“指輪なんて照れくさいけどさ、悟につけてほしいから。嫌でも外すなよ?泣くからな。”
僕の左の薬指には、銀に輝く指輪がはめられている。
“硝子はネックレスだろ、間違いない。”
僕の同期である家入硝子の首には、同じく銀のネックレスがかかっている。
“傑はピアスな。つけてたろ?……あれ、つけてないっけ?まぁどっちでもいいや、開けろ”
僕の唯一の親友夏油傑の耳には、半ば強制のように開けられた銀のピアスが光っている。
「卒業祝いに買ったわけ?」
「左指につけるか、普通。」
僕の生徒は皆可愛いけど辛辣だ。 隣で笑いを噛み殺している親友も、タバコを吹かしていた同僚も昔と変わらず。
「……これね、ある人からのプレゼントなんだ。」
そう言って寂しそうな表情をする傑に、僕と硝子の顔色も曇る。 だって本当なら、隣には彼女がいたはずなんだ。
「先生達の大切な人だったんだね。」
「自慢の師匠だったんだよ。んで」
硝子がちらりと僕の顔色を伺う。 高専の時の硝子は、人の顔色伺うなんて性格じゃなかったのにね。
「僕がずっと片想いしてる人」
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