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第1話 - あ

2023年03月13日

#恋愛

結城真矢

セン

おい、今お前どこにいるんだよ！

セン

なんで俺より早く帰ってないんだ！

セン

浮気か？これ見たら早く連絡よこせ

ヨウ

連絡ができてなくて、ごめんなさい

セン

遅い！今どこにいんだ？

ヨウ

実家にいます

セン

はぁ？実家？

ヨウ

母のパート先から連絡があって

ヨウ

母がパート中に倒れたって聞いて

ヨウ

慌てて家を出たものだから連絡ができなかったの

ヨウ

父も寝たきりで介護が必要な状態だし、

ヨウ

数日はこのまま付きっきりで看病したいと思ってる

ヨウ

とてもじゃないけれど、今は家に帰れそうにないわ

ヨウ

ごめんなさい

セン

は？お前の事情なんて知らないし、聞いてない

セン

とにかく早く帰ってきて飯作れよ

セン

明日仕事で朝が早いんだけど

セン

俺が働かないと生活できないだろ

セン

誰の為に、一生懸命働いてると思ってんだよ

セン

分かったら、早くしろよな

ヨウ

今は本当に無理よ

ヨウ

2人とも寝たきりなのよ

ヨウ

私がいないと食事もとれず、このままだともっと悪化してしまうわ

ヨウ

とりあえず今日の分のご飯は、買ってあるから

ヨウ

温めて食べてもらえないかな？

セン

そんなのお前のやることじゃないだろ

セン

医者や看護師の仕事だよ

セン

それに仕事から疲れて帰ってきているのに

セン

俺に飯の支度までしろっていうの？

セン

明日の昼飯とかもどうすんだよ

ヨウ

明日のお昼はコンビニで済ませてもらえないかな？

ヨウ

数日だし帰ったらちゃんと作るから

セン

はぁ、昼飯までないのかよ

セン

そんなとこ会社の人に見られたら変な誤解を与えるだろ

セン

少しは俺の身にもなって考えろよ

ヨウ

母が倒れてしまったんだからどうしようもできないわ

セン

ってか、命に別状はないんだろ？

セン

心配なら金出してヘルパーさんにでも来てもらえばいいじゃん

セン

そうすればお前も安心だろ

セン

お前の両親なんだから、俺は一切費用は出さないけどな

ヨウ

そんなことできない・・・無理よ

セン

なんでだよ

セン

プロに任せた方がいいだろ

ヨウ

私が動けるんだから私が2人のお世話をしたいの

ヨウ

お願いします

ヨウ

このまま数日間は実家にいさせてください

セン

ふざけているのか？

セン

俺の世話は誰がすんだよ

セン

お前しかいないのに

セン

家に帰らないとか何を寝ぼけたこと言ってんだ

セン

土下座しろ！

セン

いや、土下座じゃ足りない

セン

殴るぞ！

セン

それが嫌ならマジで早く帰ってこい

ヨウ

ひどい・・・

ヨウ

そこまで言わなくても

セン

ひどいのはどっちだよ

セン

毎日、一生懸命に働いているご主人様の俺の扱い雑すぎないか？

セン

分かったらすぐに帰ってこいよ

ヨウ

今日は帰れないわ

セン

ほんと理解できないな

セン

何様だよ

セン

マジで帰ってきたら殴るからな

ヨウ

ごめんなさい

ヨウ

あなたのことないがしろにしているつもりはないんだけど

ヨウ

両親のことが心配なのよ

セン

あーもういいわ

セン

帰ったら土下座しろよ

～数日後～

ヨウ

セン、今どこにいるの？

ヨウ

家に帰っていないみたいだけど・・・

セン

お前、やっと帰ってきたのかよ

ヨウ

今どこにいるの？

ヨウ

母も落ち着いたから家に帰ってきたよ

ヨウ

ご飯食べていないみたいだけど

セン

よくノコノコと家に帰ってきたな

セン

疲れているのに温めて食べろとか俺にはできない

ヨウ

え、でも温めるだけよ？

ヨウ

インスタントよりは栄養もあるしいいと思ったんだけど

ヨウ

あなたのこと考えて用意したのに

セン

そんなことめんどくさくてできない

セン

分かったらしっかり反省して、態度に示せよ

ヨウ

センはいつ帰ってくるの？

セン

お前が家に帰って来なかったから、しばらく俺も家には帰らない

ヨウ

え？

セン

お前が反省して、俺の前で土下座したら帰ろうかな

ヨウ

そんな・・・

ヨウ

両親の介護で大変なんだから仕方がないじゃない

ヨウ

少しは理解してほしいよ

セン

本当にお前は自分の都合ばっかり人に押し付けてくるな

セン

お前のせいで俺はずっとコンビニ弁当だったんだぞ

セン

どうしてくれるんだよ

ヨウ

この大変な状況の中、センのことまでは手一杯よ

セン

情けねえなー

セン

ほんと家事も満足にできないなんて

セン

俺と結婚できてよかったな

セン

他の男なら今頃、捨てられてたぞ

セン

俺に感謝しろよ！

ヨウ

そんな言い方…

セン

ってか普通、夫が家に帰ってないと分かったら探しに出るだろ

セン

お前のことだから、どうせ家でゴロゴロしてるんだろ

セン

あ、そうそう

セン

俺、今はそっちで生活していないんだから

セン

今月の生活費は渡さないからな

セン

自分でどうにかしろよ

ヨウ

え！そんな・・・

セン

当たり前だろ！

セン

生活していない家に、生活費払うわけないだろ

セン

もらえると思っていたのかよ

セン

本当にお気楽だな

ヨウ

だからってそこまでしなくても

セン

お前が悪い！

セン

ちゃんと反省しろよ

セン

いつ帰るか分からないけど、帰ったら土下座すること忘れんなよ

セン

謝罪の言葉とともに今から練習でもしとけ

～2週間後～

セン

おい！どこにいるんだよ！

セン

ってか連絡もしないで何してるんだよ

セン

まだ謝罪の言葉考えてるのか？

セン

生活費がほしいだろうから俺から連絡してやったよ

セン

おい！

セン

このままシカトする気か

〜翌日〜

セン

もういい、離婚だ

セン

お前とはやっていけない

セン

離婚届書いてもってこいよ

セン

お前がどうしてもと言って泣いて土下座でもしたら

セン

許してやらなくもないけどな！

～さらに1週間後～

セン

おい、ヨウ！

セン

いい加減に素直になったらどうだ？

セン

このままだと離婚だぞ！離婚！

セン

離婚されて困るのはヨウだろ、分かってんのか

セン

謝罪1つも言えないなんて、ロクでもないやつ

セン

離婚が嫌だったら、さっさと連絡してこいよ

ヨウ

あーセンね

セン

やっと連絡してきたな

セン

連絡するのがおせーんだよ

セン

いつまでこの俺を待たせるつもりだ？

ヨウ

3週間くらい経ったかしら？

セン

俺があれだけ気にかけた連絡してやったのに

セン

俺の親切心を無駄にしやがって

セン

お前ほんと何様のつもりだ！？

ヨウ

あ～そういえばピコピコ鳴ってた気がする！

セン

俺がどんだけ連絡したと思ってたんだよ

ヨウ

途中からうるさくなって通知オフしたんだった

セン

はあー？うるさいだと？

セン

人が心配して連絡してやってたのに

セン

うるさいとか頭おかしいんじゃないのか

セン

ちっとも分かってないようだな

セン

もっと反省が必要なのか

ヨウ

反省って・・・

ヨウ

別に私は悪い事したつもりはないわ

セン

何言ってんだ？

セン

家事もしないで俺を置いて出て行っただろ

セン

反省しない理由なんてどこにもないじゃないか！

セン

それにお前、金に困ってんだろ？

ヨウ

別にお金に困ってないけど・・・

セン

お前、働いてないんだから金ないだろ

セン

今からでも土下座すれば許してやるけど

ヨウ

私しっかり生活できているわ

セン

あーもうその態度気に入らねえ

セン

反省の言葉も言えないなら離婚だ！

ヨウ

離婚するの？

セン

当たり前だろ！

セン

お前みたいな家事もできない女なんて用無しだわ

セン

俺はもっと若くて素直で可愛い子を探して幸せになるよ

セン

お前はこの先、一生1人で親の介護しながら生きていくんだな

セン

後で謝っても遅いからな

セン

それで、もう離婚の覚悟はできているんだろうな？

ヨウ

離婚？

ヨウ

もうしてるわよ？

セン

へ？

ヨウ

それを伝えるために連絡返したのよ

ヨウ

そしたら通知の多さに驚いちゃった(笑)

セン

何言ってんだ

セン

俺、離婚届を書いた覚えないけど

セン

そんな冗談言ってもつまんねぇよ

セン

許してほしいなら冗談言ってないで土下座しろよ

ヨウ

覚えていないわよね？

セン

お前、俺の代わりに書いて勝手に提出したんだな

セン

偽装したものは、無効にできるんだぞ

セン

そんなことも知らないだなんて

セン

ってか、離婚届出したのも嘘だろ？

セン

俺の気を引きたいからってそんな芝居しなくてもいいって

ヨウ

そんなことするわけないじゃない

ヨウ

離婚届書いたのは正真正銘あなたよ

セン

は？いつ？

セン

書いてないけど

ヨウ

はぁ～寝言言っているのはどっちなのよ

ヨウ

婚姻届を書いている際に、離婚届も一緒に書こうって

ヨウ

提案してきたのはあなたのほうでしょ

セン

あぁ・・・あのときの・・・

ヨウ

お互い浮気は許さないから、浮気が分かったら

ヨウ

すぐにでも提出できるようにって言って

ヨウ

冗談言いながら書いておいたじゃないの

ヨウ

まぁ、それが本当になるとは思ってなかったけど

ヨウ

ありがとうね

ヨウ

いい提案してくれて

セン

まさか、それ本当に使ったのか

ヨウ

うん！そうよ

ヨウ

離婚って何度も言ってきたのはあなたの方なんだから問題ないよね

セン

マジか・・・

ヨウ

当初のお約束通り離婚届だしたわ

ヨウ

これがあったおかげでスムーズに離婚することができました！

ヨウ

別に偽装したわけじゃないし、あなたの直筆なんだから

ヨウ

訴えることも不可能ね

セン

勝手なことして

ヨウ

これでもう正式に夫婦ではないから

セン

いや、勝手に出すことないだろ

セン

第一、俺がいなくてどうやって生活していくんだよ

ヨウ

さっきも言ったけど私はちゃんと1人で生活できているから

セン

いやいや、今まで俺が支えてやってたんだから

セン

急に俺がいないと困るのはお前のほうだろ

セン

お前は今まで通り家で家事と俺の世話をすればいいんだよ

セン

こんなにありがたい話は他にはないぞ？

ヨウ

こういう時のために、あなたには言ってなかったんだけど

ヨウ

副業でやっていたブログの仕事で稼げるようになっているの

ヨウ

独身時代からの貯金もあるし、

ヨウ

あなたがいなくても私は十分に暮らしていけるわ

セン

はあ～なんだよ、それ

セン

ブログってあの日記みたいなやつか？

ヨウ

そうよ

ヨウ

散々バカにしてきたから、それ以上は言ってなかったけど

ヨウ

会社勤めしていなくても

ヨウ

ちゃんと仕事として成り立つまでになってるのよ

セン

ほんとかよ・・・

ヨウ

これからは今以上に仕事に集中できるはずだし

ヨウ

何よりあなたの家政婦から解放されて晴々しているところよ

セン

で、でも俺がいないと寂しいだろ？

ヨウ

え？何を言っているの？

セン

今まで2人でいたのに急に1人だと寂しいと思うぞ

ヨウ

いやいや、私の話聞いてた？

セン

今からでもやり直していいんだぜ

ヨウ

何言ってるの？

ヨウ

離婚って言い続けていたのはあなたじゃない

ヨウ

それに、もっといい人がいるんじゃないの？

ヨウ

全部知っているんだから

ヨウ

今頃、隠さなくていいのよ

セン

何言ってんだよ

ヨウ

度々、出張とか言って何日も家に帰ってこない日とかあったよね？

ヨウ

怪しいな～と思って、探偵を雇ったのよ

セン

えっ！？マジかよ

ヨウ

そしたら、あなた社内の子と不倫してるじゃない

ヨウ

ちゃんと証拠はあるんだからね

ヨウ

今更、言い訳したって無駄よ

セン

ちょっと、え・・・

セン

探偵！？

ヨウ

私が実家に帰っている間も社内の子の家にいたんでしょ

ヨウ

あなたが1人で生活できるわけないもんね～

ヨウ

美味しい手料理でも作ってもらったの？

セン

そ、それは・・・

ヨウ

まぁ、もう全部分かっていることだから

ヨウ

あなたから聞くことは何もないけどね！

ヨウ

あ、もちろん！

ヨウ

このことは会社に報告済みだから

セン

何勝手なことしてくれてんだよ！

ヨウ

当たり前でしょ

ヨウ

不貞をおかしているんだから罰を受けるのは当然よ

ヨウ

ちなみに、あたなが手を出した社員の子って誰か分かってるの？

セン

何のことだよ？

ヨウ

やっぱり何も知らないんだね～

ヨウ

その子、あなたの上司の姪っ子ちゃんみたいよ

セン

え！？そんな、嘘だろ？

ヨウ

探偵の人がそう報告してくれたんだから間違いないと思うよ～

セン

そ、そんな・・・どうしたらいいんだ

ヨウ

お得意な土下座でもして許してもらえばいいんじゃない

セン

そ、そんな・・・

～次の日～

セン

なぁ・・・ヨウ・・・

セン

今日会社から呼び出されて俺、クビだって言われた

セン

上司からも見損なったと言われて、みんな俺を避けてた

ヨウ

そんなの自業自得じゃない

セン

姪っ子ちゃんにも振られた

セン

会社にも見放された

セン

俺はどうしたらいいんだ・・・

セン

やっぱり俺、ヨウがいないと無理だ

セン

今からでも帰ってきてくれないか？

ヨウ

なーに言ってるのよ

ヨウ

不倫して自業自得な無職を養うわけないでしょ

ヨウ

私はそんなに心広くないわ！

ヨウ

もう私たち他人なんだから2度と連絡してこないでよね

ヨウ

ラインはもちろんブロックするから

ヨウ

じゃあね

～後日談～

ヨウ

後日、元義両親から連絡がありました

ヨウ

無職になったセンは、家賃を払えなくなり実家に帰ったそうです

ヨウ

地元の会社で再就職するものの、

ヨウ

そこでセクハラをはたらいて半年でクビになったそう

ヨウ

全く反省していないようで笑ってしまいました

ヨウ

今は義両親の監視の元、実家の仕事を朝から晩まで

ヨウ

手伝っているみたいです

ヨウ

ちなみに私は、副業もますます軌道にのって

ヨウ

人脈も広がり仕事でもプライベートでも

ヨウ

尊敬できる彼と出会えて幸せに暮らしています！

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結城真矢

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