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敗戦し、数年後。
俺はイタリアに会っていた。
他にやるべきことがあるにも関わらず。
ドイツ
叫んで叫んで、彼を呼んで。
彼が来ても、泣き叫んで、叫んで、叫んで。
鬱陶しく、面倒くさかっただろうに、
彼は自分を優しく抱きしめてくれた。
イタリア
頭に冷たいものがぽたり、ぽたりと落ちる。
あぁ、自分のために、泣いているんだろうか。
やっぱり裏切る気なんて毛頭なかったみたいじゃないか。
あぁ、そうだ、世界が悪いんだ。
______彼を裏切るように仕組んだ、世界が。
協商側が。
あいつらが。
ドイツ
イタリア
優しい声。神のような声。
あの日、あの時、こことおなじような場所で、
かつてのイタリア王国に、ローマ帝国に、俺を見てくれたときのことを思い出す。
______その時のような、声だった。
ドイツ
締め付けられる喉で精一杯出した声。
泣き叫んだからか、酷く掠れていた。
それでも彼は、その言葉に答える。
イタリア
その一言で、全てが報われたような気がして。
俺は、また、泣き叫んだ。
戦争が終わって、国もボロボロで、
やっとひと息つけるようになったころだった。
ドイツが、泣きながら走ってきた。
ドイツ
なんて、あんな声で呼ばれると思わなくて、
驚きすぎて一瞬固まっちゃったよ。
io、ただ、
『あ、戦争で疲れちゃったのかなぁ?』
くらいにしか思わなかった。
だって、あんな状況だったし。
ioたち国の化身は、戦争中はまともじゃなくなることなんていくらでもある。
だって、何十、何百、何千年も生きてるわけだし。
だから、責める必要もない。
それだけの話。
ドイツは泣きじゃくりながら喋ろうとするけど、
何言ってるか半分くらい分からなかった。
子どもみたいにぐちゃぐちゃで、
抱きしめたら余計泣くし。
イタリア
本音だよ。
ほんとに裏切るつもりなんてなかったし、
国がそういう流れになっちゃっただけだから。
あそこで責めたら、もっと壊れちゃう。
もっともっと壊れて、完全に壊れちゃう。
ioは完全に壊れるの、あんまり好きじゃない。
落ち着いてほしくて、頭を撫でた。
そしたらドイツが、こちらの言葉を飲み込むみたいに息を呑んで、
なんとか声を絞り出してきた。
ドイツ
なんでそんなに必死なのか、
ioにはよく分からなかった。
だって、“昔みたいに仲良くする”ってだけだし。
そんな大げさなことじゃない。
だから、軽く返した。
イタリア
深い意味なんて、なかった。
ただ、泣いてる人を落ち着かせようとして言っただけ。
それだけの言葉なのに、
ドイツはまた泣き出して、
ioの胸元を握って、
崩れるみたいにしがみついてきた。
そんなに…嬉しかったのかな?
なんだかよく分からないけど、
まあ、また昔みたいに一緒にいられるなら、
それでいいと思った。
ドイツは前から"そういう子"だったから。