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LINE509

第1話 - あ

2023年04月03日

#恋愛

結城真矢

マサル

アキナちゃんだっけ？

マサル

経理部の子でめっちゃ可愛い子がいるって聞いたからさあ

マサル

思わずグループLINEを追加しちゃった！

アキナ

あの～…

アキナ

私に何かご用でしょうか？

マサル

何でそんなに素っ気ないこと言うの～？

マサル

俺たちって同期じゃんかよ

マサル

もっともっとなれなれしく接してくれよ～

アキナ

いや、初対面で馴れ馴れしく接するのもどうかと思いますし、

アキナ

いくら同期とはいえ、急に距離を縮めるのも難しいです

マサル

まったく、アキナちゃんは真面目ちゃんだなあ

マサル

もうちょっと崩したほうがモテると思うんだけどなあ

アキナ

一体何なんですか？

アキナ

余計なお世話ですって！

アキナ

研修中で気が張り詰めているのに茶化さないでください！

マサル

そういうところが良くないんだって！

マサル

せっかくの可愛さが台無しだよ～

マサル

俺みたいな男のアドバイスは受け入れるべきだと思うよ？

アキナ

一体何が言いたいんですか？

アキナ

マサルさんでしたっけ？

アキナ

あなたの余談に付き合っている暇はないので、

アキナ

もう連絡はおわりにしますね

マサル

ちょちょちょ、ちょっと待ってよ！

マサル

そんなに焦らなくてもいいよね？

アキナ

は？

マサル

一緒の会社に入ってこれからあの研修もずっと一緒なんだよ？

マサル

そんなに素っ気ない態度を取ったら、これからの関係もマズいんじゃない？

アキナ

どうしてそうなるんですか？

アキナ

あなたとはもともと部署は違うし、

アキナ

研修期間が終わったら、もうあまり関わりは無くなるんですけどね

マサル

じゃあさじゃあさ！

マサル

仕事で絡みが無くなるなら、プライベートで仲良くしようよ！

マサル

お互い独身だし、別に一緒にごはんぐらいいいだろ？

アキナ

いや、別に無理に仲良くなる必要もありませんよ？

アキナ

第一、私はあなたの顔も分からないし、

アキナ

分かったとしても今の仕事上、重要だとは思えないんですけど

マサル

なんでなんで！

マサル

これから俺は出世していくんだから、

マサル

今から仲良くなって媚びを売っておいたほうがいいと思うよ

マサル

ワンチャン、俺と結婚したら将来安泰かもよ？

アキナ

それなら他の同期の女の子を当たってみたらどうですか？

マサル

いやあ…それがさあ

マサル

他の子は俺の子のみじゃないっていうか

マサル

まあ女の子の頭数は増やせるから、しょうがなく妥協してやったんだ

アキナ

は？

アキナ

女性をどういうふうに思っているんですか？

アキナ

誰それ構わず女性社員を口説くのは、ちょっと引くんですけど

マサル

でもね、わかってくれよ！？

マサル

今のところはアキナちゃんが俺の中で一番なんだ！

マサル

俺は誰でもいいっていうわけじゃないんだぜ

マサル

アキナちゃんとなら絶対相性いいと思うし、きっと好きになっちゃうぞ！

アキナ

私のこと馬鹿にしてますよね！？

アキナ

あなたには一切興味がありません！

アキナ

今後、研修期間中は必要最低限に関わってください

アキナ

お願いします

マサル

なんだよ～、せっかくチャンスを与えたあげたのに

マサル

でも俺はこんなんじゃ諦めきれねえからな！

～その夜～

ミナミ

ア～キナっ♪

ミナミ

元気にしてる？

アキナ

あっ、ミナミ

アキナ

大学の卒業式以来だね

アキナ

初めての就職で毎日大変だけど、とりあえず元気だよ

ミナミ

それなら良かったあ～

ミナミ

アキナったら卒業前は毎日のように連絡とり合ってたのに

ミナミ

全然連絡してこないから心配しちゃった

アキナ

ごめんごめん！

アキナ

ちょっと会社で色々あって余裕がなかったの

ミナミ

今の勤務先はやりにくい？

アキナ

いや、そんなことはなくて毎日楽しいけど

アキナ

ちょっとした人間関係のトラブルがあってね

ミナミ

え！なになに！教えて～

アキナ

いや…やっぱ何でもない！

アキナ

別によくあるようなことだって、私が大袈裟だったわ

ミナミ

アキナが愚痴をこぼすなんて珍しいから、教えてくれないと不安だよ～

アキナ

別に！たいしたことじゃないってばあ！

ミナミ

抱え込むのは良くないよ？

ミナミ

これからは仕事でストレスもたくさん溜まっていくだろうし

ミナミ

何でも言いたいことは、吐き出さないと体に悪いよ？

アキナ

ありがとう

アキナ

そう言ってくれるのはアキナだけだよ

ミナミ

親友が悩んでいるのをほっとけないっていうか…

アキナ

えーっとね…ある同僚男性が私に猛アプローチしてくるのよ

アキナ

たしかマサル…とかいう名前だったわね

ミナミ

えっ！

アキナ

ミナミ、何か知ってるの？

ミナミ

うん、まあ…

アキナ

そのマサルは私は交際を強要するメッセージを送ったり

アキナ

何ってとんでもない妄想癖があるのよ

ミナミ

その話、詳しく聞かせてくれない？

アキナ

え、いいけど

ミナミ

ちょっと待ってね、あなたの家に行くから

アキナ

分かった、待ってるね

～３日後～

マサル

ミ～ナミちゃん♪

マサル

もう映画始まっちゃうよ！

アキナ

え？

アキナ

一体…何のことでしょうか？

マサル

昨日、一緒に映画館デートしようって約束したじゃないか！

アキナ

あれは約束なんて言わないですよね？

アキナ

一方的にメッセージを送られて、返事もしてないのに

マサル

やっぱ見てくれているじゃんかよ！

マサル

俺がせっかく誘ってあげてんのに、無視はないよな～

アキナ

誰も誘って欲しいなんて一言も言ってません！

アキナ

それよりも、今日は研修の最終日なんですよ！

アキナ

そんな時に映画見に行くとかどういう神経してるんですか！？

マサル

そんな研修なんて参加しても意味ねえだろ

マサル

俺のような人材は会社も一目置いているくらいだからな

アキナ

あなたも私と一緒でまだ入社したてでしょ？

アキナ

新人研修までサボったら、社会人としての信用も失ってしまいますよ

マサル

いいか？俺は他の奴らと違って国立大学を出ているんだ

マサル

世の中は学歴がモノを言う時代なんだ

マサル

会社を無断欠勤したからと言って、評価には影響するわけないだろ

アキナ

そんなこと言ってたらいつか摘まれますよ

マサル

あるわけないだろ！

マサル

こんな将来有望株を会社も放っておけないはずだ

マサル

俺と付き合えば、セレブ生活が保証されているんだぞ！

アキナ

なんでそうなるんですか！

アキナ

私はあなたの期待に応えるつもりはありません

アキナ

むしろあなたのその高慢な態度が嫌なんですけど

マサル

何だと！？

マサル

よくもこの俺を侮辱してくれたな！

アキナ

あなたは社会人からしても女性から見ても、受け入れがたい存在です

アキナ

だからもう、連絡とかしないでください！

マサル

ふざけんなよ！

マサル

この俺が好きになってあげたのに、諦めれるわけないだろ！

アキナ

さようなら

マサル

俺の心を弄んでおいて、容赦しないからな！

マサル

覚えてやがれ！

～３日後～

マサル

残念なお知らせ～

マサル

あなたはは彼女候補クビで～す！

アキナ

まったく…

アキナ

なに意味分からないことを言っているんですか？

マサル

言葉のまんまだよ

マサル

他の同期の女の子を口説いたら付き合うことができたんだ

マサル

だからもうお前は用済みってことになるんだよ

アキナ

ほんとにあなたは思い込みが強い人間ですね

マサル

なんとでも言え！

マサル

俺に捨てられて人間に何が分かるってんだ

マサル

思い込みなんかじゃなく実際に彼女ができてんだ

マサル

自分が俺という有能な人間に選ばれなかったこと悔やむんだな

アキナ

既にミナミに全部バレていること悔やんでください

マサル

へ？

アキナ

ミナミは私の大学時代からの友人です

アキナ

全く、彼女がいながら他の女の子を口説きまくるとわね

マサル

何の…話だ？

マサル

ミナミ？

マサル

そんな女は知らねえ

アキナ

くっどいた女の子と交際成立しても、ためらわずナンパ行為を繰り返す

アキナ

ミナミもあなたの被害者だったってことですね

マサル

だから俺はミナミなんて女は知らねえ

マサル

俺のお目が叶わなかった女は山ほどいるんだ

マサル

いちいち覚えているはずもねえよ

アキナ

ミナミのお父さんは、営業部の課長を務めているのですが…

マサル

へ？

アキナ

まあ、そんなこといちいち把握できるはずもないでしょう

アキナ

社内で口説いた女の子に、自分の上司の娘がいるとはね

マサル

そんなデタラメ、誰が信じるっていうんだよ！

マサル

たかが俺が声をかけた女の子の一人にすぎない

マサル

営業課長なんて肩書で脅されても、俺には響かねえぜ！

アキナ

自分は将来有望な人材とか追ってましたよね？

マサル

ああ、その通りだ！

マサル

俺は誰よりも仕事ができて、女からもモテるてるんだ

マサル

生まれもっての出世頭の素質を持ち合わせているんだぜ

アキナ

どうやらその理想も儚く散りそうですね

マサル

どういう意味だよ！？オイ！

アキナ

あなた、自分の行ってきたことが、どれだけ最低な行為か分かってますか？

マサル

俺の何が間違っているっていうんだ？

マサル

女の子なんて山ほどいるんだから、

マサル

少々傷モノにしたって悪いことはないだろ？

アキナ

私はあなたに口説かれたときには嫌悪感しか抱きませんでした

アキナ

でもミナミのように、

アキナ

心の隙間に入ってきたあなたを受け入れてしまった人もいる

アキナ

そんな女の子の気持ちも考えることができないということが

アキナ

そもそもの間違いです

マサル

それは女の子次第だ

マサル

俺が女好きって見抜けなかった素質のないバカ女ばかりだったワケだ

アキナ

これ以上言ってもムダのようですね

マサル

は？

アキナ

あなたが研修中、

アキナ

社内の女性スタッフに行ってきたことは、しっかりと記録されています

アキナ

そしてミナミのようにあなたから騙されたという女性スタッフを中心に

アキナ

証言もまとめました

マサル

おい！

マサル

何してくれてんだ！

マサル

余計なことをしてくれてんじゃねえぞ！

アキナ

この件はしっかり直属の上司かつ被害者の父である

アキナ

営業部長に報告させていただきましたから

マサル

そこまでしなくてもいいだろ？

マサル

一旦、お前たちには関係のないことなんだから

アキナ

いいえ、そんなことはないですよ

アキナ

あなたのような同僚に危害を加えて、

アキナ

人の気持ちを弄んだり、嫌悪感を抱かせるような人間は不要ですから

マサル

俺が居ないと、これからの会社は回らないはずだ

マサル

俺は国立大卒の将来有望株の人材なんだ

マサル

これから俺の輝く才能を会社が欲しがるはずだ

アキナ

残念ながら今回の研修期間中の総合評価を行った結果、

アキナ

勤務態度から素行まで社会人としてなってなかったようですね

マサル

それは…つまり…

アキナ

はい、あなたは試用期間内で満了、社員にはなれなかったということです

マサル

ウソだろ…

アキナ

でもすごいですね

アキナ

同期が30人以上いて、あなた以外、みんな社員登用されているんだから

マサル

悪かったよ、謝るからさあ

マサル

やっぱり、アキナちゃんがいちばんだよ！

マサル

俺が付き合ってあげるからさあ～

アキナ

舐めたこと言ってんじゃねえぞ！

アキナ

アンタみたいな女たらしの人間の相手なんか誰がするもんか！

マサル

そこまで言わなくても…

アキナ

ま、あなたが居なくなったから、居心地は良くなったけどNE

マサル

そんなこと言わないでってば！

マサル

アキナちゃ～ん！！

アキナ

馴れ馴れしく呼ばないで！

アキナ

私はあなたの女じゃないんだからねっ！

～後日談～

アキナ

マサルは自由奔放に研修期間っを過ごしていたため、

アキナ

試用期間の終了を告げられてしまいました。

アキナ

私の説教の後、ミナミに謝りながらすり寄ったそうですが、

アキナ

当然、ミナミはこれを拒絶、

アキナ

マサルの行き過ぎた行動により、

アキナ

自身の学生時代の友人たちにも悪い噂が響き渡り、

アキナ

友人たちにも見放されてしまったようです。

アキナ

私は研修期間の終了後、経理の仕事をバリバリこなしています。

アキナ

ミナミとは変わらず仲の良い友人関係を続けています。

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結城真矢

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