コメント
0件
正直言うと、最初から分かっていた。
今の僕じゃ敵わない。
ただ、・・・・・・一つ、勝算があるとしたら、清美の能力が有るか無いかだ。
まず、僕の速度で間に合うだろうか?
相手の能力は身体強化、無限に出来ると言っていた。なら、速度を上げるなんて容易い事だろう。
でも、その分身体の負担はあるはずだ。何も負担無く能力を扱えるはずが無い。
どうやって、清美の元へ辿りつのか・・・・・・
???
そりゃーそうなるだろう。
僕は今、男性を無視し、女性達が居る広場へ走っている。
が、僕は・・・・・・その足を止めた。
???
振り向き、広場に背を向けた。
涼風 一樹
そう言うと、男性は嘲笑していた。
???
???
男性は拳を固めると、急激に太くなった。
涼風 一樹
予想外ってのはこの事だ。
???
俺は思いっきり地を蹴った。
誰も反応出来ない様な速度で、奴の懐目掛けて、・・・・・・速度を絶やさず、勢いのまま拳を振るった。
その時、俺は不気味に思った・・・・・・
俺の拳が当たる直前、奴は、ひっそりと笑みを零していた。・・・・・・意味が、分からなかった。
疑問を抱きながら、自分の拳を眺めていた。・・・・・・
篠宮 清美
僕は、広場の壁に直撃していた。
涼風 一樹
これを狙っていた。こうすれば、一瞬にて辿り着けると思った。
・・・・・・血反吐を吐きながら立ち上がる。
休憩してる暇は無い。こうしてる間に、あの男の仲間が取り押さえてくるかもしれない。
だから、他の女性は後にし、清美を抱き抱えた。
篠宮 清美
篠宮 清美
僕の腕の上で暴れるが、数秒もせずに止まった。
涼風 一樹
元々、ボロボロな壁が、思いっきり僕とぶつかったお陰で、更に罅が入っていた。
その壁を壊す勢いで、突進した。
篠宮 清美
案の定、外に出れた訳だが・・・・・・
篠宮 清美
人を抱えてる分、更に早く落ちて行くが、僕は、清美を抱えながら受身を取った。
それから・・・・・・森の方へ全力疾走だ。
・・・・・・月の光が入ってこない程、草や木が生い茂っている。
ホッと一息吐けそうな場所に身を潜めながら、清美を下ろして、縄を解いた。・・・・・・
篠宮 清美
篠宮 清美
勘が鋭くて助かるもんだ。
篠宮 清美
篠宮 清美
かなり負担が掛かるのに、直ぐに解いてしまう清美は、本当に器用なんだろう。
篠宮 清美
涼風 一樹
清美は、僕に触れて能力を発動した。
すると、再び、何かが解けたのを感じた。
・・・・・・私は思う。一樹のそれを解いた時、彼は・・・・・・この世界で一番最強なんじゃないのか。
その逞しい背中。・・・・・・今の彼は、誰よりも人を救えそうな気がした。
涼風 一樹
と、救いに廃墟へ戻るのだった。・・・・・・
僕は今、廃墟に戻っていた。
可哀想だが、少し、清美には手伝ってもらう事にした。
古びた扉を開け、・・・・・・再び、広場へ向かい、着いたが、男性の仲間が増えている気がした。
そこには、勿論、あの男性も居た。
???
また、指をポキポキと鳴らしながら僕の方へ歩み寄ってくる。
???
男性は地を蹴り、僕の懐へと飛来してきた。が、前の僕なら反応出来なかっただろう。けど、・・・・・・男性の攻撃を軽々と躱した。
???
男性は、呆気に取られていた。
当然だ。さっきまでは、避けれずボコボコにやられていた僕が、途端に軽々と避けたのだから。
???
涼風 一樹
???
今度は、さっきよりも速度が増していた。
僕の元へ、飛来してくる男性に、右手を振り翳した。
すると、男性の姿は消えた。・・・・・・
男性の仲間らしき人達は、何が起きたか分かっていない様子だった。
僕は、そんなの構わずに言った。
涼風 一樹
問い掛けに、無言を返された。
戦意喪失している様だ。
女性達は、足だけが縛られていなかった。
僕の元へ誘導して、清美が居るであろう階段に向かわせた。
後は、清美が外へ連れてってくれるだろう。・・・・・・
『もういいよ』
数分経った後、清美からそんな連絡が届いた。
僕は一息吐いて、
涼風 一樹
僕は、壁に触れた瞬間、発動した。その、閉ざされていた力を。・・・・・・
刹那、廃墟全体に、大きく細かい罅が入った。
仲間らしき人達は動揺していた。硬直したかのように、その場にポツンと突っ立っているだけだった。
???
必死に嘆く男に僕は言った。
涼風 一樹
と。・・・・・・
徐々に崩壊して消えていく廃墟に、男性達も死ぬのは時間の問題だと勘付いている様だった。
・・・・・・それから、数分が経ち、廃墟も、男性達も、跡形も無く消えてしまった。
涼風 一樹
と、僕がため息を吐いていると、歳が近そうな女性が話しかけてきた。
???
涼風 一樹
???
???
女性は、腕を組みながら問い掛けてきた。
涼風 一樹
???
なんなんだこの人。
???
少し間が空いて、数秒後、口を開いた。
???
痛い所を衝かれた。
言い訳するか? ・・・・・・これっきり、会うこともないだろうし。
涼風 一樹
???
???
面倒臭い女性だ。
出来るなら、今からでも時を戻して、この女性だけを置いて行きたい。
涼風 一樹
???
女性は、怪訝そうに見てきた。
???
涼風 一樹
???
と、頭を下げた。
何処か、むず痒くなった。・・・・・・
篠宮 清美
清美がそう言いながら、肘で突ついてきた。
涼風 一樹
篠宮 清美
呆れた顔をしてそう言われた。
篠宮 清美
涼風 一樹
出来るなら、僕は使いたくもない。
閉ざされた力が解けたら、大抵負ける事は無い。が、影響を及ぼす程に強い分、バレたくないのだ。確実に、面倒事に巻き込まれるからだ。
何故、厳重に閉ざされたかはあまり覚えていない。曖昧だが、・・・・・・幼少期の頃、何者かに閉ざされたくらいしか覚えていない。
そういや、僕に過去の記憶がない気がする。
多分、何か嫌なことがあったのだろう。と、安直に片付けた。
考えたって仕方がないからだ。
涼風 一樹
篠宮 清美
清美は慌てた様子で止めてくるが、気にせず帰路を辿る事にした。
篠宮 清美
後ろから、そんな声が聞こえてきたが、構わずに進むのだった。・・・・・・
あれから、一日が経過して、いつも通り清美と会っていた。
篠宮 清美
突然、そんな事を言ってきた。
篠宮 清美
涼風 一樹
篠宮 清美
と、一拍置いた後、
篠宮 清美
そうなるとは思っていた。
断るのもなんだなと思った僕は、嫌々ながらも行くことにした。・・・・・・
・・・・・・ペットショップへ。
篠宮 清美
子供みたいにはしゃぐ清美の姿があった。
涼風 一樹
マンチカンやアメリカンショートヘア、ノルウェージフォなんたら・・・・・・僕には覚えれそうにないな。
・・・・・・ペットショップに常連客とかは居るのだろうか? その人なら、数多もの猫の種類を覚えてそうな気がした。偏見に過ぎないが。
もし、僕が猫を飼うなら、ノルウェーなんたらだな。
涼風 一樹
少し夢中になっている自分が居る。
ただ呆然と猫を見ていたら、聞き慣れた声が耳に入った。
篠宮 清美
結構掛かると思っていたが、判断が早くて助かる。
正直、まだ見てても良かった気もした。
涼風 一樹
篠宮 清美
涼風 一樹
そんな事を言うと、何処か驚いてる様に見えた。
篠宮 清美
こいつは馬鹿だ。改めて思う、馬鹿だ。大事な事だから二回言った。
涼風 一樹
篠宮 清美
何なんだこいつ・・・・・・
・・・・・・種類を見に行ったのか、僕の元から離れて行った。
時間が勿体無い気がして、僕も猫を見とこうと思った瞬間、何処かで聞いたことある声が耳に入った。
???
振り向けば、そこに、昨日救った女性が居た。あの、腕を組んでいた面倒臭い女だ。
???
涼風 一樹
???
???
涼風 一樹
思わず困惑する。
二度と会わないと思っていた女性と、こんな所で会うとは、誰もが思わなかっただろう。
???
涼風 一樹
???
何故か、この女性と話すと疲れる。
???
こいつはなんだ? 人の心でも読めるのか?
そんなことを思っていると。
篠宮 清美
清美も、女性の存在に気づいたようだ。
黒川 朱音
なんで僕と清美とでは態度が違うんだ? 虐めの一種か?
黒川 朱音
突然、そんな事を言い出した。
篠宮 清美
黒川 朱音
篠宮 清美
清美は、冷たい視線を僕に飛ばしてきた。
涼風 一樹
涼風 一樹
黒川 朱音
そんな事を言いながら、清美へ視線を向けた。
黒川 朱音
いつも通り腕を組んでいた。
何か、・・・・・・とは言わないが、重いのだろうか・・・・・・重いんだろう。きっと。
篠宮 清美
清美はそう言いながら、指を指した。
それは、僕も見ていたノルなんたらだった。が、
黒川 朱音
突然、そんな事を言い出す朱音。
篠宮 清美
黒川 朱音
涼風 一樹
黒川 朱音
黒川 朱音
涼風 一樹
言い返してやった。
・・・・・・まぁ、多分だが、こいつは嘘を吐いている。そんな気がした。
でも、こんな嘘を吐いてどんなメリットがあるのだろうか。考えても仕方がないか。
内心でそう思っていると、朱音は口を開いた。
黒川 朱音
嘘を吐いているとは思っていたが、こんな直ぐに教えてくれるとは思わなかった。
黒川 朱音
と、真実を教えてくれるのだった。・・・・・・