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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

風亜

じゃあ、今日の授業は終わる。
しっかり予習しとけよー

教壇で兄が喋っている

そんな兄に視線を向ける

風亜

どうした悠穂、早く帰れ

悠穂

いやー?

悠穂

風亜ってかっこいいよなーって思って

風亜

何馬鹿なこと言ってんだよ、最終下校までにちゃんと帰れよ

悠穂

はーい

俺と風亜は家が別だ

俺が実家で風亜は一人暮らし

家に帰ったら風亜は居ないのだ

悠穂

(今日も風亜ん家行こっと)

俺はそんな生活が寂しくて、度々風亜の家に上がり込んでいた

悠穂

おっかえり〜風亜〜

悠穂

仕事お疲れ様〜

風亜

…また来たのかよ

悠穂

え〜いちゃ悪い〜?

悠穂

これでも可愛い可愛い弟なんですけど〜

風亜

たまになら快く受け入れるんだがな…

風亜

お前高頻度すぎんだよ!

悠穂

え〜いいじゃん〜

そりゃ高頻度で来るでしょう

だって俺は風亜のことが好きなのだから

兄として、男性として

まあ、兄弟恋愛ってやつだ

悠穂

風亜彼女作らないでね〜

風亜

なんでだよ!!

悠穂

風亜が彼女作ったら俺家来れないじゃん〜

風亜

来んくていいわ!

悠穂

……

いつもと同じことしかしないんじゃ、きっと風亜は俺の気持ちに気付かないだろう

かと言ってどうアピールするべきか

家に押しかけたり、ある日は手料理を作り、ある日は家事をした

その程度の事じゃただの世話焼きな弟にしかならないだろうか

悠穂

ねえ風亜、疲れてるでしょ?

悠穂

マッサージしてあげよっか

風亜

……は?

風亜

うあぁぁ……

風亜

気持ちいいぃ……

俺は風亜の足をマッサージしていた

教師は授業中立っているわけだからきっと疲れているだろうと思っての事だった

悠穂

めっちゃ気の抜けた声出てるじゃん〜笑

風亜

いやー、これマジやばいわ

悠穂

次ちょっと仰向けになってよ

悠穂

その方がやりやすいからさ

風亜

はいよー

風亜は俺の言葉通り仰向けになって寝転ぶ

そんな風亜の足を持ち上げ、太ももやふくらはぎを揉みほぐしていく

風亜

やべーきもちー…

悠穂

消え入りそうな声でつぶやく風亜

眠いのだろうか

風亜

マッサージを続けていると、風亜からの反応が無くなった

悠穂

……疲れてるんだな

俺はマッサージの手を止め、風亜の顔を見た

悠穂

風亜って意外と整った顔してて…真面目で優しくて…

悠穂

……

俺は風亜の顔に近づき、唇を合わせた

悠穂

…どうやってアピールするかだよな

風亜に毛布をかけて部屋から出た

悠穂

おやすみ風亜

パタン

風亜

……?!?!

風亜

(今…キスされた?!なんで?!)

風亜

アピールって…何…?

風亜

みんなおはよー席着けー

俺は風亜

教師をやっている

悠穂

おはようございまーす風亜先生〜

風亜

…おうおはよう

弟である悠穂を見ると、いつもの調子で挨拶できなくなる

悠穂

あれ?なんか今日調子違くない?

風亜

なんでもねぇよ
予鈴鳴ってんだから席着けー

悠穂

はーい

理由は言うまでもない

昨日、この弟にキスされたからだ

風亜

(平然な顔して話しかけてきてんじゃねぇよ…)

俺は昔から察しはいい方で、キスの意味も悠穂が言った「アピール」の意味も一晩考えたらわかってしまった

風亜

(こいつ…俺の事好きってことだよな…)

風亜

(兄としてとかとは別の、“そういう意味”で)

風亜

それじゃあ授業を……

悠穂が俺を好きだと仮定して、俺はこれからどう接すればいいのだろうか

風亜

〜〜〜

悠穂

(風亜…今日様子おかしかったよな…)

悠穂

(まさか昨日のキスに気付いて…?)

悠穂

(いや、そんなわけ…)

キーンコーンカーンコーン

風亜

おっと、それじゃあ授業を終わろうか

風亜

お疲れ様

風亜片付けを済ませて教室を出ようとする

悠穂

ぁ…

俺は風亜を追いかけた

悠穂

風亜〜

風亜

…またお前かよ

悠穂

喋りすぎて喉疲れちゃったんじゃない〜?

悠穂

はい!のど飴あげる!

悠穂

風亜の好きないちご味〜

風亜

…そういうのいいから

悠穂

え?

風亜

お前クラスに友達いないだろ

悠穂

…え?

ほんとに突然だった

二学期中頃

確かに成績表には「クラスの人との関わりは少ない」と書いてありはしたが、風亜から直接言われることなんてなかった

悠穂

それは前から変わらなかった事だし…

風亜

前からお前が俺にちょっかい出してばかりいるから友達作れないんだろ

風亜

家族へのスキンシップは家でやっとけ

風亜

学校ではせめて共に行動する友達くらい作れ

風亜

学校で俺に話しかけるな

風亜はそれだけ言うと急ぎ足で去ってしまった

悠穂

……

悠穂

作れないよ、友達なんてもう

悠穂

完全に手遅れだ

好きな人に突き放されて気力を失ってしまった俺は保健室に行くことにした

初恋の相手も男だった

当時の友達だった

女子が男子を好きになるのと同じように

男子が女子を好きになるのと同じように

俺は彼を好きになり

それに異常性なんて感じずに彼に告白した

多様性の時代と謳われる世の中ではあったが、やはりそれを受け入れてくれる人は少ないようだ

俺はその告白で、自分は普通でないことを知った

同時に、居場所と友達を失った

昨日まで仲良くしてた人達は手のひらを返したように俺に罵声を浴びせ嫌がらせをする

実に幼稚だと思った

でも、俺には何もする術がなかった

嫌がらせに黙って耐えることしか出来なかった

自分が周りから見て異常なことも否定できなかったし、反逆する力すらなかったから

そんな中学を卒業する前の事だった

兄、風亜に惹かれ始めたのは

風亜は俺が中2の時に高校教員になった

その頃は新人教師だったため、クラスは任されなかったようだが

俺の卒業間際に、風亜が両親や俺に次年度クラス担当を任せてもらえることを嬉しそうに報告した

あの時の笑顔で惚れたのだ

悠穂

(あの笑顔は、可愛かった)

テストで100点を取った子供みたいに満面の笑みで俺らに報告していたのだ

その瞬間に俺の心は撃ち抜かれ、当時はまだ実家暮らしだった風亜に絡みまくっていた

その時の風亜は文句こそ言うもののしっかり俺のやる事なす事に付き合ってくれた

一人暮らしを始めてから今日までずっと、そうだったのに

悠穂

(…さすがにしつこかったかな)

気付いたら視界が涙でぐちゃぐちゃになっていた

悠穂

(…俺、これからどんな顔して授業受ければいいんだろ)

その後早退したのは言うまでもない

カタン

次の日、俺は教室に入って席に座った

風亜

おはよー

風亜も朝の準備のために教室に入ってきたが、俺は話しかけなかった

すると…

大翔

おいおい悠穂くん

大翔

今日はせんせーに話しかけないんだ?

朝陽

あ!わかった!

朝陽

振られたんだろ〜

こいつがせんせーのこと好きかはわかんねーだろw

朝陽

いやいや、大翔のこと好きで告白したホモ野郎だぜ?

朝陽

あんなに話しかけまくるせんせーのこと好きじゃなかったらなんなんだよ〜w

それもそうだわww

大翔

お前みたいなホモは誰にも受け入れて貰えないんだよバーカ

悠穂

(だる…)

こいつらにはちょいちょい絡まれてた

こいつらの発言である程度わかるだろう

同じ中学の連中だ

俺が毎朝毎休み時間と風亜に絡むのはこいつらから逃げるためでもあった

でもそれがこいつらにとっての餌になり、でも話しかけに行かないとこいつらがだる絡みしてくる

かと言って俺に他に話せる人などいない

不運なことにこいつらは高1で同じクラスになり、入学した瞬間に同性愛の話をバラ撒かれた

悠穂

(ほんっと幼稚だ…)

悠穂

(人のプライバシーでわあわあ喚きやがって…)

こいつらのせいでまともな学生生活なんて送れなかった

悠穂

(こいつのこと、好きにならなきゃ良かった)

最初から風亜を好きだったなら、俺は友達を失うことも無く、風亜にもそれが理由で突き放されることは無かっただろう

悠穂

(いや、無駄か)

悠穂

(どちらにせよ恋心を誰かに話していたかもしれない)

悠穂

(そうなったら結末は同じだ)

俺の人生に光などないのだろうか

風亜

はいみんなー、そろそろ予鈴なるぞー

風亜

……

今日1日、悠穂を観察してみた

俺が学校で話しかけるなと言ったからか、悠穂はその言葉通り俺に話しかけなかった

するといつも悠穂とは話していない人物が悠穂と話していた

風亜

(あの3人は確か悠穂の中学時代の友達だっけか?)

風亜

(何度か家に遊びに来たことがあったな)

風亜

(中2くらいから来なくなったが…)

風亜

(話くらいはまだする仲だったんだな)

風亜

(でも…)

会話を聞いた訳では無い

だが、雰囲気に違和感を感じた

風亜

(この直感は、信じていいんだろうか…)

悠穂は、もしかして馴染まないのではなく馴染めないのだろうか

風亜

(…だとしたら申し訳ないこと言ったな)

悠穂

……

大翔

〜〜〜

朝陽

〜〜〜

〜〜〜

しばらく風亜に話しかけない日々が続いた

確実に俺の精神は摩耗していった

毎日毎日こいつらが俺を煽ってくるのだ

悠穂

もう…いい加減にしてくれないかな

悠穂

俺はもうお前のことなんて好きじゃないからさ

悠穂

それで良くない?

悠穂

これ以上なんの問題があるのさ

大翔

はぁ?お前が今どう思ってるかなんて知らねぇよ

朝陽

そーそー

俺ら、別にお前のことおもちゃとしてしか思ってねーから

大翔

使えるうちは一生出汁として使ってやるよ

朝陽

嫌だったらお前のだいちゅきなせんせーに助けてもらえ〜w

せんせーも嫌だろこんなホモw

大翔

言えてるw

悠穂

……

限界だった、もう

ガタッ

朝陽

おーいどこ行くんだよー?

せんせーもうすぐ来るぞーw

大翔

バカかw一足先に会いに行くんだろw

はははっw

悠穂

(まじうぜー…)

俺は荷物を持って、学校を出ようとした

風亜

おい、どこ行くんだよ、予鈴鳴るぞ?

悠穂

せんせー、今日具合悪いんで帰ります

風亜

え…?

普段「風亜」と呼ぶからだろうか

俺の話し方に驚いた“先生”は手の力が緩み、俺はそれを振り払って学校から出ていった

風亜

えー、それじゃあ今日の授業を始めます

大翔

あいつ居なくねw

帰ったんじゃねw

朝陽

せんせーにも振られたんじゃねw

悠穂の旧友達がヒソヒソと何かを話していた

風亜

(そういや、こいつらが悠穂と関わらなくなった理由知らねぇな…)

風亜

(喧嘩とかでもしたのだろうか)

でも、喧嘩別れでもしたなら、わざわざ関わったりするのだろうか

キーンコーンカーンコーン

風亜

はい、じゃあ授業終わり

風亜

お疲れ様

近いうちに悠穂にでも聞いてみようか

数日後、俺は実家に来ていた

母親

珍しいわね、風亜が戻ってくるのは

風亜

まあ、正月とか盆でもない限りは戻ってこねぇもんな

風亜

弟たちは元気か?

母親

えぇ、ゆうもくくも元気よ

風亜

そうか

ゆうとくくはそれぞれうちの三男と四男だ

今は中学生と小学生である

風亜

悠穂は?

母親

あぁ…あの子最近元気ないのよね

母親

あなたのクラスだし、何か知らないかしら?

風亜

悠穂は最近学校に来てないんだが…

風亜

まさか母さんに無断で欠席連絡してるのか?

母親

あら、そうだったの…

母親

知らなかったわね

母親

朝、いつも通りの時間に家を出ていつも通りの時間に帰ってくるのよ

母親

だからてっきり学校に行ってるものかと…

風亜

いや、俺も早く聞くべきだった

風亜

実は俺が実家来たのって悠穂が心配だったからなんだよ

母親

そうなの…相変わらず風亜は弟想いのブラコンね

風亜

ブっ……?!

風亜

ち、違ぇよ!

風亜

兄としては弟が心配になるのは当然だろ?!

いや、実際そうなのかもしれない

俺はきっとブラコン“気味”なのだろう

決してブラコンと認めたくは無いが

あくまで“気味”という認識であるが

風亜

今悠穂は部屋にいるか?

母親

ええ、でも最近家に帰ってくると引きこもるのよね

風亜

そうか…

風亜

おーい悠穂ー

風亜

いるかー?

扉を叩いても呼びかけても応答は無い

ゆう

あー!風亜だー!

風亜

よーゆう

風亜

元気だったか?

ゆう

うん!風亜は非リアだね!

風亜

お前なぁ…そんなこと気にしなくていいんだよ

ゆう

俺のクラスでは非リアの××は人生の負け組って言われてるよー!

風亜

はいはい、そんなの子供が言ってるだけだ

風亜

あとお前も彼女いないだろ

ゆう

俺には女の子の友達いっぱいいるもん!

風亜

彼女じゃないならそれは非リアだろ

ゆう

違うもん!

風亜

あーはいはい

風亜

ところで悠穂の様子知らないか?

ゆう

悠穂?

ゆう

悠穂は非リアの××だよ

風亜

そういう話じゃねぇよ…

くく

悠穂兄ちゃんならずっと引きこもってるよ

風亜

そうそうそういう話が聞きたかったんだよ

ゆう

あ、俺未花ちゃんと時雨とゆいちゃんと電話する約束あるから行くね

風亜

おー無意味な情報をありがとな

くく

風亜兄ちゃんちょっと僕の部屋来て

風亜

風亜

わかった

風亜

どうしたんだ?急に部屋に呼び出して

くく

風亜兄ちゃんは知ってるのかなって

風亜

何を?

くく

悠穂兄ちゃんが同級生から奇異の目で見られてること

風亜

お前そんな難しい言葉どこで知ったんだよ…

くく

漫画だよ

風亜

最近の漫画すげぇな

風亜

で、どういうことだ?奇異の目って

くく

風亜兄ちゃんは、悠穂兄ちゃんが同性愛者だってこと知ってた?

風亜

え…

知らなかった

でも言われてみればそうなのだろう

少し前にされたキス

「アピールする」という発言

今までのしつこいちょっかい

それらが全て、“俺に対する好意”であると考えれば、合点が行くのだ

くく

悠穂兄ちゃんは数年前に男友達に告白したことでそれがバレて、おもちゃみたいに扱われてるんだよ

風亜

そう…だったのか…

くく

風亜兄ちゃん、気付いてるんじゃない?

風亜

何が?

くく

悠穂兄ちゃん、風亜兄ちゃんのことが好きだって

風亜

……そうだな

風亜

俺が寝かけてる時に悠穂にキスされた時があってな

風亜

その頃からもしかして、とは考えてたよ

くく

悠穂兄ちゃん、風亜兄ちゃんに突き放されたって泣いてたよ

風亜

……俺は、悠穂が俺に付き纏いすぎて友達を作れないんだと思ってた

風亜

実際は違ったんだな

くく

うん、悠穂兄ちゃんは、「もうこの高校で友達を作るのは無理だと思う」って言ってた

くく

学年中に噂が広まってるみたいだよ

風亜

そうか…

なんとかしてやりたいと思った

愛する弟のため、俺に出来ることをしようと思った

風亜

俺、できること探してみるわ

くく

流石ブラコン兄ちゃんだね

風亜

ブ、ブラコンじゃねぇし!

俺はまずくくにとあることを頼んだ

くく

悠穂兄ちゃん、今ちょっといいかな?

悠穂

くく…?

ガチャ

悠穂

っ……!

俺の顔を見た悠穂は扉を閉じようとする

ガンッ!!

咄嗟に俺は足で扉を止める

ゆう

借金の取り立て屋…

俺も思った

風亜

話、あるんだけど、いいか?

ゆう

金取られるぞこれ…

野次馬黙ってくれないか

悠穂

……で?

暫く話さないうちに悠穂は別人のように暗くなっていた

視線は常に下を向いていて、必要な単語しか発さない

俺にしつこく付きまとっていた悠穂とは別人だ

風亜

(俺の発言ひとつで悠穂をここまで追い込んでしまったのか…)

なんとも言えない罪悪感があった

風亜

すまなかったな

風亜

俺が何も知らずにあんなこと言ったばかりに

悠穂

別に

悠穂

俺が悪いんだし

悠穂

風亜にとって邪魔だったわけだし

風亜

くく

実はね、悠穂兄ちゃん

くく

風亜兄ちゃんが、とあることを提案してくれたんだ

悠穂

とあること?

風亜

あぁ、まずくくにお前の学校での状況を聞いたんだよ

風亜

まあそんなことを聞いたら兄としても教師としてもあの教室でお前を授業に出させる訳にはいかないわけで…

風亜

かと言って休ませるのも単位を落とす

風亜

だから別室登校はどうだろうか、とね

悠穂

別室…?そんなのできるの?

風亜

あぁ、別室登校には2種類あってな

風亜

HR教室は別室にするが出れそうな授業には参加する授業取得クラスと

風亜

授業にすら出れない事情がある場合のみ認められるテスト取得クラス

風亜

お前の条件だとテスト取得クラスの方に入れる

くく

そうなの?

くく

なにか書類とか必要だったりは?

風亜

基本的には生徒と担任の話し合いで担任が決める

風亜

そこに血縁関係があろうがなかろうが俺が決められる

風亜

特に実際ここ数日は登校拒否を起こしてるんだ

風亜

立派な理由だろ

悠穂

…テスト取得ってどうやるの?

風亜

簡単だよ

風亜

授業でやらされる小テストや定期テストで全て7割以上を取ればいい

風亜

再テストはそれぞれ1回まで可能

風亜

この条件を満たせば授業範囲に付いていけている証明になる訳だから、単位は取れるって仕組みだ

風亜

俺もすげえ仕組みだなって思った

悠穂

それなら…あいつらに合わなくて平気ってこと?

風亜

そ、だから、せめて学校には行かないか?

風亜

俺も学校で話しかけるななんて言って悪かった

風亜

もちろん、勉強のサポートもちゃんもする

悠穂

うん…行く

風亜

OK、ありがとう

話を済ませたので、俺は帰ることにした

くく

風亜兄ちゃん、悠穂兄ちゃんの恋心はどうするの?

風亜

…まだ受け入れきれてないんだ

風亜

申し訳ないけどな

風亜

でも、あいつに俺が必要だと言うなら、そばにいてやろうとは思ってるよ

くく

それって…

風亜

同性を…ましてや弟を好きになったことなんてないからさ、この感情がただの弟想いのブラコンなのかそれ以外の特別な感情なのかは分からないけどさ

くく

(ブラコンさらっと認めてる)

風亜

答えがわかるまでは、あいつを隣で支えてみようかなとは思ってる

風亜

あ、もちろんお前ら弟たちとか父さん母さんも支えるからな?

くく

あはは、それは当然条件だから

風亜

ぐ、まあそうだよな

風亜

とりあえず、助力ありがとうな

くく

うん、僕は兄ちゃん達のことが大好きだからね

風亜

そうか

次の日、俺は風亜の頼み通り別室登校をしていた

風亜

お、来たな

悠穂

せんせー…

風亜

まずこれはお前が休んでた分の配布物だ

悠穂

うん

風亜

今日社会小テストあるから勉強しとけよー

悠穂

わかった

風亜

じゃ、俺は向こうのクラス行ってくるわ

悠穂

はーい

パタン

悠穂

……

悠穂

(久々の風亜やばい、優しすぎて惚れる…)

俺の心がそこまでに摩耗していたからか、風亜と少し話しただけで涙がボロボロ出てしまっていた

悠穂

(好きだ……)

しばらくは勉強に手がつかなかった

数日後の放課後

悠穂

おかえり風亜〜

風亜

お、また来てんのか

俺たちの関係は前のようになっていた

いや、風亜が文句言わずに受け入れてくれているし、前よりも良好なのだろうか

悠穂

(俺としては嬉しいけど風亜に迷惑かかってないかな…)

そんなことを考えていると

風亜

そういやくくから聞いたけど、悠穂俺の事好きなんだって?

悠穂

……え?

頭が真っ白になった

くくは言わないと思っていたのに

嘘をついて好きじゃないと言うべきか、当たって砕けるべきなのか

風亜

なぁ、どっち?

風亜が俺に顔を近づけて悪戯っぽく笑う

悠穂

っ〜〜

悠穂

(そんな顔するの反則じゃん…)

悠穂

えと…好き

もうこう答えるしか無かった

あの顔は絶対わかって聞いてる

それに…

風亜

やっぱな

風亜

じゃなきゃキスしないもんな

再び悪戯っぽく笑う風亜

悠穂

っ〜〜〜

こんな風に笑えるのは、受け入れてくれてるからだろう

風亜

俺もあれからずっと考えてたんだぜ

次の瞬間、唇に柔らかい感触が

悠穂

……〜〜〜っ?!?!

風亜

弟たちの中でもお前だけ特別なんだよ

風亜

これって、好きってことだろ?

悠穂

え…あ……

俺は状況の整理が追いつかず口をパクパクさせることしか出来なかった

風亜

で、どうしたいの?

悠穂

えと…

悠穂

つ、付き合いたい……

風亜

ん、じゃあよろしくな、恋人さん

悠穂

うん…

こんな異常な恋が報われるなんて、幸せすぎて溶けてしまいそうだった

fin.___

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風悠はありです ここに誓います

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