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#りくえすとぼっくす
氷室 綾
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雨の日だった
春希
春希
椅子が濡れてしまった自転車を片手で押しながら、もう一方の手で傘を持つ。
俺は雨音を聞きながら警察署へ戻るために歩き出した。
ぼーっとしながら しばらく歩いていたら
ふいにキィッ…と金属が擦れる音がした。
春希
音は公園から聞こえた
雨が強くなってきているからか 人はまばらになってきている
なのに草むらから見えたのは 揺れているブランコだった
春希
もう持ち手まで濡れてしまった自転車を片手で押しながら公園に入る
入口近くのブランコに座っていたのは
綺麗な金髪の子供だった
中学生ぐらいだろうか
ただ遠くを見つめて無心でブランコを漕いでいように見えた
春希
仕事柄なのもあり声をかけないといけない気がした 自転車を止めてまだ開き慣れていない警察手帳を片手に子供近づいた
春希
春希
春希
声をかけるとその子は無言で振り向いた。
でもパチリと視線があった目は充血していて
春希
春希
涙がツゥと目尻から頬へ伝っていた
少し掠れた声は低くて、少年だということが分かった
春希
俺はブランコを漕ぐのをやめてくれた彼の目の前にしゃがみんで傘を差し出す
春希
春希
春希
春希
彼は足元をみつめて小さく呟いた
春希
ツバサ
肩をブルっと震わせる少年
春希
何時間ここにいたのだろうか 着ている服はびしょ濡れだった
俺は着ていたスーツを脱いで彼の肩にかける
春希
彼はスーツの襟の部分をギュッと握りしめる
春希
春希
とにかく少年をこのまま放っておけない
春希
春希
春希
彼に向かって手を差し伸べる
お互い濡れた手を繋ぐ
春希
春希
ツバサ
春希
春希
ツバサ
ツバサ
ツバサ
春希
ツバサ
そう言ったツバサは俺の手を優しく握り返してくれた
春希
春希
ニコッと笑うと 彼の目に少し光が戻った気がした
さっきまで自転車を押していた俺の手は 今は彼の手と繋がれている 俺たちは歩いて警察署へ向かった
コメント
1件
第1話、読み終わりました。雨の夜の公園、ブランコの軋む音から始まる出会いのシーンがとても印象的でした。春希の職業的な冷静さと、傘を差し出しスーツをかける優しさのバランスが自然で、ツバサの「雨だよ」と強がって涙を隠そうとする台詞も切なかったです。「帰る場所がない」という一言が重くて、ここからどう展開するのか気になります。手を繋ぐラストの温かさが良かったです。続きを楽しみにしています!