渉
なあ
麻友
何?
渉
お袋が死んで
渉
ほっとした?
麻友
何言ってんの
麻友
そんなわけないでしょ
渉
でもおまえいつも
渉
お袋が嫌味言うって愚痴ってただろ
麻友
事実を言っただけでしょ
渉
でも嫌ってたよな
麻友
あのね
麻友
お母さんを亡くしたばかりの人に「ほっとした」なんて言うわけないでしょ
麻友
それに
麻友
お義母さんが変わったのは……あの時からじゃない
渉
ああ……
麻友
彩奈が亡くなった時……
麻友
私のせいだって責めて
麻友
それから色々言うようになったんだよ
渉
だから恨んでるんだと
麻友
彩奈の事故は……私も自分を責めた
渉
あれは!
お前のせいじゃない
お前のせいじゃない
麻友
お義母さんは、私に「代わりに死ねば良かったのに」って……言ったね
渉
ひどいことを言ったと思ってる
麻友
うん
あなたはその時、怒ってくれたし
あなたはその時、怒ってくれたし
麻友
事故の時もその後も、あなたは、私を責めなかった
でも
でも
麻友
私なら
麻友
彩奈があなたといる時に事故にあったら
麻友
感情的になって責めたかもしれない
渉
そんなことは
麻友
だからお義母さんの気持ちはわかる
麻友
お義母さんも、やりきれなかったんだよ
麻友
彩奈を可愛がってくれてたし
麻友
言われたその時は悲しかったし辛かったし、あの言葉は一生忘れられないと思うけど
麻友
わかる
麻友
わかるから恨んでない
麻友
でも
麻友
あんなことがあって、なんのわだかまりもなくは暮らせなかったところはあると思う
渉
それは仕方ないと思ってる
渉
ごめん
麻友
でもね
麻友
あの子がおばあちゃんを好きだったから
麻友
私は嫌わない
麻友
ずっと、彩奈がいた頃のお義母さんが本当のお義母さんだと思うようにしてた
渉
ありがとう
渉
変なこと言って悪かった
麻友
私思うんだけどね
麻友
もし、死後の世界があるとしたら
麻友
お義母さん、今頃あの子と再会してるね
麻友
ほっとしてるように見えたなら
麻友
これで彩奈が寂しくないと
麻友
思ったせいじゃないかな
麻友
今頃
麻友
彩奈のこと
麻友
前のように可愛がってくれてるよ
麻友
きっと






