

金が貯まったら払うからさ…。

セイコ

そんなの信用するわけないじゃん。

セイコ

あなたにも、あの女にもしっかり請求させてもらいますからね!

トシヒコ

そんな!勘弁してくれよ。お金が無いんだよぉ。

セイコ

頑張って働きなさいよ。後の事は弁護士経由で話し合いましょう。

トシヒコ

セイコ~、許してくれ…。

~後日談~

セイコ

その後、私とトシヒコは無事、離婚が成立しました。

セイコ

土地名義は父、建物名義は私だったので、

セイコ

当然トシヒコの手元には何も残りませんでした。

セイコ

彼に残されたのは、慰謝料と養育費の支払い義務と、

セイコ

職を失った妊娠中のリョウコだけ。

セイコ

リョウコは、顧客である私の夫と〇倫し、妊娠までしていた事が

セイコ

不動産会社の中でも大問題になり、産前休暇に入る前に解雇されたそうです。

セイコ

不動産会社の責任者には平謝りされました。

セイコ

リョウコ個人にも勿論慰謝料を請求し、速攻で払わせました。

セイコ

そんなリョウコを抱えたトシヒコは、仕方なく自分の実家に身を寄せました。

セイコ

想像通り、厳格な義母は息子に大激怒!

セイコ

母屋の敷居を跨ぐ事は決して許さない、と言って

セイコ

なんとトシヒコとリョウコを、庭の外れのあずまやに住ませたのです。

セイコ

元夫の実家は山間の田舎なので、そんな古い建物がちゃんと残ってるんですね。

セイコ

風呂は当然無いし、トイレも昭和の中期に造られた、古い離れの小屋です。

セイコ

そんな不便なあずまやで過ごす二人は、もはや離婚寸前だと聞きます。

セイコ

義母はアキナをとても可愛がってくれているので、時々そんな頼りを下さるのです。

セイコ

私は、一人娘のアキナと共に、出来たばかりの新居で伸び伸びと暮らしています。

セイコ

見守ってくれる人達に感謝しながら、健やかに子育てしていこうと思います。

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