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起きない君。出来なかった僕。

第1話 - 第1話　太陽は嫌いだ

2021年10月16日

#ティガの図書館

うるとらまんﾃｨｶﾞ

太陽が嫌いだ。

あの、堂々と輝いている感じが大嫌いだ。

お前にそっくりで

弱虫な俺が余計に小さく見えるから。

友人

海吏～、

友人

今日帰り飯食って帰ろうぜ。

海吏

あー、わりぃ。

海吏

今日予定あるわ。

友人

じゃあまた今度な～

海吏

おう。

友人の誘いを断るのは、これで何度目だろうか

それでも、俺には行かなきゃならない所がある。

また来てくれたのね。

海吏

おばさん、こんにちは。

毎日来てくれるなんて、

きっとこの子も喜んでるわ。

海吏

…いえ、俺は、

海吏

"何も出来なかった弱虫"です。

そんなこと言わないで。

海吏君だけが、

この子の"味方"だったんだから。

海吏

だけど、俺はなにもしてやれなかった。

海吏

だから、今俺が出来ることは、

海吏

彼女が目を覚ますまで

海吏

毎日会いに行くことだけですから。

ありがとう。

私、少し帰ってくるから、

それまで、お願いできる？

海吏

はい。

海吏

……

海吏

今日は、曇ってるから、

海吏

お前の好きな青空は見れないな。

海吏

…早く起きて、俺の手紙、読んでくれよ。

海吏

俺、記念日は手紙を書くっていう約束

海吏

今もちゃんと守ってるよ。

海吏

お前が言い出したんだから、

海吏

お前が破ったらダメだろ…

海吏

…みんな、お前なんていなかったように
過ごしてるよ。

海吏

最低だよな、お前は今もここにいるのに

海吏

何もしてやれなかった俺だって、

海吏

あいつらと同罪だよな。

海吏

ごめんな、俺、弱虫で。

海吏

なぁ、俺を許さないでくれ。

海吏

"ハル"

海吏がハルの手に優しく触れる

ハルは、今、意識不明の重体だ。

頭を８針、両足複雑骨折肩関節の脱臼、内臓損傷。

聞くに耐えない内容だった。

ごめんね、遅くなったわ、

海吏

いえ、ハルのそばにいれて、

海吏

俺も嬉しいですから。

…そう。

あなたがハルの彼氏で良かった。

海吏

俺、今日は帰ります。

海吏

また明日来ます。

無理はしないでね。

海吏

はい。では。

ハルのお母さんに軽く頭を下げ、俺は病室を後にした。

起きない君。出来なかった僕。

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