愛妻弁当
俺には碧という彼女がいる
高校生から社会人続いている
碧は高校生の時から毎日弁当を作ってくれる
学生の頃は忙しくても学校に持ってきてくれていた
社会人になってから碧は特に忙しく顔を合わせることが少なかった
碧は夜遅くに帰ってきて朝早くに家を出る
俺が起きている時間に碧は家にいない
それでも碧は毎日毎日欠かさずに弁当を作っていた
俺はそれがいつの間にか当たり前になっていた
当たり前のように弁当があってそれを食べる
俺は社会人になってから碧とろくに話すこともスキンシップもとっていなかった
いわゆる倦怠期というものだろうか
一緒に過ごしてきたあまりに碧が弁当を作ることが当たり前になった
俺は魔が差してしまった
碧とは学生の頃に指で数えられるぐらいキスをしたことぐらいしか無かった
俺は刺激がほしかった
だから
浮気した
弁当も浮気相手が作ってくれるから碧の弁当は食べずに中身をゴミ箱に入れるか残した
浮気相手はとても可愛らしかった
毎日レパートリーのある美味しい弁当を作り
碧の毎日同じような弁当とは違った
それに
抱かせてもくれた
いつしか俺は浮気相手を本気の彼女だと思った
デートだってたくさん行った
記念日もお祝いした
ある時急にパタリと弁当が置かれなくなった
俺は正直そんなことに気がついていなかった
最近は弁当すら会社に持っていくことすらしなかった
全く心配だと思わなかった
赫
赫は高校生からの友達だ
百
赫は会社は同じだが部署が違った
だから
会うことが少なかった
赫
赫
赫
百
俺はこの時に赫言われて思い出した
あと10日で碧の誕生日だということに
赫
百
赫
百
百
赫
百
赫
赫
百
話を聞こうとした時に休憩が終わってしまった
赫
碧と連絡がとれない?
そういえば弁当
いつからだ
碧の弁当食ってないのは
俺はその日、彼女の連絡に断りを入れて定時に家に帰った
百
返事はなかった
当たり前だ碧はずっとずっと
朝早くに家を出て夜中に帰ってくる生活をしているんだ
俺はいても経ってもいられず碧の姿が見えるまで帰りを起きて待った
だが碧は朝方になっても帰ってくることはなかった
俺は違和感を感じで碧の部屋に入った
何気なく碧と同棲してから入っていない未知の部屋
百
俺は驚愕した
碧が首に縄をかけて天井にぶら下がっていた
俺はその場に立ち尽くした
いつ
いつからだ
俺は必死に思い出した
だが俺は思い出すことが出来なかった
いつ弁当が置かれなくなったか
だが碧からは腐敗臭のような匂いがした
相当月日がたっていたのだろう
俺はそんなことにも気が付かなかった
それはそうだ
俺は
半年間
浮気相手の家に居たのだから
もしかして碧はずっと待っていたのではないか
ずっと
弁当を作って
俺が食べないのを知っていても
毎日毎日欠かさずに作り続けていたのだ
パタリと置かれなくなったなんて俺の妄想だった
そう思うことにしていた
思わなければ罪悪感を感じてしまうからだ
碧はやつれていて目にはクマもあった
それだけ無理をしていたのか
そうだ
碧はブラック企業で働いていた
初めの頃少しだけ交わしたあの会話
俺は碧の帰りが遅く待っていた
碧
百
百
碧
碧
どうして碧に会社を辞めるように言えなかったのか
もし言えていたらなにか違っていたのか
それとも
俺がもっと碧のことを大切にしていたらこんなことにはならなかった
俺の事を気遣って健気に毎日弁当を作っていてくれたのに
当たり前になれて
刺激を求めた
その結果がこれだ
俺が最後にみた碧とは程遠い姿だった
もう一度碧の美味しかったであろう弁当をたべたい
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