恋雪
愛美
愛美
愛美は空いた座席を指差す そのことに他の生徒達は気にも留めずに勉強を続けている
恋雪
というのも、今は3年生の夏
中高一貫でもないのに、転校生にしては、少々遅すぎる
愛美
と、愛美が言った途端にチャイムの音が教室に響き渡った 恋雪と愛美は急いで席に座る
日直が号令をかけ、ホームルームが始まる
……と、思われたが
先生
という報告をする それでもざわつかないのは、この高校が高偏差値だからだろうか
先生
ガラガラと教室の扉が開かれる その人物に、みな目を奪われた
決して美少女だったから、とかではなく
いや、それもあるが、他にもそうさせるものがあった 彼女は髪にメッシュを入れ、ピアスを開け、派手な化粧をしていた
加えつけには、露出度の高い服 決して校則違反ではないが、この高校には 似ても似つかないほどに、珍しいものだった
彼女は黒板に小さく「佐渡 凜」とチョークを走らせ、 気怠けに声を発する
凜
そう、これが始まり
長くも儚い、物語の始まりだった
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