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rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 殺し屋パロ
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#7 静かな毒、瑞は雨のように滲む
雨上がりの午後。
こさめは一冊のノートを広げ、ペン先で慎重に文字をなぞっていた。
ページには、日付、名前、癖、生活習慣──びっしりと並んだ細かな情報。
それは、今回の依頼対象に関するすべてのデータだった。
──依頼対象:都内私立高の教員/元諜報関係/機密漏洩の疑いあり ──死因:心不全(自然死と見なされることが理想)
# 瑞
# 瑞
こさめは、わずかに微笑んだ。
その笑みに感情はない。
宿るのは、冷たい知性だけ。
すでに標的の生活は──瑞の掌の上にあった。
表の顔は、家庭教師。
その日もこさめは、依頼を受けている高校生の家を訪れていた。
白いシャツに水色のカーディガン。
手には教科書とノート。
インターホンを押すと、母親らしき女性が応対し、リビングへと通される。
# 瑞
# 瑞
落ち着いた声音、丁寧な所作。
それは完璧な“教育者”の仮面。
だが、その目は別の目的を見据えていた。
2軒隣──依頼対象の教員は、一人暮らし。
午後7時、自宅で食事。
時間、場所、習慣。すべては掌握済み。
不審を抱かせず隣人宅へ出入りする、最適なカモフラージュルート。
瑞は、すでに布石を打っていた。
1週間前から、生活環境への“間接的な介入”は始まっていたのだ。
冷蔵庫に仕掛けた微量の毒性物質。
それは特定の既存薬と反応し、突発的な心室細動を誘発する。
毒そのものは検出されない。
死因は「無理をした末の突然死」。
報道もされない。
誰にも疑われない。
あとは、“その瞬間”を見届けるだけだった。
午後7時3分。
家庭教師の仕事を終えたこさめは、雨の上がった道を歩いていた。
自宅に戻るふりをしながら、さりげなく視線を向ける。
灯りのついた窓。
標的は食卓に着き、レンジで温めた惣菜を口に運んでいた。
こさめは足を止めることなく通り過ぎる。
だが、その眼差しは──冷たく正確だった。
午後7時8分。
窓越しに、標的の姿がぐらりと傾ぐ。
胸を押さえ、もがきながら、床へと崩れ落ちる。
やがて、完全に動かなくなった。
こさめは歩調を変えず、スマートフォンを取り出しながら、小さく呟く。
# 瑞
# 瑞
その声は誰にも届かない。
水音を跳ねるように、舗道を踏む足音だけが残る。
ただの帰宅途中の学生のように。
だがその本性は、“雨のように滲む毒”。
夜。
デスクに戻ったこさめは、ノートの空白に今日の“結果”を記録していた。
《心停止発生:19時08分/死亡確認:19時12分(救急要請未実施)》
《依頼遂行成功。自然死として処理完了。検死確率低》
すべては、計画通り。
そして、その成功に感情は必要ない。
# 瑞
# 瑞
ノートを閉じ、デスクライトを落とす。
部屋に残るのは、静けさと、ペンのインクの匂いだけ。
──瑞は、静かな殺し屋だった。
刃も銃も使わない。
血も叫びも必要としない。
それでも、誰よりも正確に“死”を設計する。
無音で、無感情に、冷たく美しく。
それが、“こさめ”という男の裏の顔だった。
#7・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡80
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コメント
2件
人間ですかね……??((( あの、語彙力があり過ぎてびっくりしてるんですけども…? なんか、表現の仕方というか、水くんしか今回は話してないのにちゃんと何をしてるのか伝わってくるって言うか、なんかもう…好きです((? 続き楽しみです!