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第1話 - あ

2023年08月09日

#恋愛

結城真矢

マミ

ねえ、レオナさんってさぁ、なんでいつもスッピンなの？

レオナ

だってどこにも出かけないんだもの。

レオナ

子供もまだ小さいし、専業主婦だしね。

マミ

へえ、もったいない。まだ26歳なのに、いつもみすぼらしい恰好して。

マミ

あんまり手を抜いてると、旦那さん盗られちゃうわよ？

レオナ

まさか。夫は真面目な人ですよ。

レオナ

それに化粧品だの美容院だのとあんまり散財すると怒るんです。

マミ

へえ～。我慢させられてるのね。

レオナ

まあ、夫は結婚前から倹約家ですから…。

マミ

お金に余裕が無いから、自分にも手がかけられないというわけね。

マミ

お気の毒ねぇ。ウチとは大違い。

レオナ

そうですか、お宅は旦那様がエリートですものね。

マミ

そうよ。夫は優秀な人だから、高給取りだし。

マミ

お洒落したいなら遠慮しなくていいよって、言ってくれるのよ。

レオナ

だからいつもお化粧バッチリで、新しい服を着ていらっしゃるんですね。

マミ

あら、うらやましい？

レオナ

いえ、別に…。

マミ

無理しなくていいのよ？だって、レオナさんのご主人のダイも

マミ

私の夫と同じ部署にいるんだから、お給料もそんなに変わらない筈だわ。

レオナ

うーん。そうかしら。

マミ

そうよ。ダイも結構もらっているはずよ。

マミ

なのにレオナさんには自由に使わせてあげないなんて

マミ

レオナさん、あんまり愛されていないんじゃない？

レオナ

どうしてそう思うんですか？

マミ

アナタがあまりにも、みすぼらしいからよ。

レオナ

そういう言い方は傷つきます…。

マミ

だって何だか気の毒なんだもの。

マミ

愛されていないのに、必死で彼に尽くしてるみたいでさ。

レオナ

尽くしてるわけじゃないですよ。

レオナ

専業主婦だから、自由になるお金が少ないだけです。

マミ

真面目ねぇ。でもそれじゃ飽きられちゃうわよ。

レオナ

そうかしら。子供が小さい間はこんなものではありませんか？

レオナ

何しろ、時間もお金も、全然余裕が無いんですもの。

マミ

お金が無いなら、働けば？

マミ

専業主婦とか言って甘ったれてないでさ。

レオナ

どうして赤の他人のマミさんに、

レオナ

そんな事を言われないといけないんですか？

マミ

だってレオナさんを見ていると、なんだかとてもイラつくんだもの。

レオナ

え？

マミ

いつも優等生ぶってて、”化粧なんかしなくても私は美人よ”

マミ

って言ってるみたいで、気に入らないのよ！

レオナ

そんな事、思ってもいないですよ。

レオナ

ひどい思い込みですね。それにマミさんだって専業主婦じゃないですか。

マミ

私はあなたとは違うわ。夫には今も愛されているし

マミ

なんなら人妻好きの男から、今もしょっちゅう誘われるの。

レオナ

それって自慢ですか？羨ましくないんですけど。

マミ

ふふ。本当は羨ましいくせに、強がりね。

レオナ

別に強がっていません。〇リモクの男なんて

レオナ

寄ってこられても迷惑なだけですし。

マミ

あなたの方こそ、失礼な言い方をしないでよ。

マミ

どうせ、私がダイの元カノだから嫉妬してるんでしょ？

レオナ

別にそんなわけじゃありません！

マミ

無理しちゃって。ダイは今も私が忘れられないみたいよ。

レオナ

私には関係ないわ。ハッタリでしょ。

マミ

関係ない？何を言ってるの。

マミ

あなたの旦那さん、私に会うと嬉しそうに、いつも傍によってくるのよ。

レオナ

なんですって。

マミ

美人好きだった彼が、あなたみたいな腐女子と結婚した時は

マミ

本当に驚いたわ。私も同期だったから。

レオナ

腐女子って…。

マミ

あなたみたいな〇ス、彼に相応しくないと思うの。

レオナ

え？なんですって。

マミ

言った通りの意味よ。ダイにはもっとレベルの高い女性のほうが

マミ

お似合いだったはずよ。例えば私の様な。

レオナ

なんですか、それ。

レオナ

まるで今でも私の夫の事が好きみたいな言い方ですね。

マミ

好きなように解釈してくれて構わないわ。

マミ

まあ、でも私はダイじゃなくて、もっとエリートの

マミ

今の夫を選んだだけなんだけどね。

レオナ

あ、そうですか。

レオナ

私は、身の丈に合った暮らしが出来れば

レオナ

それで充分だと思いますけどね？

マミ

欲の無い人は良いわねぇ、呑気で。

マミ

ま、ダイを盗られないようにせいぜい頑張ってww

レオナ

言われなくても努力してます。

レオナ

ほんと、余計な事を言わないで下さい！

マミ

余計な事？親切にアドバイスしてあげただけよ。

レオナ

そんなの、ありがた迷惑です。

レオナ

何のためにもならないアドバイスですよ。

マミ

ふん、ほんと可愛くない人ね。もういいわ。

マミ

せいぜい、ダイに捨てられないように頑張ってねww

レオナ

言われなくてもそうします！もう、さようなら！！

～翌日～

レオナ

ちょっとダイ。あの人なんとかしてよ！

ダイ

え？あの人って誰の事？

レオナ

隣の部屋のマミさんよ！あなたの上司の妻！

ダイ

ああ、マミか。彼女が何か言ったの？

レオナ

何か言ったの？じゃないわよ。

レオナ

会うたびに嫌味を連発してくるし、

レオナ

LINEでもマウントばかり取ってきて、ホントに嫌なんだけど。

ダイ

ああ、彼女は負けず嫌いだからさ～、

ダイ

口が悪いのは昔からだし、気にしなきゃ良いんじゃねーの。

レオナ

無視したくてもあっちから絡んでくるのよ。

レオナ

ダイの元カノってだけでも不快なのよ。

ダイ

ああ、それは悪かったな。

ダイ

まさか、引っ越した先の社宅にマミ夫婦が住んでいるなんて

ダイ

思ってもみなかったからさぁ…。

レオナ

ねえ、引っ越そうよ。

ダイ

え？

レオナ

このままだと、小学校まであの人の子と同じ所になるじゃない。

レオナ

もう縁を切りたいくらいストレスだわ。

ダイ

いやいや、大した事ないだろ～。

レオナ

なんですって。

ダイ

お前は専業主婦だから、暇過ぎて被害妄想が膨らんじまうんだよ。

レオナ

なに、その言い方。

レオナ

専業主婦とか働いてるとか、関係ないでしょ。

ダイ

そうかも知れないけどさ、引っ越しなんて金のムダだろ。

ダイ

俺達は転勤族だから、数年もすればマミ達とは離れるさ。

レオナ

そうかしら？

ダイ

そうだよ。だから今は、ちょっと距離を置けばいいだけさ。

レオナ

うーん。

ダイ

ま、そういうことだから、うまくやってくれよな。

レオナ

はぁ…。

～1週間後～

シュン

こんにちは、レオナさん。

レオナ

まあ、シュンさん！こんにちは。

レオナ

どうかなさったんですか？珍しいですね。

シュン

妻のマミの事で、お話ししたい事があります。

レオナ

マミさんの事で？私に関係ある事ですか？

シュン

はい、ものすごく関係があります。

レオナ

え、一体なんですか。怖いです。

シュン

実は、ウチの妻とダイが不倫しているんです。

シュン

昼間にこっそり我が家にやってきて、二人で密会しています！

レオナ

ウソでしょう？だってすぐ隣の部屋に私と子供がいるのに？

シュン

ウソじゃないんです。この動画を見て下さい！

シュン

（動画を送信します）

シュン

…見れましたか？

レオナ

は、はい

レオナ

この部屋は…ウチと間取りが同じですね…。

シュン

そう、彼らはウチで密会しているんです。

シュン

送った動画は、比較的刺激の少ない場面ですが

シュン

もっと決定的な動画も撮ってます。見たかったら送りますが…。

レオナ

すみません、突然の事で気持ちの整理が…。

シュン

そうですよね。僕も最近知ったばかりの事なんです。

シュン

ダイとマミが付き合っていた事は、同じ会社だから知っていたんですが

シュン

まさか今も続いているなんて思わなかったです。

レオナ

続いてるって？二人は別れてたハズですよね。

レオナ

もしかしたら、ずっと浮気してたんですか、あの二人。

シュン

そうかもしれません。というのも実は、子供の血液型が僕と合わないんです！

レオナ

なんですって？

レオナ

まさか、ダイの子なんですか？

シュン

それをこれから調べたいんです。だから協力してほしい。

レオナ

協力、ですか。

シュン

はい。ダイのDNAがとれそうな物を持ってきて欲しい。

シュン

髪の毛でもなんでも構いません。

レオナ

待ってください。あの、シュンさん達の子って、今年４歳ですよね。

シュン

ええ。

レオナ

私とダイは、結婚して5年です。という事は、

レオナ

こちらの婚姻期間中に出来た子って事ですね…。

シュン

まだ確証はありませんけど、もしダイの子ならそういう事ですね…。

レオナ

酷いわ、許せない…。

シュン

レオナさんもお辛いと思いますが、協力して頂けますね。

レオナ

はい。出来る事なら何でもします。

レオナ

こんな浮気映像を見せられて、彼を許すなんて事は出来ません！

シュン

僕も同じです。妻の事は絶対に許せない。

シュン

二人で彼らに思い知らせてやりましょう。

レオナ

ええ。そうしましょう。後でダイの髪の毛をお渡しします。

シュン

ありがとうございます。それでは後で。

レオナ

ええ、承知いたしました。

～1か月後～

レオナ

ダイ。私、今日から実家に戻るわ。

ダイ

え、急に何なの？実家に帰るってさぁ。

ダイ

俺に断りもなく、何やっちゃってんの？

レオナ

ごめんなさいね。でも、どうしても帰りたいのよ。

レオナ

そんなに寂しい？

ダイ

そうじゃねーよ。俺のメシはどうするの。

レオナ

そんなの自分で用意出来るでしょう？

レオナ

ま、そう言うだろうと思ったけどね。

ダイ

なんで急に帰るとかいう訳？何か不満でもあるの？

レオナ

とぼけちゃって。不満とか、そんなレベルじゃないわよ。

ダイ

と、いうと？

レオナ

ダイ、あなた浮気してるでしょう。元カノのマミさんと！

ダイ

へ？

レオナ

私が何も知らないと思って！シュンさんから全部聞いたわ！

ダイ

なんだって？シュンさんから何を聞いたんだ？

レオナ

あなたとマミさんが、お隣の部屋で密会している動画を見せてもらったわ！

ダイ

え？いつの間にそんな画像を取っていたのかよ！

レオナ

私じゃなくて、シュンさんが撮っていたのよ。

レオナ

マミさんの言動があまりにも怪しいから、

レオナ

こっそり見守りカメラを取り付けていたそうよ。

ダイ

なんて趣味の悪い事を。自宅でそんなものを撮っていたのか、あのクソ上司め。

レオナ

あんたに、シュンさんの悪口を言う資格なんてない！

ダイ

レオナ？そんな怒らなくても…。

レオナ

夫がいる浮気相手の自宅で×××してたアンタのほうが

レオナ

よっぽど趣味が悪いわよ。このクズ！

ダイ

クズって、そりゃ言い過ぎだろう。

レオナ

いいえ。全然言い足りないくらいよ。

レオナ

だって、マミさんの子もアンタの子じゃないの！

ダイ

へ？そんな証拠がどこにあるんだよ。

レオナ

あるわよ、バッチリとね。

ダイ

うそだろ。

レオナ

いいえ。DNA鑑定したから、間違いないわよ。

レオナ

アナタの子である可能性が、99.983%だってよ。

ダイ

な、なんだって…いつのまに調べたのか。

レオナ

ええ。シュンさんと協力して調べましたとも。

ダイ

そんな。ずっと上手く行ってると思ってたのに。

レオナ

へえ。私とシュンさんをずっと騙していくつもりだったんだね。

ダイ

いや、そんなつもりは…。

レオナ

じゃあ、どういうつもりよ。

ダイ

そ、それは…。

レオナ

真実を知った以上、私はもうアンタとはやっていけないわ。

ダイ

え？まさか離婚するの？それだけは勘弁してくれよ！

レオナ

冗談じゃないわ。アンタたちに騙されっぱなしの人生なんて

レオナ

絶対に無理だから！きっちり慰謝料と養育費も請求します！

ダイ

そんな…離婚はしたくない。マミとは遊びなんだよ。

ダイ

だから許してよ、ね？

レオナ

お金を出したくないからって、許しを乞うても無駄よ。

ダイ

だめ？許してくれない？

レオナ

同じ事を2度言わせないで。さようなら。

ダイ

そんな…レオナ、愛してるよ。

ダイ

俺を見捨てないでくれ～。

～後日談～

レオナ

ダイとマミはダブル不倫だった為、

レオナ

後始末が色々と大変でした。

レオナ

私はダイに、シュンさんはマミさんに、それぞれ慰謝料数百万を請求しました。

レオナ

二人とも親に借金したりして、なんとかお金をねん出した様です。

レオナ

私の子は当然、私が引き取りましたが、マミさんの子はなんと

レオナ

シュンさんが引き取る事になりました。

レオナ

理由は、既にシュンさんの子として認知されていたし、

レオナ

あの二人に任せておいたら、まともな子育てが出来ないだろうと

レオナ

子供の将来を最優先で考えたからだそうです。

レオナ

立派な父親だなと思います。誰かさんとちがってね。

レオナ

ダイは、上司の妻を寝取った間男として、会社でも知れ渡ってしまい、

レオナ

事態を憂慮した会社の判断で、遠くの支店に飛ばされたそうです。

レオナ

マミのほうは、離婚後はダイに付いて行って共に暮らしているようですが、

レオナ

元々お金が無いのに、ダイもマミさんも養育費の支払い義務が発生した為

レオナ

生活は非常に厳しい物になっているそうです

レオナ

ま、お金も無いのに不倫なんかするから罰が当たったんですよ。

レオナ

私は、子供を育てる為に、在宅ワーク可能なお仕事を見つけて

レオナ

毎日頑張って働いています。実家の助けも借りながらね。

レオナ

子供の為にも明るく、前向きにやって行こうと思います！

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結城真矢

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