☂️雨音

ザーザー…と

雨音が鳴り響く

窓の外を眺めながら 呟くと

電話越しに、

ふっと鼻で笑う

グクの声が聞こえた。

それだけでドキドキする

私の心は単純なのかもしれない。

雨音がポツポツ…

そう、グクとは

半年以上…会っていない。

去年のクリスマスが

最後だったっけ？

覚えてないや…。

恋人と言っても

芸能人であるグクと

会う回数は普通より少ない。

最近は海外を

転々としてるらしいし、

グク達の人気も

増える一方で

会えなくなる寂しさと、

いつ捨てられるか

わからない恐怖に

怯えていた。

言葉を濁すということは

目処がないということだ。

これは暫くは

連絡も取れずに

また何ヶ月間も

待たなきゃいけないなあ。

それを承知で一緒に

なったというのに、

不安がるなんて馬鹿みたいだ。

頑張っているグクのために、

私はいつまでも待つんだ。

そう心に決めた。

たまに帰ってくる時こそは

笑顔で迎えられるように

強くならなくちゃ。

久々に聞いたグクの声に、

また会いたくなった気持ちを

無理やり押さえ込み

電話を切ろうとした

その瞬間、

ってグクが言ったから

一瞬

固まって

電話をまた耳に当てた

グクの言い方、

おかしくない？

だってそれだと…

今、玄関の前に

居るみたいに聞こえるよ

鼻の奥がツンとする。

バタバタと玄関まで移動して

震える手で鍵を開けると、

外側から勢いよく

ドアが開いて

大好きなグクの

甘い笑顔と

優しい香りが

目の前にあって

持っていた電話からは

同じ雨の音がした__