飼い犬、太宰さんの犬の僕

茶髪の青年は、怪しげな笑みを浮かべたと思うと 今度は、ｺﾂｺﾂ、と足音を響かせて敦の元へとちかずく

次の瞬間

敦の体は、ｷﾞｭｯと暖かい何かで包まれた

生まれて初めての感覚だった

そういって、茶髪の青年は敦の髪を撫でた

気付けば、敦の目からは大粒の涙がでていた

ガチャｯ

PM：5時

と、敦のことを見る

ﾄｺﾄｺﾄｺ

太宰は、敦と繋いでいない方の手でバンッ！と勢いよく自分の胸を叩いた

ﾄｺﾄｺﾄｺﾄｺﾄｺﾄｺ

敦は、太宰と繋いでいる自分の手に力を入れる

と、優しく問いかける

太宰は、赤面する敦を目に移し、優しい笑みを浮かべた

と、パンパンに服が詰め込まれた沢山の紙袋を部下に運ばさせた

ｶﾞﾁｬｯ、ﾊﾞﾀﾝｯ

ﾄｺﾄｺﾄｺﾄｺﾄｺﾄｺ

太宰から放たれたその言葉は、とても冷たかった

驚き、太宰の方を見ると今日一日見せてくれた優しい笑顔が消えていた

この状況を受け入れられず、今にも涙がこぼれそうな目を太宰に向けた