君
僕
梅雨時ずぶ濡れのまんま 部屋の前で泣いていた
夏が始まったばかりと言うのに 君は酷く震えて
そんな話で始まる
あの夏の日の記憶だ。
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君
君
君
君
君
そんな君に僕は言った。
僕
財布を持って、ナイフを持って
携帯ゲームもカバンに詰めて
僕
僕
僕
僕
人殺しとダメ人間の 君と僕の
ーー旅だ。ーー
・
・
・
そして僕らは逃げ出した。
この狭い狭い世界から
家族もクラスのやつらも 何もかも全部捨てて君と2人で。
僕
僕
僕
僕
僕
僕
・
・
僕
僕
僕
君の手を握った時 微かな震えもすでに無くなっていて
誰にも縛られないで 2人で線路の上を歩いた。
金を盗んで
2人で逃げて、
どこにも行ける気がしたんだーー。
今更怖いものは 僕らにはなかったんだ。
額の汗も、落ちたメガネも、
僕
僕
いつか夢見た優しくて
誰にも好かれる主人公なら
汚くなった僕達も見捨てずに ちゃんと救ってくれるのかな?
僕
僕
僕
僕
僕
僕
当てもなく彷徨う蝉の群れに、
水もなくなり揺れ出す視界に
迫り狂う鬼たちの怒号に
馬鹿みたいにはしゃぎあい、
ふと君はナイフを取った。
君
君
君
君
君
・
・
・
そして君は首を切った。
まるで何かの映画のワンシーンだ
白昼夢を見ている気がした。
気づけば僕は捕まって。
君がどこにも見つからなくって。
僕
そして時は過ぎていった。
ただ暑い暑い日が過ぎていった。
僕
僕
僕
僕
君をずっと探しているんだ。
僕
9月の終わりにくしゃみして
6月の匂いを繰り返す
ーー君の笑顔はーー
ーー君の無邪気さはーー
頭の中を飽和している。
僕
僕
もういいよ。 投げ出してしまおう。
僕
僕
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora
sora