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rara🎼
nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 殺し屋パロ
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#23 桃の選択、静かなる反抗
# 桃
それは彼の口癖だった。
だが、らん――コードネーム「桃」は、その言葉を“免罪符”のように使っていた。
無気力の皮を被って、心を守るために。
午前八時。
スーツの襟元を整えながら、らんは鏡の前で一息ついた。
ネクタイはやや緩めに。
髪は整えすぎず、少し乱して。
「完璧じゃない範囲で整える」のが、らんの“仕事スタイル”だった。
会社員としての顔。
広告代理店で働くらんは、事務的でそつがなく、誰からも信頼される存在だった。
もぶ
と言われるたびに、
# 桃
と、内心では苦笑していた。
その日、らんのスマホに一通の通知が入った。
# 桃
軽く首を回しながら、らんはデスクを整理し、外回りと称してビルを出た。
同僚には
# 桃
とだけ告げて。
標的が頻繁に通うというビルのロビー。
そこに現れたのは、スーツを着た中年の男。
派手ではないが、金の腕時計に高級な皮靴。
挙動は慎重で、常に周囲を伺っている。
桃はその背後に立ち、静かに歩幅を合わせた。
# 桃
# 桃
名札を見せて、偽のビル職員として話しかける。
男が振り返る。
ほんの一瞬、警戒を見せたが、桃の自然な態度に警戒を解いた。
# 桃
桃はそう繰り返しながら、胸ポケットから細いペン型の装置を取り出した。
それを標的の胸元に軽く当てる。
ピッ。
無音のまま、心臓の鼓動が止まった。
# 桃
帰り道、らんは屋上の非常階段に腰を下ろし、コンビニの缶コーヒーを開けた。
風が髪を揺らす。
らんは、ただ黙って空を見上げていた。
# 桃
# 桃
らんの仕事は常に正確だった。
ブレない。
ミスをしない。
組織でも一目置かれる存在だった――なのに、心は冷えたままだった。
# 桃
# 桃
それが、らんの中にある微かな矛盾だった。
数年前の記憶がよみがえる。
初めて人を殺した夜。
吐くこともできず、ひとりベッドの上で震えていたあの夜。
# 桃
# 桃
そう自分に言い聞かせて、口にしたのが――「面倒くさいな」だった。
それ以来、その言葉が、らんの心の盾になった。
その夜、報告書を作成する指が、一瞬止まった。
# 桃
【任務:完了】 【手段:接触即死/痕跡なし】 【備考:異常なし】
画面の“送信”ボタンに、指が触れたまま動かない。
# 桃
けれど、ふと指先に力が入った。
“備考”欄に、らんは数行だけ付け加えた。
【心理状態:一部負荷あり】 【感情の乖離を自覚/冷却期間を希望】
その直後、らんは小さなライブハウスに立ち寄った。
学生時代に通っていた場所だ。
誰も知らない場所で、誰も自分を見ていない空間で、らんはただ、ゆっくりと音楽に身を任せた。
騒がしいベース音。
歌詞の意味も定かでない叫び。
それを聞いて、らんは微かに口元を緩めた。
# 桃
らんは、任務も、仕事も、“正確に”こなす。
だがそれは、感情を隠すための精密機械のフリだった。
本当のらんは、誰よりも疲れていて、それでも、誰にも弱音を吐かずに笑うために――“面倒くさい”を口癖にした。
そして、らんはそっと口にする。
# 桃
その言葉に、少しだけ“らん”という人間の輪郭が、やわらかく滲んだ。
第六の揺らぎは、静かに記録された。
#23・了
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡240
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次は誰だろ?