この美しい空が
いつまでも輝き続けますように。
これが私の夢だった。
...と言うより願い?
私はある病気で、
病院のベッドから出ることができない。
唯一の楽しみが、
毎日表情が変わる、空だった。
私の名前と一緒で、
友達みたいな感じだった。
私が入院し始めたのは
小学校の2年生ぐらいかな、
前まで1年生だったから友達もあんまりいなくて
お見舞いに来てくれるのも
太陽だけだったよね
あの笑う顔が可愛くて
私を見る顔が愛しくて
ずっとそばにいて欲しいと
2年生ながら思ってた。
──でもある日突然、
パタリと、太陽は来なくなった。
その次の日、担任の先生がきた。
「なかなか来れなくってごめんね」
って言ってくれた。
でも、本当に聞きたいのはそれじゃない。
太陽くんは大丈夫なのか、
聞いたら先生は、
すごく下手くそな
作り笑顔で
こう言った。
「太陽くんはね、」
「引っ越しちゃったの。」
.........なんだよ、それ
って思った。
私、太陽のこと、好きだったのに
気持ちも言えないままお別れなんて
悲しすぎるよね。
先生の前で泣きたくもなかった。
...先生が私の頭を撫でながら
「大丈夫、」
って囁いてくれた。
.........本当は知ってる。
私を慰めながら、
先生も泣いてたことを。
...先生も悲しかったんだね。
それでも私のために
慰めてくれてたんだね。
...太陽くんは
本当に引っ越したのかな
だって、引越しぐらいで先生は泣かないと思った。
先生なんだから連絡手段も持ってるし
会えるんだから
私はまだ携帯だって持ってないし
家にも帰れない、歩けない。
...会えるわけないじゃん。
先生は泣かないで欲しかったな
辛くなるだけだから。
今日はすごく晴れていた。
いつもとは違う景色に
空を仰ぐ。
今日は病院の中からじゃないから。
私は今、
外にいる。
さぁ、
太陽くんはどこにいるかな、
勢いよく開け放った扉が、
ギィ.........っと音を立てる。
気持ちいいそよ風が私の髪をなびかせる。
あの笑顔を取り戻そう。
私は先生の所へ
いや、太陽くんの居場所に近づくため、
学校へ足を急がせた。
fin...