澄
ねぇ—ちょっと話してもいい?
蒼
...どうかした?
澄
私ね、別れたんだ
澄
理由は…よくわかんないけど
澄
でも、なんか…君に話したくなって
澄
だから──
澄
……
澄
昔、悩んでた時も、
澄
いつも君に話してたよね
──既読——
……今でもこうやって、メッセージは見てくれるんだ
どれだけ返事が遅くても、ブロックだけはしない。
澄
(…ほんと、ずるいなぁ─)
蒼
蒼
うん。前も、そう言ってた
──八年前──
先生
えーっと、転校生のこと、クラス委員頼むね。
澄
はい、わかりましたー
澄
えっと……
蒼
?
澄
クラス委員の澄です
澄
なにかあったら言ってね?
蒼
…あ、うん…
あの日が、出会いの日だった。
澄
めっちゃ無口じゃん……
澄
ちょっとからかってみよ
澄
おーい、何してんのー?
蒼
本読んでるけど。目ついてないの?
澄
うわ、キツ……ねえ、
澄
今日自習残る?
蒼
関係ないでしょ
澄
みんなでごはん行くんだよ?来る?
蒼
…まあ、別にいいけど…
あの日が、澄が蒼の手を引いた日だった。
学食の隅っこ
澄は友達と楽しそうに喋ってたけど、
向かいに座ってる蒼がずっとスマホばっか見てるから、思わず眉をひそめた。
澄
ねぇ、ちょっとは喋りなよ
澄
誘ったの、こっちなんだからさ
蒼
……うるさいな。ちゃんと聞いてるし
澄
まあまあまあ
(──そんなのでも、なんか嬉しかった)
(つづく)