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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

んっ…んん……

ゥッ…ウァッ…ポロポロ

桃くん!ユサユサ

…ポロポロ

桃くん!起きて!

こッ…青ッ…ポロポロ

青ッ…ポロポロごめんッ…ポロポロ

桃くん!桃くん!

ハッ…紫ーッ…くんッ…?

うん、紫ーくんだよ

ごめッ…俺ッ…ポロポロ

大丈夫?どうかした?

ゴシゴシッ

ごめん、俺は大丈夫だから

えっ…でも泣いてッ…

ごめんな、ほんとに大丈夫だから

ッ…

俺、先下行くな

あッ…ちょっ…!

桃くん…?

ッあぁ…ごめんッ…

俺出かけるとこあるからッ…

えっ…ちょッ…!

ガチャッバタンッッ

行っちゃった……

こういう事は定期的に訪れる

その日は…決まって…

5月29日だった

トコトコ

どこ行くんだろ……?

不思議に思った俺は

尾行する事にした

トコトコ

……トコトコ

一定の距離を保ち追いかける

ーーーーーーー。

ーーーー。

桃くんの向かった先は花屋さん

定員さんと親しげに話している

もう少し近づき、聞き耳を立てる

青のワスレナグサと桃のスターチス、それと白のカーネーションを2本ずつ下さい

定員さんは花を持ち奥に入っていった

花束でも作って貰うのだろうか? 誰に送るのだろう…?

……グスッ

待つ間も桃くんは時々鼻を啜っていた

ここ…墓場…?

バレない、でも声の聞こえる距離 まで間を詰める

青ッ…元気かッ…?ポロッ

俺はッ…まずまずだよ…

俺ッ…お前が居ねぇとッ…

青ッ…青ッ…ポロポロポロポロ

なんでなんだよッ…ポロポロ

桃くん……

ッ紫ー…くんッ…!?

なんでッ…ここにッ…

ごめん…後つけてきたの

ッ…ごめんなッ…

ううん…俺の方こそごめん…

そういう事だったんだね…

ごめんッ…ごめんなッ…

家…帰ろう?

分かったッ…ポロポロ

泣いてボロボロの桃くんの肩を抱き 体を支えながら家に向かって歩く

はい…これ、飲む?

あ…ありがとッ…

甘い…温かい…

良かった

少し落ち着いた?

あ…うん…ごめん

ううん…謝らないで

今日…命日…なんだね…

そう…

ちょうど10年前…

10年…前…?

俺の元彼…青っつーんだけど

亡くなったんだよ…

そっか………

青と会ったのは高1ん時

なぁ、お前名前は?

ん?僕?

お前以外いねぇだろwww

あ、確かに☆

僕の名前は青!よろしく!

青、か。よろしくな!

青と出会ったのは高1の入学式

たまたま席が隣だった。

高校なんて顔見知りいねぇし

まず隣から話しかけるじゃん?大体

だから俺から話しかけた

トコトコ

青〜!

うわぁぁ!

ふはっwwww

脅かさないでよ!

ごめんごめんwwww

ぷい!………(≧ε≦● )プッ

クハハハハwwwwカァ⤴︎ww

笑い方やばすぎだろwww

うわっブーメランwwww

なんでだよwwww

自覚なしかよwwww

そっからどんどん仲良くなってった

それと同時に俺は青に惹かれていった

うんうん……

まぁ告白も俺からで

高1の中頃に付き合った

でも10年前のあの日……

うん…

間に合ったな…

5月29日午前9時

俺達は旅行へ行く計画を立てていた

2人でホテルに向かい、 夕方にチェックインしてから ホテルのレストランで食事の予定だった

普段遅刻魔とか言われる俺だが この日ばかりは遅刻しなかった

来ねぇな……

でも青は来なかった

最初の30分はのんびり待った

まぁすぐ来るだろ…

待ち合わせから1時間。 メッセージを送るも返事は無し

さらにもう1時間。 電話も出ないし返事も無し

音信不通の状態だった

何かあったのかよ……

家に行こうと思った。 でも単なる遅刻だったら?

そう考えるとすれ違う事もあるだろうと 考え俺はその場に留まっていた

そんな時、かかってきた一通の電話

青ッ…!?

発信者の名前は…青

青ッ…!?

青母

桃くん…青の母です

あッ…青のお母さん…

青母から青の携帯で電話がかかってきた

その時点で何か嫌な予感はしていたんだ

青母

今から…苺病院に来れる?

あのッ…青になにか…!

青母

落ち着いて聞いてほしいの……

はいッ…

青母

青は…事故にあって……

青が…事故に……?

青母

来てやってくれないかしら…

今すぐ…行きます……

幸い苺病院に行く通り道に自宅を通る

玄関に荷物を投げ捨てた

驚いた母さんには一言 「苺病院!」とだけ叫んだ

桃母

桃!乗りなさい!!

走っていたら隣に止まった母さんの車

"乗りなさい" この一言だけで全てを理解した

桃母

あんた馬鹿じゃないの!

………

桃母

苺病院なんて遠いわよ!?

桃母

走ってなんて無理よ!

戸を閉めると同時に走り出した車の中で 母さんからの説教が飛ぶ

桃母

…何かあったのは分かったわ

青がッ…青がッ…!!

桃母

すぐ向かうから待ってなさい

その言葉を最後に母さんは 無言で車を走らせた

青母

桃くん…来てくれてありがとう

病院に着いた時入口で青母が立っていた

あのッ…青は!

青母

今は…手術室の中に……

青母

第1手術室の前で待ってやって…

ッ…はい!

その一言を聞くと同時に 俺は猛スピードで走った

手術室前の椅子に座り乱れた息を整える

青ッ…

なんでッ…青ッ…!

一足遅れて戻ってきた青母と母さん

桃母

青ちゃん…ポロポロ

母さんは…泣いていた

なんか聞いたのかッ…?

桃母

桃ッ…落ち着いて聞くのよッ…

青母

まず…連絡するのが遅れたのを謝らせてちょうだい…

いやッ…そんなの別にッ…

青母

青は9時半に家を出たの

青母

何回も起こしたんだけれど全く起きなくて…ごめんなさい…

………いえ……

青母

それで10時くらいかしら…

青母

警察から電話がかかってきたの…

…………

青母

青は…轢き逃げにあったらしくて

轢き……逃げ……?

青母

警察から連絡を貰った時私は既にここにいたの

青母

そこから暫く話をして…

青母

話が終わってすぐ…連絡しなきゃって桃くんに連絡したの

そう……だったんですか…

医者

青さんの御家族ですか?

青母

青の母です…

恋人の桃です…

桃母

桃の母です…

医者

青さんについてご説明します

医者

こちらに来て頂けますか?

青母

あ……はい……

着いた場所は病状説明室だった

青母

あの…青は……?

医者

内蔵への損傷は奇跡的にありませんでした

医者

ですが…頭を強く打った為か脳死の可能性が疑われます

脳……死……?

青母

あの……脳死って……

医者

脳の全ての働きがなくなった状態のことを指します

医者

薬剤や人工呼吸器の助けが無ければ心停止します

桃母

………ポロポロ

青母

また…話せるんですよね…?

医者

植物状態と違い脳死は回復する事はありません

桃母

そ…そんな……

青母

青ッ……ポロポロ

青が…脳死……?

え………?

医者

青さんから臓器提供について何かお聞きになっていましたか?

青母

青は……よく言ってました…

青母

もし自分が脳死したら臓器提供をするって…

え………?青が………?

青母

18になってすぐ…臓器提供意思表示カードを書いてました…

桃母

青ちゃん……ポロポロ

青母

青の望みなら…臓器提供に反対はしません…

医者

それでは…臓器移植コーディネーターから詳しい説明をお受けください

青母

はい……ポロポロ

臓器移植……ポロポロ

その後…説明を受けて…

青のお母さんは同意したんだよ

うん…ポロポロ

脳死判定を2回受けて…

正式に脳死だと判断された…

それが…5月29日の午後8時

そっか……ポロポロ

青は…全てを提供した…

提供出来る臓器全てを……

うん……ポロポロ

だから……ポロポロ

命日の日になったら……

夢に青が出てくるんだッ…ポロポロ

そうだったんだ……ポロポロ

ごめんなッ…ポロポロ

ううん…ポロポロポロポロ

そんなに泣くなよぉ…ポロポロ

だって…だってッ…ポロポロ

だって…なに?ポロポロ

俺は臓器移植したからッ…ポロポロ

へッ……………?

俺は…16の時にッ…

心臓を貰ったッ…ポロポロ

16………?ポロポロ

同じ…10年前にッ…ポロポロ

だから俺は生きてるッ…

紫ー…くん……ポロポロ

その人の情報は何も知らないけどッ…その人にも大切な人がいたと思うッ…

これ…見て欲しいッ…

……手紙?ポロポロ

俺が心臓を貰ってからッ…

一通だけ手紙を送れた…ポロポロ

うん…ポロポロ

それの…返事なのポロポロ

返事……ポロポロ

俺は…これを見てッ…ポロポロ

人生を全うするって決めたッ…

…………ポロポロ

俺はッ…幸運な方だった…

幸運?グスッ

臓器移植は日本では例が少なくて…15歳以下は認められてないの

うん…ポロポロ

それに…日本で移植を受けられる人はほとんど居ないッ…ポロポロ

えッ……?

殆どが海外渡航をするの…

勿論多額の費用が必要でッ…

うん…

クラファンとかで集めてッ…

渡航出来ても移植を待たずして亡くなっちゃう人もいるッ…ポロポロ

ッ……ポロポロ

そんな中俺はッ…

日本で移植を受けれたッ…

拒絶反応も無く生きてるッ…

…ポロポロポロポロ

この手紙ッ…

なにッ……?ポロポロ

名前書いてるけど……

臓器を貰った側…グスッ…レシピエントって言うんだけど……

送る時に…名だけなら書いてもいいの…

紫ーくんは…書いたって事?

そう…俺は書いた…

そっかッ…ポロポロ

紫ーくんだったのかッ…ポロポロ

えッ………?

この手紙ッ…

俺が書いたからッ…ポロポロ

え………それじゃあ……ポロポロ

この心臓はッ…青さんのッ…?

あぁッ…そうなるなッ…ポロポロ

ッ…ポロポロポロポロ

良かったッ…良かったッ…ポロポロ

ありがとうッ…ポロポロ

紫ーくんッ…ポロポロ

桃ッ…くん…ポロポロ

俺達は…どちらからともなく抱き合った

青さんのお陰で俺はッ…ポロポロ

青ッ…紫ーくんの中でッ…ポロポロ

俺は…桃くんとその元恋人の青さんと… これからも生きて行きます

奇跡の出会い ❦ℯꫛᎴ❧

青のワスレナグサ

「私を忘れないで」

(明確な色別の花言葉は無い)

桃のスターチス

「永久不変」

スターチス全般の花言葉

「変わらぬ恋」、「途絶えぬ記憶」

白のカーネーション

「私の愛は生きている」

カーネーション全般の花言葉

「無垢で深い愛」

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333

コメント

9

ユーザー

……( ˙O˙ ) 最高です✨ まさかの展開…、凄すぎます…( ゚д゚) 読んでいてとても楽しかったです 初コメ&ブクマ失礼します🙇‍♀️‪‪⋱♀️

ユーザー

めっちゃ号泣しちゃった、、、すごい奇跡、、、

ユーザー

(´;ω;`)まじで奇跡じゃん…泣いた…

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