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紀黑 創/Kiguro Sou

(またやらかしたとか流石にねぇよな…?)

そんなことを思いながら教室に戻る。

ガラガラ──

俺はさり気なく桜兎を見たが、その視線に気付いた桜兎は気まずそうにした。

紀黑 創/Kiguro Sou

(何で…?)

心臓の音がうるさく響く。

怖い

怖い

またなにかやらかして避けられてるのかと思うと、気が気じゃない。

中谷 游/Nakaya Yuh

……どうした?

紀黑 創/Kiguro Sou

…え?

中谷 游/Nakaya Yuh

あー…いや、何もないならいいんだけど

紀黑 創/Kiguro Sou

……俺も知らねぇ

中谷 游/Nakaya Yuh

は?

中谷 游/Nakaya Yuh

どういうこと?

紀黑 創/Kiguro Sou

…何でか知らないけど桜兎が俺を避けてる気がするんだ

中谷 游/Nakaya Yuh

はあ、?虎珀が?お前を?

中谷 游/Nakaya Yuh

そんなわけないだろ

紀黑 創/Kiguro Sou

なんでそう言い切れるんだよ

中谷 游/Nakaya Yuh

いやいや…どこをどう見ても…

何か言いそうになったらしいが、ため息を少し漏らしていた。

中谷 游/Nakaya Yuh

うん、多分気にしなくても大丈夫だろ

紀黑 創/Kiguro Sou

は?そんな──

中谷 游/Nakaya Yuh

いいから

否定的な言葉を口走ろうとした瞬間、中谷に遮られ真剣な表情で言った。

中谷 游/Nakaya Yuh

虎珀を信じろ

紀黑 創/Kiguro Sou

っ…

紀黑 創/Kiguro Sou

分かったよ、

確かに、桜兎を信じなきゃなのは俺も分かってるが…好きな人にあのあと、あんな顔されてたら誰でもこうなるっての…

あの日から数日が経って 廊下で偶然桜兎を見かけた。

紀黑 創/Kiguro Sou

……おとっ──

元いじめっ子

虎珀ぅー、お前──調子───なぁ?

虎珀 桜兎/kohaku Oto

っ…!

虎珀 桜兎/kohaku Oto

や、ちが…

元いじめっ子

何が違う?

紀黑 創/Kiguro Sou

(一体何を…遠くてよく聞こえないな)

そう思って、もっと近くに寄って盗み聞きしようとした時。

近くを通ったクラスの女子が大声を出した。

クラスの女子たち

きゃ〜!

クラスの女子たち

創くん〜!!!

クラスの女子たち

今日もかっこいい〜!!

虎珀 桜兎/kohaku Oto

っ!

紀黑 創/Kiguro Sou

あ、!

クラスの女子の声で俺に気付いた桜兎が逃げようとして腕を掴もうとするが、あと一歩のところで

逃がしてしまった。

紀黑 創/Kiguro Sou

(桜兎…っ、何で…)

クラスの女子たち

そーくーん♡

クラスの女子たち

ここで何してるのー!?

クラスの女子たち

私と一緒に話そうよぉ!♡

ちっ…鬱陶しいな

クラスの女子たち

こら、創くんは私と話すの!!

クラスの女子たち

はあ?私とだし!

クラスの女子たち

私と─私と──

紀黑 創/Kiguro Sou

(……あー、うぜぇ…)

女子たちが騒いでいることを良いことに、その場を去れた。

まあ、学校中どこ探しても桜兎はいなかったが…。

紀黑 創/Kiguro Sou

ほんと、どこだよ…!

俺の大好きな桜兎…

紀黑 創/Kiguro Sou

はあ…なんで居ないんだよ…

そのとき、俺と桜兎が1年の頃をふと思い出し、ピンと来た。

紀黑 創/Kiguro Sou

まさか、校外なんじゃ…!

休み時間なはずなのに、何故か校外に逃げてしまった桜兎。

前に、何でかと聞いたことがあった。

桜兎は「この8月に最高の景色が見れる場所があるから」と言っていた。

そこに一度案内してもらったことがあった。本当に綺麗で、涙が出そうなくらい過去にあったこととかそこに行けば、精算されそうな気がした。

多分、桜兎は過去になにかあったんだ。

その何かまでは分からないけど…。

紀黑 創/Kiguro Sou

桜兎っ…

紀黑 創/Kiguro Sou

……!

見つけた。

紀黑 創/Kiguro Sou

桜兎…やっと、やっと捕まえた

そう言ってもう離さないと 強気なバックハグをした。

虎珀 桜兎/kohaku Oto

っ!!創くん…?

虎珀 桜兎/kohaku Oto

どうしてここに…

紀黑 創/Kiguro Sou

……前、あっただろ?

紀黑 創/Kiguro Sou

こういうこと

虎珀 桜兎/kohaku Oto

…あ、そっか…あのとき僕が言ったんだっけ

紀黑 創/Kiguro Sou

ふ…思い出したんだな

虎珀 桜兎/kohaku Oto

うん…

虎珀 桜兎/kohaku Oto

言わなきゃよかった

紀黑 創/Kiguro Sou

何言ってんだ?

虎珀 桜兎/kohaku Oto

え?

紀黑 創/Kiguro Sou

俺は、言ってくれてよかったって思ったけど

紀黑 創/Kiguro Sou

こうやって…桜兎とまた見れたから

紀黑 創/Kiguro Sou

この、最高の景色をな

俺は、目線を街に流した。

虎珀 桜兎/kohaku Oto

っ……ごめん

虎珀 桜兎/kohaku Oto

ごめんね、避けて

紀黑 創/Kiguro Sou

ううん気にすんな

そう言って俺は 桜兎の頭を優しく撫でた。

虎珀 桜兎/kohaku Oto

…!撫でんなよ…子供扱いするな!

紀黑 創/Kiguro Sou

はははっ…まだ高校生じゃんか

虎珀 桜兎/kohaku Oto

うっ…で、でも!もう成人だし…

紀黑 創/Kiguro Sou

20歳になってからが本当の大人だぞ

俺の言葉を聞いた桜兎は頬を膨らませていた。

紀黑 創/Kiguro Sou

(くそかわいいっ…♡♡)

キスしそうなぐらいの距離で 桜兎を見つめた。

虎珀 桜兎/kohaku Oto

はっ…なっ、そ、創くん!!

虎珀 桜兎/kohaku Oto

近い…!!

嫌そうに離そうとしたけど、俺より弱い力でどうこうできるはずもなかった。

そんな桜兎を愛しそうに見つめていた。

紀黑 創/Kiguro Sou

はぁー…

虎珀 桜兎/kohaku Oto

なっ、なんだよ!

虎珀 桜兎/kohaku Oto

余裕ぶってんじゃない!

紀黑 創/Kiguro Sou

いーや?

紀黑 創/Kiguro Sou

本当に可愛い

虎珀 桜兎/kohaku Oto

うぐっ……もう創くん嫌い

そう桜兎に言われた瞬間 俺は顔を真っ青にした。

紀黑 創/Kiguro Sou

は、ちょ…

紀黑 創/Kiguro Sou

なに、なんで?

紀黑 創/Kiguro Sou

なんで嫌いになるの?

虎珀 桜兎/kohaku Oto

え、し、知らない

顔をプイッと背けられると、俺は更に焦りが募っていった。

そんな俺と桜兎のやり取りを見ていた奴に気付かずに──

元いじめっ子

ちっ…

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