一覧ページ

LINE1289

第1話 - あ

2023年11月04日

#恋愛

結城　真矢

ココネ

ねえ、いつになったら奥さんと別れてくれるの！？

ココネ

もう私たち、3年になるんだよ。

ココネ

私、来年には30歳になっちゃうし、

ココネ

もうそろそろ結婚したいよ…。

ゴロウ

ごめんね、ココネ。

ゴロウ

まだ子供が低学年だし、今は離婚は難しいと思うんだ。

ココネ

去年もそう言ってた。

ココネ

子供が幼稚園に上がったら、とか

ココネ

小学校に入学したら、とか言っちゃってさ。

ゴロウ

いや、子育てがこんなに大変とは思わなくってさ。

ゴロウ

俺だって早くココネと一緒になりたいよ。

ゴロウ

でも、現実的にはまだまだ厳しいっていうか…。

ココネ

あなたは自分の都合ばっかり！

ココネ

私だって、子供がほしいのよ。

ココネ

それなのに、もうすぐ30歳になっちゃう。

ゴロウ

もうそろそろハッキリさせるよ。

ココネ

本当？

ゴロウ

ああ。

ゴロウ

一日でも早く、妻を説得して、

ゴロウ

離婚に応じてもらえるよう頑張る。

ココネ

今度は信じていいの？

ココネ

だって、何年も奥さんが離婚したくないってゴネてて、

ココネ

離婚話が進まないって言っていたでしょう…。

ゴロウ

うん。そうなんだけど。

ゴロウ

俺もココネとそろそろ一緒に暮らしたいし。

ココネ

私もよ。

ゴロウ

子供の事もなんとかする。

ココネ

なんとかするって？

ゴロウ

離婚したら養育費を払うだろう。

ココネ

そうね。

ゴロウ

でもあんまり沢山払っちゃうと、ココネとの生活がくるしくなるから

ゴロウ

最低限で済むように、妻に交渉するんだ。

ココネ

あ、そういう意味か。

ココネ

てっきり、子供を引き取るとか言い出すのかと思った。

ゴロウ

まさかｗ

ゴロウ

俺は、ココネとの子供が欲しいから、

ゴロウ

養育費の支払いは最低限でw

ココネ

ヒドイ父親ねw

ココネ

でも、私と結婚してくれるなら、どうでもいいわ。

ゴロウ

ココネ、愛してるよ♡

ココネ

私も大好き。

ココネ

絶対に一緒になろうね！

～翌日～

ゴロウ

なあ、突然だけどさ。

ゴロウ

俺、来月から転勤になった。

ナノカ

え、どこへ転勤するの？

ゴロウ

北海道。

ナノカ

北海道！？

ナノカ

アナタの会社、北海道に支店なんかあったっけ？

ゴロウ

新規で立ち上げるんだよ。

ゴロウ

それで、スターティングメンバーとして、俺に来てほしいって。

ナノカ

へえ…。

ナノカ

北海道のどこ？

ゴロウ

札幌だよ。

ナノカ

そう、便利な所で良かったわ。

ナノカ

すぐお引越しの準備しなくちゃね。

ゴロウ

それがさぁ、ナノカ。

ゴロウ

住居がすぐに用意出来ないから、

ゴロウ

1人で来てほしいって。

ナノカ

え、そうなの？

ナノカ

どうしてそんな急なの…？

ゴロウ

まあ、会社の事情だからな。

ゴロウ

そんなわけで、来月から単身赴任で北海道に行くよ。

ナノカ

ちょっとまって。

ナノカ

急すぎて理解出来ないわ。

ナノカ

それ、どうしても行かなきゃダメな辞令なの。

ゴロウ

そうだよ！

ゴロウ

会社の命令は絶対だからね。

ナノカ

そっか。

ナノカ

じゃあ、しかたないね。

ナノカ

ちなみに、何年くらいの予定？

ゴロウ

わかんねーの。

ナノカ

え？聞かされてないの？

ゴロウ

だって、かなり急だったし。

ゴロウ

新しく立ち上げた支店だから、

ゴロウ

落ち着くまではメンバーを変えないって言われてるんだよ。

ナノカ

じゃあ、当分はこっちに戻れないってこと？

ゴロウ

そうだね。

ゴロウ

まあ、年に何度かは帰ってこれるかな。

ナノカ

そう。

ナノカ

でも、私たちも北海道に遊びに行けるってことだよね。

ナノカ

子供も喜ぶだろうし。

ゴロウ

あ、そのことなんだけど。

ゴロウ

家は会社が借り上げてる、単身者用の狭いマンションになるから

ゴロウ

あまり家族は呼ぶなって言われているんだ。

ナノカ

ええ？本当に会社がそんなコトをいうの？

ナノカ

家族の時間を奪うような命令ね。

ゴロウ

ああ、ひどいだろう？

ゴロウ

でもこれも出世のためだからさ、

ゴロウ

ちょっとガマンして欲しいんだ。

ナノカ

あんまり納得いかないけど。

ナノカ

とりあえず引っ越しの準備をしないといけないのかしら。

ゴロウ

そうだな。

ゴロウ

それでさ、2軒分の家賃を払うのは勿体ないから、

ゴロウ

お前たちは、出来れば実家にかえってほしい。

ナノカ

え？このマンションに住んでちゃいけないの。

ナノカ

せっかく去年買ったばかりなのに…。

ゴロウ

ごめん、でもお前は専業主婦だろう？

ゴロウ

だから、どこに住んだっていいじゃないか。

ゴロウ

生活費はちゃんと出すからさ。

ナノカ

そうね…。

ナノカ

1人で子育てするのはちょっと不安だし、

ナノカ

実家に相談してみるわ。

ゴロウ

助かるよ、そうしてくれ。

ゴロウ

じゃ、もうすぐ昼休みが終わるから。

ナノカ

はーい。

～その夜～

ゴロウ

ココネ、妻が離婚に応じてくれた。

ゴロウ

養育費も月に3万円でいいってさ。

ココネ

ほんと？

ココネ

じゃ、本当に結婚してくれるの。

ゴロウ

ああ、もちろん。

ゴロウ

来月には妻たちが引っ越すから、

ゴロウ

そうしたら、俺のマンションで暮らそう。

ココネ

うれしい！あのタワーマンションで一緒に暮らせるのね♪

ゴロウ

妻が出て行った後だから、新築じゃないけど、いい？

ココネ

いいわ。でも…。

ココネ

奥さんはどこに引っ越すの？

ゴロウ

ああ、そのことだけどさ、

ゴロウ

妻たちは、県外にある実家に引っ越すから、

ゴロウ

もうマンションには戻らないよ。

ココネ

良かったぁ。

ココネ

万が一、鉢合わせたら気まずいもの．．．。

ゴロウ

その心配はないよ。

ゴロウ

妻たちが出ていったら、こっちに引っ越しておいで。

ココネ

うれしいわ。本当にアナタの妻になれるのね。

ゴロウ

やっと一緒になれるね。

ココネ

ずっとゴロウのそばにいるわ。

ココネ

決して私を裏切らないでね。

ゴロウ

もちろん．．．

ゴロウ

ずっと大好きだよ。

ココネ

私、幸せよ…

～3カ月後～

ナノカ

単身赴任になって3カ月目ね。

ナノカ

最近、ヘンな噂を聞いたんだけど。

ゴロウ

ヘンなウワサってなに？

ナノカ

私たちが前に住んでいた家の事よ

ナノカ

単身赴任の間、あなたの知り合いに貸すっていうから、

ナノカ

家具をそのまんまにしていったけど…。

ゴロウ

それがどうかしたの？

ナノカ

なんか、私のママ友がね。

ナノカ

あなたにソックリな人を近くで見かけたっていうんだよね。

ゴロウ

え、ママ友？

ゴロウ

おまえ、そんなのいたっけ。

ナノカ

いたわよ、何人も。

ナノカ

そのママ友たちが、あなたが若い女の子と一緒に

ナノカ

スーパーで買い物しているのを見かけたっていうの。

ゴロウ

え？そんなバカな。

ゴロウ

だって俺、北海道に住んでいるんだよ。

ナノカ

本当に単身赴任しているの？

ナノカ

1人で北海道に言ったフリをして、実はまだ

ナノカ

あの家で暮らしているんじゃないの？

ゴロウ

ち、違うよ、誤解だって。

ゴロウ

だってこの間、北海道での動画を送っただろう。

ゴロウ

きっと、お前のママ友の見間違いだよ…。

ナノカ

そうかなぁ。。。

ナノカ

じゃあ、こんど単身赴任先に行ってもいい？

ナノカ

あなたがどんな暮らしをしているのか気になるしね。

ゴロウ

え、それは困る。

ナノカ

なんでよ。

ゴロウ

だって、飛行機だよ？金がかかるじゃん。

ナノカ

そんなの平気よ。

ナノカ

だって私、パートを始めたんだもん。

ナノカ

看護師のパートよ。時給2100円。

ゴロウ

え？そうなの。

ナノカ

そう。だからお金の心配はいらないよ。

ナノカ

来週、休みが取れそうだから行くわ。

ナノカ

住所も教えてよね。

ゴロウ

あ、ちょっとゴメン。

ゴロウ

取引先から電話が掛かってきちゃった。

ゴロウ

またかけ直すから！

ナノカ

え、まだ話が終わってないのに。

ナノカ

ほんと勝手な人ね…。

～2日後～

ココネ

ゴロウ、私ちょっと心配なんだけど。

ココネ

あなた婚姻届け、ちゃんと出してくれた？

ゴロウ

え、なんで？

ココネ

だって一緒に役所に行きたかったのに、

ココネ

1人で行くからいいって言ってたよね。

ゴロウ

そうだったね。

ゴロウ

ちゃんと出してきたよ…。

ココネ

本当に？

ゴロウ

本当だよ…。なんで急にそんなことを聞くんだ？

ココネ

だって、私の両親にも友達にも、

ココネ

「あなたは騙されているって言われたのよ…。」

ゴロウ

ばかだなあ、そんなの信じるなよ。

ゴロウ

ココネは俺の妻だよ。安心しろって。

ココネ

でも何かがヘン。

ココネ

ご両親にも絶対に会わせてくれないし。

ココネ

めったに一緒に出掛けてくれないし…。

ゴロウ

ごめんよ、ココネ。

ゴロウ

前妻と別れたばかりだから、色々と気まずくてさぁ。

ココネ

本当にそれだけ？

ゴロウ

そうだよ。

ココネ

なら信じる。

ココネ

本当にウソはついてないよね。

ゴロウ

大丈夫だよ！

ココネ

分かった…。

ココネ

アナタを信じるわ。

ゴロウ

よかった、落ち着いたね。

ゴロウ

じゃ、また出張に行ってくる。

ココネ

いってらっしゃい。

～翌日～

ナノカ

（不在着信）

ナノカ

ちょっと、電話に出て！

ナノカ

あなた、やっぱりウソをついていたのね。

ゴロウ

なんだよ、急に騒いじゃってさ。

ゴロウ

いったい何があったんだ。

ナノカ

もう言い逃れさせないわ。

ナノカ

あなた、北海道に行ったなんて大嘘じゃないの！

ゴロウ

え、何のこと…。

ナノカ

あなた、私が元同僚だってことを忘れてた？

ゴロウ

いや、覚えてるけど…。

ゴロウ

それがどうしたの。

ナノカ

昨日、元上司のテンドーさんと連絡を取ったの。

ナノカ

ゴロウの居場所を聞くためにね！

ゴロウ

へ？

ゴロウ

居場所を聞いたって、まさか…。

ゴロウ

俺がどこにいるのかを聞いたのか？

ナノカ

そうよ。

ナノカ

アナタの行動があまりにもおかしいから！

ゴロウ

マジか。

ナノカ

あなた、転勤したなんて大嘘だったのね。

ナノカ

今も本社にいて、あの家から普通に通ってるって聞いたわ！

ゴロウ

ウソだろう…。

ゴロウ

ついにつきとめちゃったか…。

ナノカ

しかも、女性と一緒に暮らしているそうね。

ナノカ

同じマンションに住んでたママ友に、写真も送ってもらったわ！

ゴロウ

し、写真！？

ナノカ

ええ。しっかりツーショット写真が撮れたわよ。

ナノカ

まさか、私たちの家に女を連れ込むなんて！

ゴロウ

ちがうよ、彼女は知り合いの妹さんなんだ！

ナノカ

はあ？

ゴロウ

あの子はストーカー被害に遭っててさ、

ゴロウ

防犯上の理由で、一時的に部屋を貸してるんだ。

ナノカ

ウソをつくのはもうやめて。女性は会社の後輩でしょ？

ナノカ

そのことも、テンドーさんから聞いたわ。

ナノカ

あなたが、社内不倫していることはもっぱらの噂だって。

ゴロウ

いや、ちがう、誤解だよ…。

ナノカ

さっき、写真があるって言ったけど、

ナノカ

実は、車でキスしている写真を送ってもらったのよ！

ゴロウ

何だって…。

ナノカ

もうあなたとは離婚よ。

ナノカ

こんなヒドイウソをつかれて、信じられるワケがない。

ゴロウ

ご、ごめん。

ゴロウ

彼女とはすぐ別れる。

ゴロウ

だから離婚はしないでくれ！

ゴロウ

そんな事になったら、俺、会社にも居られなくなるよ。

ゴロウ

ナノカ、頼む。

ゴロウ

ちゃんと話し合おうよ…！

～その日の夜～

ココネ

ゴロウ、やっぱり私にウソついてたでしょ！

ココネ

今日、いきなりあなたのお母様がきたのよ！

ゴロウ

ええ？母さんが？

ココネ

家をたずねてくるなり、「アナタはいったいなんなの？」

ココネ

「ここはゴロウとナノカさんの家よ、早く出ていきなさいって」

ココネ

凄い剣幕で怒鳴られたのよ。

ココネ

だから私、ゴロウの妻ですって自己紹介したの。

ゴロウ

そ、そうなんだ…。

ココネ

そしたら、前妻とは離婚なんてしていないって言ってたの！

ココネ

親にも説明してないってどういうことなの？

ココネ

本当は婚姻届けも提出していないんじゃないの？

ゴロウ

ご、ごめん！

ゴロウ

実は妻とも離婚なんてしてないんだ…。

ココネ

へ？

ココネ

離婚すらしてないの？

ココネ

じゃあ、私は愛人の立場のままだったってこと？

ゴロウ

すまない、そういうことになる。

ゴロウ

だけど妻にもこの事がバレちゃって。

ココネ

は？

ココネ

バレちゃったってどういうこと。

ココネ

離婚の話すらしていなかったの？

ゴロウ

ごめん！何も話してなかった。

ココネ

信じられない…。

ココネ

私、あなたを信じて3年も待っていたのに！

ゴロウ

あ、でも今度こそ結婚出来るかもしれない！

ココネ

はあ？今更？

ゴロウ

だって妻が、離婚するって言ってるから。

ゴロウ

別れたら、君と再婚出来るだろう？

ココネ

冗談じゃないわよ、誰がアンタみたいなウソつき男と結婚なんて！

ココネ

ゴロウがやったことは、結婚詐欺とおんなじだからね！

ゴロウ

さ、サギ！？

ココネ

あなたを訴えてやるんだから！

ゴロウ

え、ちょっとまって、訴えるって、どこに？

ココネ

決まってるでしょ、サギなんだから警察よ！

ゴロウ

えええ。

ココネ

絶対にゆるさないからね。

ココネ

アンタを地獄に堕としてやる！

ゴロウ

まってくれ、警察だけはカンベンして。

ゴロウ

君も不倫だってわかってやってたんだから、

ゴロウ

そんな訴え聞いてもらえないって！

ゴロウ

ちょっと、ココネ！

ゴロウ

頼む、せめてお前は思いとどまってくれ～。

～後日談～

ナノカ

すったもんだの末、ゴロウとはやっと離婚ができました。

ナノカ

社内不倫していたことは、会社では周知の事実だったようで、

ナノカ

元同僚達に協力を仰いだところ、証拠はすぐに集まりました。

ナノカ

当然、ゴロウと不倫相手のココネには慰謝料を請求し、

ナノカ

養育費と合わせて、分割で支払ってもらうことで同意が得られました。

ナノカ

不倫相手のココネは「結婚詐欺に遭った！と警察にも訴えたらしいですが、」

ナノカ

最初から不倫だと分かっていたワケですから、当然取り合ってもらえず、

ナノカ

だまされた挙句に慰謝料も発生するという、２重苦を負ったわけですね。

ナノカ

２人は、この騒動の責任を会社にも問われました。

ナノカ

結果、ゴロウは下請企業に出向させられ、

ナノカ

ココネは社員からパートに降格されたそうです。

ナノカ

正直、ザマミロって感じですねw

ナノカ

私は、新しい仕事もみつけました。

ナノカ

子供と２人で仲良くやっていこうと思います！

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

結城　真矢

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE1289

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説
一覧

関連するタグ

LINE1289

第1話 - あ

作者の他の作品すべて見る

#恋愛の新着小説一覧

関連するタグ

#恋愛の新着小説
一覧