なんも見えない
くらい視界が俺を包む
生暖かい液体が
酷く痛くなった俺の体をつたう
熱く痛い体をどうにか動かそうとする
感覚は残っていた
何か布のようなもので俺を覆っていた
光もなくて
動けない
怖い
🎼🌸
声は出せるみたい
🎼🌸
声を出しても返事はない
この空間にいるのは俺だけか
少しの期待が消える
痛い 痛い
そんなわがままを抑え
無理矢理体を動かす
🎼🌸
冷たい床が足を刺激する
布の擦れる音がする
手で確かめながら
壁をつたう
ぺた…ぺた…と音が鳴る
冷たい 寒い
誰もいないのか
気がつくと随分と歩いていた
知らない場所
どこかも分からない
何回か ドアノブが手にかかった
開けようとしても勇気なんて出ない
🎼🌸
今 何か冷たいものが手に当たった
形からまたドアノブか
今度は勇気を出して開けてみようか
何か聞きなれた声が聞こえる
…… 開けてみようか
……?
……?
……
聞きたくなくて
覚えていて
染み付いていて
俺が生み出した声
🎼🌸
🎼🌸
🎼🌸
……?
無意識に返事をしてしまった
これが 長年人の願いを聞いてきた
若者の末路か
……?
コメント
3件
大好きだわ。 神作。 続き楽しみ