こそこそと中の様子を伺いつつ、主人公の姿は無いかと探す。 もう二度と会わないようにしなくては。主人公とも攻略キャラ達とも。
モブ
モブ
耳をすませばそんな会話が聞こえてきた。 俺が居ない間にあらかたイベントや会話は終わったのだろう、ぞろぞろと皆が帰宅の支度を始め出す。
シャーク
鉛のように重い身体を引きずって、人の流れに乗って出口へと向かった。
行きとは打って変わって静かな馬車に揺られ、ようやく家へとたどり着く。
帰り道、使用人は俺の顔を一瞥してあらかた何があったかを察したのだろう。 お疲れ様ですと一言発し、それ以降黙って隣に居てくれた。
シャーク
立派な洋服にシワが付くのも構わずベットに倒れ込み、目を閉じる。
シャーク
シャーク
そう思っているはずなのに、目を閉じると"あの光景"が浮かんできて冷や汗が止まらなくなる。
真っ直ぐ俺を捉えて離さない、澄んだ水色の瞳。 ゲームだったら……俺が主人公だったら、意味は全く違ったんだろうな。 あの瞳があんな風に歪むことだって無かったはずだ。
シャーク
身体を丸めて強く目を閉じる。
けれどあの光景は消えてはくれなかった。
シャーク
[シャーク(魄ォ蜥檎伐莠ー縺ィ)] 16歳 男 アルカナディア魔法学園1年生 level:????????? 得意魔法:∞ HP400/400 MP:繧、繝ウ繝輔ぅ繝九ユ繧」
シャーク
パーティーから3日が経った。 あの夜のざわめきも少しずつ記憶の奥に沈んで行き、多分もう、あんな風に夜な夜な悩まされることは無いだろうと思えた。 400/400、その数字を見た瞬間、胸の奥がふっと軽くなる。 ようやく、いつもの自分に戻れた気がした。
シャーク
ここは学園内の裏庭。 昼休み中とはいえ滅多に人が来ない場所だ。 なんで俺がこんな場所に居るかといえば……
シャーク
文字化けしていて分からない俺のMP…マジックポイントを確かめるためだ。
シャーク
シャーク
このゲームでの魔法の習得方法は2つ。 1つ目は魔導書を読んだり、授業を受けたりして知識を得ること。 2つ目は他人の見よう見まねでも何でも、とにかく「唱える」こと。 発音と呪文さえ合っていれば、それらしいものは発動できる。 まあしっかりとしたのを発動したいならイメージが出来ないといけないんだが。
普通なら学校の授業で習い、実践まで行うのだが、俺はそこを全パス出来る。 何故ならルート周回の上で魔法は必須だったから!!
シャーク
シャーク
ぼすっ、ぼすっ、と小さな風の塊が浮き出ては、空気に混じって消えてゆく。
軽快な音と感覚に包まれながら、ひたすら魔法を唱え続けた。
コメント
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初見です!!悪役転生系めっちゃ好みなのでもう読んでてうわぁそう来たか!!となってました最高です😭😭😭応援してます!!