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引越しの日
お母さん
じゃあ、お父さんとお母さん、先に電車に乗ってるから
お母さん
乗り遅れないように来てね
中村茉宇（まう）
わかった
西村宙（そら）
茉宇、元気でな
西村宙（そら）
応援してっから！
西村宙（そら）
茉宇が友達できるように
宙の屈託の無い笑顔が胸を締め付ける
好きって伝えたい
でも、そんなこと言ったら宙はきっと困る
だから言わないって決めたんだ
西村宙（そら）
あ、そうだ
西村宙（そら）
これやる
中村茉宇（まう）
手紙？
西村宙（そら）
いや、お守り
西村宙（そら）
お守りとして手紙書いたからあとで読んでよ
中村茉宇（まう）
今読んじゃダメ？
西村宙（そら）
だーめ
西村宙（そら）
電車乗ってからにして
西村宙（そら）
目の前で読まれるの恥ずいから
中村茉宇（まう）
一年半だったけど仲良くしてくれてありがとう
中村茉宇（まう）
宙と何回も喧嘩したけどでも…
中村茉宇（まう）
毎日すごく楽しかった！
西村宙（そら）
茉宇…
西村宙（そら）
俺忘れないから
西村宙（そら）
茉宇のこと他の人たちがみんな忘れたとしても俺は忘れない
中村茉宇（まう）
…ありがと
中村茉宇（まう）
私も宙のことは忘れない
中村茉宇（まう）
ずっと友達だから
西村宙（そら）
ああ
西村宙（そら）
一生友達でいような
中村茉宇（まう）
うん
中村茉宇（まう）
じゃあ…行くね
西村宙（そら）
おう
西村宙（そら）
またな
改札を抜けて電車に乗り込む
宙…
ほんとにありがとう
私の世界に色をくれてありがとう
たくさんの思い出をありがとう
大好きだよ
デッキでもらった手紙を開くとそこには…
大きな文字で
『俺は茉宇が大好きだ！』
と書かれていた
電車から降りて私も好きだよって伝えに行きたい
でも、発車まであと一分…
中村茉宇（まう）
宙…宙…
離れたくないよ…
引越ししたくないよ…
2年後
先生
今日から3年生
先生
受験勉強が本格的に始まる
先生
みんな本腰を入れて頑張るように
先生
それと今日は転校生を紹介する
教室に入ってきた人に見覚えがあった
宙…？
西村宙（そら）
…西村宙です
西村宙（そら）
よろしくお願いします
でも、宙は私の知ってる宙じゃなくなっていた…
続く
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