2月、高校二年生ももうすぐ終わり。 テレビに流れるニュースでは都会に 春が近づいているなんて報道しているけど田舎の春はまだまだ遠くて。 雪国の寒さに手を擦り合わせて石油ストーブの方向に手を向ける。
そんな放課後
かなで
ちはる
ちはる
かなで
かなで
ちはる
ちはる
親友の言葉に思わず眉根を潜める
かなで
かなで
ちはる
かなで
ちはる
ちはる
かなで
かなで
かなで
ちはる
かなで
かなで
かなで
ちはる
呆れるようにため息をつくちはる
かなで
かなで
かなで
悩みの種の原因は私の こんな気持ちにも気づかずに友達と 笑ってて
かなで
ゆうき
かなで
ぽけーっとながめていたのに気づいたのかゆうきが私を覗き込んできた
ゆうき
ゆうき
かなで
かなで
かなで
心臓が変にどくどく鼓動する
ゆうき
ゆうき
ゆうき
かなで
ゆうき
たくみは私の男友達で高校一年生の頃 隣の席になってから趣味も合って すごく仲良くなって
かなで
ゆうきはたくみと同じ弓道部で いつもつるんでいる仲だからか わたしとたくみの仲の良さを よく冷やかしてきて
ちはる
ゆうき
ちはる
ちはる
ちはるはニヤニヤしながらゆうきのことを見つめてる
かなで
ゆうき
ゆうき
ゆうき
かなで
かなで
かなで
ゆうき
ゆうき
しまった、と思った時にはもう遅くて
かなで
ちはる
ちはる
かなで
ゆうき
かなで
ゆうき
かなで
かなで
ゆうき
かなで
かなで
ゆうき
ゆうき
ゆうき
たくみ
かなで
たくみ
たくみ
たくみはふわふわした笑みを浮かべる
これが私の癒しだったりして
ゆうき
ゆうき
かなで
かなで
拒否されてしまったような 距離を置かれてしまったような そんな言い方に柄にもなく 悲しくなってしまって
かなで
ちはる
かなで
かなで
かなで
ちはる
たくみ
かなで
机の上のリュックサックを背負って ワインレッドのスヌードを巻いて 教室から飛び出した
かなで
階段をかけ下りる。 外の冷たさが廊下に 染みるように入ってきて 少しずつ冷静を取り戻して。
かなで
かなで
かなで
ショートブーツに履き替えて氷点下から一向に上がらない街に飛び出した
かなで
かなで
はあ、と吐いたため息が白く曇って スヌードに顔をうずめた
かなで
かなで
かなで
モヤモヤが吐く息につられて出てくるみたいで自分ってこんなに嫌な人間 なんだと心底落ち込む。
かなで
ズキズキが少しずつ大きくなる。
かなで
かなで
ふと中学3年生の頃、ゆうきが 隣のクラスの女の子に告白されてた シーンがフラッシュバックする。
かなで
かなで
かなで
かなで
そういえば結局あの告白を ゆうきは断ってた。 もったいないなあなんて思いつつ どこかほっとした気持ちもあって。
かなで
かなで
まばらにしか車も通らない凍結した 坂の雪道に1人って状況もあって どうにもできないこの気持ちに 頭の中で嫌な自分がせめぎ合って 下を向いたら泣いてしまいそうで。
かなで
ぽつりと呟いた声が白くなって 空気に混ざって消えていく
かなで
そんなことをつぶやいて カーブのガードレールに 差し掛かった。
瞬間。
かなで
けたたましいブレーキ音と 鳴り響くクラクションに 弾かれたように後ろを向いた。
かなで
目の前にはトラック。
衝撃音と共に真っ白な ガードレールに突っ込む。 体にかかる圧力。 何もわからなくて。
かなで
視界がどんどん暗くなる。
自然とまぶたが落ちて
かなで
痛いのかすらもわからない。
ただただいろんな記憶とともに 後悔が頭をよぎって
かなで
幸せだった頃の ちゃんと素直になれていた頃の 懐かしいゆうきの姿が目に浮かぶ
だんだんと意識が遠くなる。
誰かの声が聞こえた気がした。
そのまま、私は意識を手放した。
#2に続く
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