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それはとても繊細で

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それはとても繊細で

♥

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2021年04月16日

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彼女はとても美しい

儚くて

それがまた綺麗で

花のような女性とは彼女のような人を指すのだろう

しかし

誰もが美しいと見とれる彼女は

とても繊細だ

私がただそう思っただけなのだけど

私はそんな彼女を

もっと知りたい

と思った

どうしてだろう?

私は彼女を

守りたい

なんて

そんな綺麗な意味なんかではないのだけれど

白いセーラー服を着た女の子達が会話を弾ませながら教室へ向かう

この高校に入学して1ヶ月

私はまだ学校にも、クラスにも馴染めていなかった

女子校なら女子しかいないんだし1人や2人くらいは話せる友達がすぐできると思ってたのに…

まさか独り身とは……

あゆ

はぁ……

思わずため息が出てしまう

あゆ

まぁ誰も聞いてないし良いか…

ごめんね
そこ、通してもらえるかな

あゆ

ふぁっ!!?ご、ごめん!!?

気づかなかったけど完全に私は邪魔なところに立っていた

ごめんなさい、驚かせるつもりはなかったんだけど……

あゆ

い、いや私こそごめんなさい!!

あゆ

ちょっとぼーっとしてて……!!

考え事?

あゆ

あ、あぁ〜…まぁ、そんな感じ…はは…

うわああ!!

立ち往生した上に私の変な話まで聞かしちゃったよ!!

申し訳なさすぎる!!!!

ていうか自分が情けなさすぎる!!!

あゆ

ご、ごめんなさいほんとに!!え、えっと…

名前なんて言うんだろ

ていうかクラス違うっけ

そんなことを考えながら私は顔を上げた

その時やっと ちゃんと彼女の顔を見た

たからい みやび

隣のクラスだよ、3組

彼女は

それと藤原さん

ため息ついたら幸せ逃げちゃうよ

歌うような声で

静かな笑顔で

あゆ

え?私の名前知って────

とても綺麗だった

休み時間

あゆ

はぁ…

昼休み

皆それぞれグループを作って楽しそうに会話しながらご飯を食べている

1人で静かに食べてる子もいるけど

私は1人が好きなわけじゃないのに1人だ…

あゆ

はぁ……

思わずまた溜息が出る

私もご飯食べよ…

ここじゃ居心地悪いからいつもの場所で

屋上に出るドアの前の階段のところ

狭いけど屋上には出れないようになってるから誰も来ないし静かだ

だから私はいつもここで昼休みを過ごす

なのに

なのに…!!

クラスメイト

んっ……先生ぇ…

クラスメイト

ダメだよ…んんっ……!!

教師

平気だよ…ここには誰も来ないよ

クラスメイト

もぉ……ん……

あゆ

!!!?!!?!?!

私のいつもの場所には先約がいた

なんで!!?!!?!!?

なにしてんのこの人達っ………!?!

と、とりあえず違うとこ行こっ………

あゆ

(大変なものを見てしまった…!!!)

女子校で男子がいないから先生を狙ったのか

それとも先生が可愛い子がいたから狙ったのか

また別の理由でそういう関係になったのか

って何考えてんの私!!?!!?!

しばらく歩いてたら裏庭に来ていた

校内はどこいっても人がいるから外に出てみたけど

まさかこんな素敵な場所を見つけるとは

あゆ

わぁ…色んな花が……綺麗…

ベンチもあるし、ここでご飯食べようかな

花が好きなの?

あゆ

!?!

たからいさん!?!!!

彼女は花が咲き乱れている間から突然現れたかのようにそこに立っていた

あゆ

い、居たんですか、全然気づかなくて

ごめんなさい、驚かせちゃった?

あゆ

い、いえ!ただ、まさかいると思わなくて…

私、この時間はだいたいいつもここで過ごしているの

そう言いながら微笑む彼女は

本当に綺麗で

あゆ

(同じ女とは思えない…)

?なぁに?

あゆ

へっ!!?!あっ、いやなんでも!!

思わず見とれてガン見してた!!!

あゆ

ご、ごめんなさい、邪魔しちゃって

ふふ、邪魔なんかしてないよ?

良かったら一緒にご飯食べない?

あゆ

え??!!?

あゆ

私とですか!!?!

他に誰がいるの?そんなに驚くとは思わなかったよ、ふふっ

あゆ

あ、あはは……

は、恥ずかしい…

まさか誘われるなんて思わなかったから

めっちゃ嬉しい……!!!

あぁ、…良かったらでいいのだけど…

あゆ

も、もちろん!!喜んで!!

良かった

というか、なんで敬語使ってるの?
私たち同級生だよね?

あゆ

あれ?確かに…!な、なんでだろ……

ふふふ、藤原さんて面白いね

あゆ

え?そうかな??

あゆ

というか前から思ってたんだけどなんで私の名前知ってたの?今日初めて話した気がするんだけど……

……

…なんでだったかな?確か、何かで知ったはずだったんだけど…ごめん思い出せないや

そう言ってまた静かに微笑む

なんか今、少し悲しそうな顔したのは気のせいかな??

あゆ

そっか、

あゆ

そうだ、もし良かったら名前で呼ばない?

え?

あゆ

ほら、そっちの方が呼びやすいし!

これを機にたからいさんともっと仲良くなりたいなあ!

あゆ

良かったら友達になりたいなあ〜、なんて…あはは

嬉しい、じゃああゆちゃんて呼ぶね!

あゆ

うん!私はみやびちゃんて呼ぶ!そういえばみやびちゃんて名前すごく可愛いねどうやって書くの?

ほんと?ありがとう、牙に隹って書くんだけどね

あゆ

す、すい??

そうそう、えっと書いてみると──

そう言って木の枝を使って地面に書いてくれる

宝井 雅

あゆ

わぁ……字きれい……

そこ〜?

驚いたように笑う

あゆ

えぁっ!?ごめんあまりにも綺麗に書くからつい…

あゆ

すごく素敵な名前だね!!

ふふふ、ありがとう

あゆちゃんもすごく素敵な名前だよね

あゆ

えぇ?そうかな??

そうだよ!だって───

雅ちゃんはすごく楽しそうに話す

字も

雅ちゃん自身も

すごく綺麗で、優しくて

だけど不意に悲しそうな顔をするのはなんでだろう?

気の所為かもしれないけど

すごく気になっちゃって

私はずっと、雅ちゃんの表情ばかり気にしていた

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