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物心ついた頃から、 私は病院のベッドの上だった。
学校にも行けず、ただ横になる日々。
たまに外に目をやるが、何も見えない。
そういうものなのだ。
そう、もう諦めた。
諦めた、はずなのに。
█ピッ ピッ ピッ
ベットサイドモニターの音で 私は目を覚ました。
ゆっくりとベッドから起き上がると 頭に鋭い痛みが走った。
頭を抑える。
ベッドを昇降させ、楽な体制になる。
ようやく痛みが治まってきた。
横にある時計を見ようにも、 あまり時間が分からない。
どうしようと考えたところに、 看護師さんが来てくれた。
昼の時間、私はみんなが遊んでいる間 小さな机に座って絵を描いていた。
私はあまり絵が上手くは無い。
だって見えないのだから。
私には病気がある。 それもたくさん。
アルビノ 起立性調節障害 記憶障害(軽) 狭心症 アトピー性皮膚炎 白血病 そして双極性障害。
ヒトはみんな、私を "かわいそう"と言う。
でももう諦めた。
私はもう、"生きたい"とは 思わなくなった。
胸が苦しい。
点滴とは反対の、絵を描いていた手。 それでベッドから落ちている ナースコールを押した。
眠たくなってきた。
少し寝ようかな。
いや、勉強の時間か…
次の瞬間、1人の男ナースが 入ってきた。
清く、おだやかで。
どこか安心する声だった。
淡く掠れた自分の声を出す。
彼のネームプレートを見てみた。
"雪原 蒼舞" (ユキハラ ソウマ)
その名前はどこか、 懐かしいように思えた。