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作者!
作者!
作者!
見たくはなかった。
あっ、好きな人の不祥事を目撃したとかではないのでご安心を。
ただ、安心しきって欲しくもないのは、
好きな人の好きな人がキスをしようとしている所を、私が今見てしまったからである。
簡単に言い換えると、剣持さんと甲斐田さんのだ。
遡る事数分前、私は仕事に向かおうと某区の道を歩いていた。
その時、路地裏からカップルの甘ったるい声が聞こえてきた。
もうほんと、想像しない方がいいくらいの。
そしたら、その声は剣持さんと甲斐田さんだった。
剣持さんは、甲斐田さんの肩の横の壁に手を置き、甲斐田さんの顔に自分の顔を近づけていった。
「午前10時に?!路地裏で?!」とは思ったが、それよりも濃く深く感じている思いは、不破さんの事だった。
不破さんは、剣持さんの事が好きだ。
ただ、そんな剣持さんは、甲斐田さんとキスをしようとしている。
やはり剣持さんは、甲斐田さんのことが好きなのだろう。
こんな所を不破さんが見たら、彼はどんな反応をするか。
考えただけで辛くなる。
絶対に知られてはならない。
私が今見た事を。
そして、私が知ってしまった気持ちを。
私は、今目の前で起こっている事が分からず放心状態のまま、剣持さんと甲斐田さんの唇が近づいていくのを見送った。
すると、剣持さんが何を思ったか、私の方に目を向けた。
急な事で私は何も出来ず、剣持さんと目が合ってしまった。
加賀美ハヤト
剣持刀也
剣持さんも、酷く驚いている様だった。
私は、いつの間にか落としていた自分のバッグを拾い、仕事場に走っていった。
数日後
今日は誰にも会いませんように。
そう願いながら仕事を終えた。
帰ろうとした時、後ろから愛おしい声が聞こえた。
不破湊
加賀美ハヤト
状況的には気まずいが、好きな人に会って嬉しくない事なんてない。
私は不破さんの声の方向に、勢いよく振り返った。
ただ、振り返った途端、私は後悔した。
それは、不破さんの隣に剣持さんがいたからである。
それは、青天の霹靂に等しかった。
今、私の一番会いたくない人と、一番会いたかった人が並んでいる。
とても逃げ難い。
剣持刀也
多分、今この青年も逃げたくて仕方がないだろう。
不破湊
加賀美ハヤト
剣持刀也
めっちゃ行きたい。
好きな人と一緒にご飯だなんて、他に誰かいたとしても行きたい。
ただ、剣持さんも私がいるのは気まずいのだろう。
不破さんがそう提案した瞬間剣持さんは首を横に高速に振った。(不破さんには見えず、私には見える所で。)
加賀美ハヤト
剣持刀也
不破湊
加賀美ハヤト
(行きたい...!物凄く行きたい...!!)
でもやはり剣持さんは首を横に振るばかり。
剣持刀也
(どうしたものか...私の可愛い生き物は、私に誘いを断られて寂しそうだし。)
不破湊
加賀美ハヤト
剣持刀也
不破湊
加賀美ハヤト
(良心が痛む...やめてくれないか!そのうるうるな目は!!...そうだ!剣持さんは?...ん?)
剣持さんは、死んだような目で右手を横にゆっくり振っている。
(なんだ?その手は。旗を振るように...旗?...白旗!?)
第六章「目撃~前半~」[完]
作者!
作者!
作者!
作者!
作者!
作者!