ちりんっ、
儚く鳴る風鈴
寺を走る足音
呪文の声
いつからだろう
此の音さえも聞けなくなってしまったのは
一ノ瀬家第二十五子として生まれた
生まれたばかりの私は大層可愛がられた
然し、二歳後半の時だった
私の髪色が、突然白くなった
私が生まれる前も後も、突然変異で白髪なんてありえなかった
。
厭!悪魔の子よ!!
。
この寺に災いを齎すかも知れぬ!!
一ノ瀬 莉透
、、?
当時の私は言葉を理解する事ができなかった
。
此の子も彼処に入れましょう
。
そうだな、神様も喜んでくれるさ
一ノ瀬 莉透
、、、、、
一ノ瀬 莉透
ど、こ?
。
、、、、、
。
迎えに来るまで此処に居て、
。
絶対に外に出ちゃだめよ
一ノ瀬 莉透
、、、、、
一ノ瀬 莉透
はぁい
がちゃんっ
此処での生活は居心地が悪かった
ご飯は三食とも脂っこいものばかり
運動もままならない
何より人と会話出来なかった
。
莉透の様子は?
。
最近ご飯を食べません、
。
其れどころか、会話もできずにただ寝ているだけです
。
息は?
。
しています
。
善、其れなら良い
私が入れられた場所は、神に生贄として育てられる
収容所だった
十歳が頃合いだそうだ
。
莉透ちゃ~ん?
一ノ瀬 莉透
、、、、、
。
今日はご飯食べよっか、
一ノ瀬 莉透
、いら、ない
一ノ瀬 莉透
美味しくない、、
。
はぁ、貴方達、抑え付けなさい
。
はい、
。
はい
私の肩を抑え付け、髪を引っ張り無理矢理口を開けられた
。
はい、あーん
一ノ瀬 莉透
っ、、、
全部完食したら、何も言わずに出て行く巫女達
一ノ瀬 莉透
おえ、、、、、っ、
何も解らないまま、遂に十歳の誕生日を迎えた
沢山の巫女が、私を装飾していく
。
生贄として奉られる前に、外を散歩する時間があるわ
。
最後の外よ
一ノ瀬 莉透
(逃げても無駄、か
一ノ瀬 莉透
あぁ、死にたくないなぁ、、、、、笑
一ノ瀬 莉透
でも、
一ノ瀬 莉透
こんな世界で生きたくない、、な
太宰 治
こんばんは
一ノ瀬 莉透
、?
太宰 治
美しい方だ、
太宰 治
齢は?
一ノ瀬 莉透
十です
一ノ瀬 莉透
でも十で終わりです
太宰 治
何故?
一ノ瀬 莉透
今寺に戻り、奉られるからです
一ノ瀬 莉透
此の海とも今日でおさらば、、ですね
太宰 治
では、
太宰 治
私と心中してくれないかい?
一ノ瀬 莉透
、え?
太宰 治
私も毎日命を抱えるのはうんざりだよ
太宰 治
是非貴方と死ぬまで
太宰 治
死ぬ気で恋愛をしてみないかい?
一ノ瀬 莉透
、もう終わってしまいますがね
そう言って流れた涙が
あまりにも美しかった
。
莉透ー!!
。
寺に戻るわよー!!
一ノ瀬 莉透
っ、!
太宰 治
じゃあ、僕が貴方を助けよう
一ノ瀬 莉透
、え?
太宰 治
目を瞑ってて
太宰は騎士だった
昔に読んだ童話の、騎士様だった