中島敦
＿＿芥川
芥川龍之介
…漸く来たか人虎
芥川龍之介
…この時を待っていた
中島敦
…僕もだ
芥川龍之介
…決着を付けようではないか
中島敦
…嗚呼
芥川龍之介
…まぁ死ぬのは貴様だがな…
芥川龍之介
精々足掻け人虎
芥川龍之介
…僕は貴様を倒し、彼の人に認めて貰う
中島敦
…まだ認めて貰う事に拘ってるのか？
中島敦
…お前は全然変わってない…
中島敦
…僕を倒した所で太宰さんはお前を認めない…！それくらい分かるだろ…！？
中島敦
…なのにどうしてお前は…！
芥川龍之介
…五月蝿い…、貴様に何がわかる…！？
芥川龍之介
…彼の人に捨てられた僕の気持ちが貴様に分かるとでも言うのか…！？
中島敦
…分からないよ…！！
中島敦
…分かりたくても分かってあげられない…
中島敦
…だって僕はお前じゃない…
中島敦
…だから、お前が太宰さんに捨てられてどんな気持ちだったかも…何も分からないよ…っ…
中島敦
……でも…！
中島敦
…僕はお前を理解したい…
中島敦
お前を救いたいんだ…！
中島敦
…本当は僕を殺したいんじゃなくて、助けて貰いたいだけなんだろ…？
中島敦
この苦しみから解放されたくて、太宰さんに認められる為に何をすればいいのか分からなくて、僕を殺そうとしてるだけなんじゃないのか…！？
中島敦
＿でもお前は誤解してる…！
中島敦
太宰さんはもうとっくにお前を認めてるんだ…！！いい加減それに気付けよ芥川…っ！！
芥川龍之介
＿＿黙れ…っ！！
芥川龍之介
……そんな事…貴様に言われずとも分かっている…
芥川龍之介
…だが…っ、認めているのなら何故僕を捨てたのだ…！？何故…っ！！
中島敦
…もう辞めようよ…
中島敦
…僕はお前と争いたくない…
中島敦
…もう、仲良くしよう…？
中島敦
…最初の出会いは最悪だった…
中島敦
…お前の事も最低な奴だと思ってたよ…
中島敦
…僕だって、お前が憎くて仕方なかった…
中島敦
弱い者に生きる価値がないだとか…、人の価値を勝手に決めて、それで今迄沢山の人の命を踏み躙って…許せなかった…
中島敦
お前の身勝手で何人死んだんだ…ってお前の事許せなかったよ…
中島敦
…でも…
中島敦
…一緒にこうやって任務を共にするようになって、お前の性格とか優しさとか…色んなお前の一面を知って…
中島敦
…あれだけお前の事が嫌いだったのに…、…僕はお前の事…好きになっちゃったんだよ……
芥川龍之介
…＿！
中島敦
…何でお前の事…、恋愛感情としての好きになっちゃったのかって今でも思うけど…、でも僕はお前の事が好きなんだ…！
中島敦
……だから、争いたくない…
中島敦
……殺し合いたくないよ…
芥川龍之介
…甘えた事を言うな…！！
芥川龍之介
約束をもちかけたのは貴様だ…っ！！
芥川龍之介
…約束を守ると互いに誓っただろう！？
中島敦
……そう、だけど…、…でもっ…無理…なんだよ……
中島敦
…嫌だ……
中島敦
…殺し合いたくないよ…っ……
中島敦
僕は本気で…お前の事が好きなんだ…
芥川龍之介
……っ…！
芥川龍之介
……ならばいい、僕が殺すのみ…！！
芥川龍之介
『羅生門』…！！
中島敦
……っ…！
中島敦
(…ぁ、殺される…っ…！！)
中島敦
(…そうだよな…)
中島敦
(…やっぱり好きなのは僕だけなんだ…)
中島敦
(…芥川は僕をあんなに恨んでたのに、今更好きになって貰える訳が無い…)
中島敦
(……芥川とちょっとだけでも分かり合えたと思ってたんだけどな…)
中島敦
…っ！！(ｷﾞｭｯ 目を閉じる
中島敦
…？(ﾊﾟﾁ…
中島敦
…！
中島敦
…え？…あ、くた…がわ？
中島敦
…な、んで……？
芥川龍之介
…っ…、何故…っ…！
芥川龍之介
…動…かぬ…っ…
中島敦
…何で…僕の事殺さないんだよ…？
中島敦
……だってお前は…っ…
芥川龍之介
……っ…
芥川龍之介
…すまぬ…
芥川龍之介
……僕には出来ぬ…
中島敦
……え？
芥川龍之介
…愚者は僕の方だ…
芥川龍之介
…真逆、貴様に下らぬ情を抱いてしまうとはな……
中島敦
……どういう事…？
芥川龍之介
……僕も…貴様と同じ気持ちだ…
中島敦
…ぇ＿＿
芥川龍之介
…貴様の事など好きにならぬと思っていたのに何故＿＿…
中島敦
…何で…だよ？…だってお前は僕の事が嫌いなんだろ…！？
中島敦
…それなのに…っ…
芥川龍之介
……僕の負けだ
中島敦
…え？
芥川龍之介
貴様に情を持ってしまった…
芥川龍之介
その時点で僕の負けだった
芥川龍之介
…またも貴様に負けてしまったな
芥川龍之介
……だがそれでいい
芥川龍之介
後悔はしていない
芥川龍之介
…それに、貴様と両思いと言う事にも気付く事が出来たし…、これはこれで良いのやもしれぬな
芥川龍之介
……少々悔しいが重畳だ
芥川龍之介
…帰るぞ
中島敦
…！
中島敦
…うん
きっと僕達は無駄な争いなんか持ちかけずに、この関係をずっと続けているのが一番良かったし、お互い幸せだったのかもしれない
でも、この出来事があったからお互いの気持ちに気付くことが出来た
＿＿きっと、こうやって変わらない毎日が続く事が僕達にとって一番幸せな日々なのだと思う
これからもこうやって、変わらない毎日が続くといいな
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