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ユウヤ
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おどけた笑顔で立花さんが言う。
言われずとも、恋人とはいえ女性のバッグの中を覗くなど言語道断だ。
スズ
そうこうしているうちに、本日の目的地たどり着いたようだ。
彼女が楽しそうに指差したお店の中に入る。
どことなく郷愁感を感じさせるカントリーミュージック風のBGMが、僕らを出迎える。
白を基調とした清潔感のある店内はそこそこ広い。
昼間であるにもかかわらず、オレンジの間接照明がムーディな空間を演出していた。
スズ
ユウヤ
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店の奥には、海を望むソファが鎮座したテラスがあった。
別途500円かかるとの説明を受け、席に案内される。
外に続くドアを抜けると、見るからにフカフカなL字型のソファが僕たちを出迎えた。
スズ
ユウヤ
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そう言いながら、ぼふんと勢いよくお尻をソファにダイブさせる立花さん。
上機嫌で両足を交互にパタパタさせて、かかとをソファに打ち付けている。
スズ
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ユウヤ
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立花さんはそう言って、僕の肩を人差し指でツンツンしてくる。
スズ
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NBAだと何億とか何十億っていうレベルらしいが……
日本じゃさすがにそうはいかない。
僕はお金にこだわりないから、別にいいんだけど。
スズ
ユウヤ
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なるほど、といったふうに立花さんが頷く。
スズ
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ユウヤ
ドキリと、心臓が脈打つ。
答えに窮する僕に、立花さんが『?』というふうに小首を傾げる。
ユウヤ
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それらしいことを言って、ごまかした。
本当のことは、言いたくなかったから。
ユウヤ
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立花さんはそう言って笑顔を見せてから、テーブルの上に目を移す。
スズ
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メニューと睨めっこを始める立花さん。
見ているのは、お目当てのクレープの写真が所狭しと並んだページだ。
クレープとは言っても、具材を生地で巻いた、持ち運び性重視のよくあるタイプのやつではない。
オシャレな皿にオシャレな感じで盛られた、オシャレなタイプのやつである。
スズ
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ユウヤ
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立花さんは手にしたメニュー表を顔面スレスレのところで広げ、しばらく唸っていたが、
スズ
バシーン!とメニューをテーブルに叩きつけ、シュビッと人差し指を突きつけたのは……
お店の名前を冠する、一番豪華なクレープ。
ボリュームも一番ありそうだ。
ようやく決まったところで店員さんを呼び、注文を済ませる。
ちなみに僕はキャラメルバナナクレープを頼んだ。
それから他愛のないことを楽しげに話す彼女を横で眺めつつ、相槌を打っていると、
店が空いていたためか、それほど待つことなくクレープが到着する。
スズ
電子レンジのターンテーブルを彷彿とさせる大きな皿に載ったクレープ。
それは美術館に置いてあっても違和感がないと言ってもいいほどに、鮮やかだった。
スズ
ユウヤ
それはおそらく一枚と思われるクレープ生地の両端をくるりと折って直立させた、まるで建造物のように立体的な作品だった。
僕は何となく、社会の教科書に載っていたシドニーのオペラハウスを思い出した。
ユウヤ
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ユウヤ
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早速写真を撮ろうと、スマホを求めてハンドバッグの中をまさぐる立花さん。
程なくしてスマホを探し当て、いそいそとバッグの中から取り出した時--
スズ
よほど焦ったのだろうか。
スマホを取り出した拍子に、バッグの口から何かがこぼれ落ちた。
とっさに彼女が手を伸ばすが、間に合わない。
“ソレ”はウッドデッキの上に落下して、カツン……と無機質な音を立てた。