カポン
温泉でよく聞く音が響く
桃
ほら、ケツだして
桃
掃除ってやつ
しないとだから
しないとだから
青
いっ、いいよ
青
自分でやるし…
あの後やはりもう一度ヤったふたり
普通にお風呂に入る
青
桃くんがやったら…
青
またヤるじゃん…?
桃
……はっ!!
桃
たしかに!
青
否定しろよ
桃
いやいや
桃
無理だよ?
桃
青はかわいいから
桃
出会ったときから、ね
そう言って桃が微笑みかける
青
(ぐぬぬ…)
桃
あれれ?
桃
青くん
お顔が赤いですよぉ?
お顔が赤いですよぉ?
青
黙れ
青が腹パンをお見舞いした
青
っほら、早く
青
出てって
桃
えぇ
青
僕のこと思うなら
はやく!
はやく!
桃
………次は
桃
俺がやるから
そう言って桃は出ていった
青
(……次)
次があると思えるのが 何よりも青の心を満たしたのだった
言われた通り桃は戻っていた
着替えて、片手には 青の苦手なホットコーヒーを持っている
桃は青を待つために ホットコーヒーをすする
桃
(可愛かったな…)
と思ったところで思考を止める
また息子が オハヨッ と挨拶してきそうだったからだ
それから数分
青が戻ってきた
水が滴っていて 顔も地味に火照っている
実に、いやらしい
桃
おかえり
桃
大丈夫だった?
青
う、うん
桃
あ、これ
桃
青のホットコーヒー
青
えっ、僕…
青
あっ、いや飲めるよ
そう言って青は、ベッドに座った
桃
…………
青
…?
青
どうしたの?
桃
あ、いや別に
桃
このあとは寝るだろ?
青
…うん
青
疲れたしね
桃
まじごめんって
青
んーん
青
幸せだよ
青がホットコーヒーをすする
青
うっ、にがっ―…?
青
苦くない…?
いつものホットコーヒーは 苦いはず
なのに今回は苦いどころか 甘くておいしい
青
えっ、これ…
桃
おいしいっしょ
桃が照れくさそうに言う
桃
青が淹れてくれる
ホットコーヒーって
ホットコーヒーって
桃
クソうまいんだよね
桃
だから
俺も頑張ってみた
俺も頑張ってみた
青
…っ
青
(なにそれ…)
青
(くそかっこいい…!)
その通りである
桃
口にあったら…
嬉しいんだけど…
嬉しいんだけど…
青
また淹れてよ!
青
すごくおいしい
青
おかわり!
桃
あ、なら俺のも
淹れてよ
淹れてよ
青が心底幸せそうに笑う
それにつられて、桃も笑う
この時間が一生続くことを祈って
幕を閉じさせていただきます
青
桃くん
桃
青
一緒に
ホットコーヒーでも淹れようか







