自分は優等生、そう思って育ってきた。
だって、なにかをするごとに先生には 誉められてきたから。
「周りを見て行動できて偉いね。」
それが、担任が言う、大体の台詞。
親にも友達にも誉められなかった私は、
せめて先生くらいにはほめて もらいたくって、
精一杯お手伝いをした。
けど、それで成績が上がるわけ じゃない。
だから、担任は同じことを言った。
「貴方は周りを見れる子だけど、勉強はダメだね。」
その一言が辛かった。
深く胸の奥に突き刺さった。
けど、急にお手伝いをやめるわけにも いかなかったから、
笑顔で手伝い続けた。
友達も、担任と大体同じ。
普通にしていれば仲がいい、 そんな関係。
だけど、勉強だけは君たちに 追い付けない。
クラスの大半が理解できる内容を私が 何度聞いても分からない。
「バカだね」
「こんなのも分からないの?」
「簡単なのに。」
信じてた友達に言われるとなおさら 傷つく。
それから私は、勉強する気がだんだんと薄れていって、
バカって言われても、
適当に笑ってはぐらかすようになった。
そうすれば、心が、
頭が、
壊れないと思ったから。
本能的な、保護だったのかもしれない。
中学生になっても分からないまま。
当たり前だよね。
小学生の勉強を理解していないの だから。
中学生になったら、テストの結果で 順位が出る。
先生はそういった。
私にはどうでも良かった。
1回目のテストは、200人中115位。
よくもなく、悪くもなかった。
けど、私の友達は2桁代で、結局 笑われた。
特に苦手なのは数学で、
他の皆は数学が得意。
だから、ハッキリと明暗がわかれる。
勿論差は激しく、
それは、ただの罰ゲームだった。
だんだん数学の時間が嫌になってきて、
得意なはずの国語でもその子には 負けて、
なのに微塵の努力もしない自分がいた。
あぁ、自分が憎い。
辛い。
いやだ。
二回目のテストは、
夏休み明けだった。
夏休みはちょっと忙しくて、
勉強の爪を甘くしたら、
順位は一位だけ上がったけど、
点は、下がった。
学年全体の勉強度が低かったから 得られた結果。
そんなのは、私の実力じゃない。
とある日の放課後、担任に話し かけられた。
最近元気ないな。
そんなことないですよ。
笑って答えた。
嘘をつくな。わかってるんだ。
トーンが低くなった先生の声。
けど不思議と威圧感はなくて、
聞き心地のいい低さだった。
それから、不思議と言葉が口から 出てきた。
思いも、考えも、辛さも。
先生は笑わないで話を聞いてくれて。
いつの間にか泣いていた。
無理に話させて悪かった。
それと、話してくれてありがとう。
フッと笑う先生は優しい眼差しだった。
あぁ、なんだか、
幸せな気分だな…
一年生の間のテストは四回ある。
そのうちの三回目のテスト。
今年最後のテスト。
もちろん、来年もある。
けど、必ず順位をあげたくて、
少し頑張ってみた。
そしたら、努力は少し実って、
七十位まであげた。
けど、友達は一桁代で、
バカにされた。
悔しくて、辛くて、悲しかった。
友達の前でも努力をしていたのに、
知っているはずなのに、
笑うその子にムカついた。
気づいたら、泣きながら胸ぐらを 掴んでいた。
お前に、何がわかるんだ!
頭がいいのが、そんな偉いのかよ?!
ただ、叫んでいた。
心の中の声が、口から溢れ出てきた
たぶん、いきなり怒って気絶したんだと思う。
保健室のベットの上で寝ていた。
先生が、隣で座っていた。
先生…ごめんなさい。
いや、俺のミスでもある。気にするな。
ねぇ、先生。私頑張ったよ。
見てるよ、お前の努力。よくやったな。
親にすら、
友達にすらも、
気づかれなかった努力と辛さ。
あぁ、この人はいい人だ。
今この瞬間、
「先生になりたい」
そう思った。
それからわからないところがあれば、
その日のうちに友達や先生に質問をする
そんな生活が続いた。
最後のテスト。
順位は26位だった。
初めのテストから点も、順位も よくなった。
夢だって出来たし、希望も出来た。
やれば出来る。
そういった先生の言葉は間違いじゃ なかった。
感謝してます、先生。
いつも、笑わせてくれてありがとう皆。
皆、本当にありがとう。
さて、ここまで見てくださり、 ありがとうございます。
作者、□です。
もし今、君が希望や夢を否定されて、
努力さえも否定されているのなら、
貴方は間違って ない。
私はそう思います。
努力は目に見えるものじゃない。
だから人は否定しやすいんです。
その努力を知らないから。
私は、この話にあった通り、
勉強がわからない。
そのことをバカにされる辛さ。
努力を否定される悔しさ。
私自身体験したことがあるので、
その気持ち、本当にわかります。
だからこそ見返すためにも、
努力を積み上げませんか?
努力には、結果がついてきます。
どんな形になろうとも。
この話で、貴方の心が少しでも、 動きますように。
コメント
9件
ブクマ失礼します!
私もこんな風に思ってくれる先生が欲しいなぁ……
努力するって辛いよな( '-' )